すでにお気づきの方も多いように、組込み分野は次の2つの点で急速な変化を遂げています。テクノロジーの進歩によって、かつてないほど消費電力を低く抑えた高速プロセッサが登場し、MP3プレーヤやiPod、および高機能ハンドセットの出現によって、低コストのメモリが急増しました。組込みという概念自体も進化しています。以前の組込みデバイスが持つ機能は限られており、1つか2つの特殊な目的専用に作られていました。現在、ネットワーク接続された"スマート"オブジェクトの世界へと進むにつれて、ハイエンドPCの機能を持つボードがさまざまなインフラストラクチャに組み込まれつつあります。
多くの場合、組込み開発者にとってこれは良いニュースです。一方では、このように機能が改善されたことで、開発プラットフォームの選択肢が増えました。複雑になり続けるコードを低速で極度に小さなスペースに収めるために、何年もの間努力を重ねてきたことで、現在は、幅広いソフトウェア・コミュニティからコードを再利用して、製品化までの期間を短縮し、開発コストを削減できるようになりました。しかし、同時に、多くの開発者は、主流のソフトウェアやツールをさらに活用するために、どれだけのレガシー・ソリューションを進展させられるか、開発スキルをアップグレードするのはどのくらい困難か、アーキテクチャ上の決定を下す必要があるかどうかを解明する必要にも迫られているでしょう。ここで、Javaが役立ちます。
Javaの利点
Javaの標準形式であり、携帯電話やその他従来の組込み分野(プリンタやスイッチなど)でここ数年使用されてきたJava MEになじみのある方もいるでしょう。しかし、市場の変化を受け、オラクルは、世界でもっとも堅牢でパフォーマンスの高い形式のJavaであるJava Standard Edition(SE)を組込みシステムに対してもライセンス供与できるようにしました。Java SEの使用は、インテリジェント・ルーターやインテリジェント・スイッチ、ハイエンド・プリンタ、軍事防御システム、RFIDリーダーなどの多数の組込みシステムで急速に広がっています。その理由は、Javaによって開発者の生産性が向上するという点にあります。次に、詳しく説明します。
なじみあるものを簡単に: Javaのオブジェクト・モデルはC++をベースにしたおなじみのものですが、C++よりも簡素化されており、ポインタやメモリ管理などのエラーを起こしやすい要素が取り除かれています。このため、従来のCやC++のプログラマーは、メモリ・リークやセグメンテーション違反といったエラーを究明しなくても、信頼できるソリューションを素早く開発できます。
堅牢でセキュアな環境: Java SEには、ネットワーキング、セキュリティ、グラフィック、データベース、XMLサポートを含む豊富な機能セットが備わっています。Java SEはセキュリティと接続性を中心に設計されているため、別のアプリケーションやシステム、インターネット、データベースとの接続を簡単に開発できます。さらに、Java固有のメモリ・モデルは、不正なプログラムや機能によって環境が停止しないように防止します。
優れた移植性とパフォーマンス: Javaが提供するWrite-Once-Run-Anywhere(WORA)環境は、組込み分野にとって非常に有効です。Java SEを使用すると、たとえばx86マシン上で開発とテストを実行し、PowerPCにデプロイできます。さらに、このソリューションは十分なパフォーマンスを提供します。Java SE内部の受賞歴のあるHotSpotテクノロジーは、マシン・コードのインライン展開とJust-In-Timeコンパイルを使用することで、JavaアプリケーションのパフォーマンスをCまたはC++と同等にします。
幅広いコミュニティによるサポート: おそらくはこれが、Javaへ移行する際に開発者が気付くもっとも大きな違いでしょう。Javaには、ツール、コード、アプリケーションを含む包括的なエコシステムがあり、その多くはオープンソースや無償提供されているものです。これらのツールやプログラムに加えて、豊富なJava書籍やトレーニングが提供されているため、Javaプログラムの設計、開発、デプロイにかかる時間とコストが削減されるとともに、熟練した開発者の確かな基盤が確保されることで、ビジネス成長に対応できるようになります。
Java SE For Embeddedに関して知っておくべき10の事項
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1. 世界でもっとも優れたプログラミング言語 |
業界最高の信頼性、パフォーマンス、スループット、セキュリティ、クロスプラットフォーム・サポートを提供するきわめて重要な言語です。 |
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2. 高機能なJava SE環境 |
Java SEには、本格的なグラフィック、セキュリティ、XML、ネットワーキングに加えて、Just-In-Timeコンパイル、テンプレート、その他多くのサポートが備わっています。 |
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3. 迅速な開発 |
オラクルの受賞歴のある拡張可能かつ無償のIDEであるNetBeansを使用すると、開発者はチームベースのプロトタイプ作成や開発を迅速に実行できます。 |
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4. マルチプラットフォームのサポート |
JavaのWrite-Once-Run-Anywhereモデルは、コードの作成と実行の環境が異なる多様な組込み分野にとって非常に有効です。ハードウェア・プラットフォームやベンダーの固定化が防止されます。 |
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5. 柔軟性と選択肢 |
Java SEでは、フルグラフィック・モードとヘッドレス・モードの両方がサポートされています。また、多数の構成オプションが用意されているため、デプロイメントに固有のチューニングを実施して、最適なパフォーマンスを実現できます。 |
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6. 完全なサービス |
オラクルは、最善のJava実装に加えて、定評ある開発およびデプロイのサポートとエンジニアリング・サービスを提供することで、顧客の成功を支援します。 |
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7. バイナリ製品とソース製品 |
オラクルの専門家によって提供される、チューニングおよびテスト済みの標準準拠バイナリを利用することも、ソースを利用して顧客自身でバイナリを作成することもできます。 |
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8. 業界有数の専門家 |
顧客は、その環境について他の誰よりも把握しています。オラクルの専門家は、Javaについて他の誰よりも把握しています。オラクルは、最高の結果をもたらすためのソリューションの設計、チューニング、構成の支援を行っています。 |
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9. 手頃な価格 |
革新的なビジネス・モデルと価格設定によって、既存のソリューションへのJava SEの採用が促進されます。開発は無償で実施できます。 |
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10. 提供元はオラクル |
オラクルは、ITインフラストラクチャの考案と革新に関して、最高の企業として広く知られています。また、TCP/IP、イーサネット、Solaris、Java、SPARC、XMLをはじめとする多数のテクノロジーを推進するための主要な役割を担っています。オラクル以上に信頼できるプロバイダーはいるでしょうか。 |