Jeff Erickson|技術コンテンツ・ストラテジスト| 2023年6月13日
インテリジェントな自動化は、自動化テクノロジーとAIを組み合わせることで、効率化、コスト削減、精度向上を実現し、ビジネス・オペレーションを一変させます。データによると、約半数の企業がエラーを減らし、手作業をスピードアップするために、何らかの方法で自動化を利用しています。インテリジェントな自動化は、この傾向を新たなレベルへと導きます。世界中の企業にとって重要な意味を持つようになった今、その定義とさまざまな用途を理解することはビジネス上不可欠です。
インテリジェントなプロセスの自動化と呼ばれることもあるインテリジェントな自動化は、人工知能 (AI)と自動化を組み合わせて、ビジネス・プロセスを改善し合理化します。インテリジェントな自動化では、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA)、機械学習 (ML)、自然言語処理(NLP)などの技術を組み合わせて反復作業を自動化し、その過程でデータからインサイトを抽出します。
インテリジェントな自動化は、データ入力、文書処理、複雑化するカスタマーサービス対応などのタスクを自動化することで、ビジネス・プロセスを改善することができます。例えば、人工知能ドリブンな自然言語処理やその他の機械学習アルゴリズムを使用して、カスタマーサービスでのやり取りを自動化し、人が介在することなく迅速に問合わせを解決することができます。あるいは、保険会社がインテリジェントな自動化を使用して、従業員による監督を必要とせずに、請求プロセスを通じて文書をルーティングすることもできます。このようなオートメーションは、金融業界、医療業界、製造業、小売業など、幅広い業界に適用できます。インテリジェントな自動化は大きなメリットをもたらしますが、確実な成功には慎重な計画と実行が必要です。
インテリジェンスな自動化により、顧客満足度、コスト削減、ビジネス・プロセスの改善を実現します。
主なポイント
インテリジェントな自動化は、ビジネス・プロセステス自動化を進化させたものです。これは、機械学習、音声認識、自然言語処理、コンピューター・ビジョンなどのクラウドベースのAIツールが最近利用可能になったことで可能になりました。これにより企業は、かつては機械が行うには複雑すぎる、あるいは人間中心だと考えられていた作業を自動化することができます。
このようなタスクとしては、意図を理解し、自然言語ジェネレーターを使用して回答を提供できるチャットボットを使用したカスタマーサービスにおける対話の処理、または保険請求の幾度もの引き渡しを通して問題なく書類を処理することなどを挙げることができます。どちらのタスクも、意思決定や推奨を行うために膨大な量のデータでトレーニングされたAIモデルにより支援されます。ロボティック・プロセス・オートメーションと人工知能の組み合わせにより、反復的でありながら完全に予測できないタスクを排除し、従業員がより価値の高い繊細な作業に集中できるようにする一方で、プロセスを改善することができます。
インテリジェントな自動化システムは、企業がより効率的に作業できるように設計されています。例えば、インテリジェントな自動化プロセスによって、顧客が人間の介入なしにチャットボットから迅速な回答を得たり、ビジネス・パートナーが在庫水準の低さに基づいて自動発注を受けたりすることができます。これは、ビジネス・データをリアルタイムで追跡し、人工知能を使って意思決定を行ったり、最適な次のステップを推奨したりするワークフローを可能にすることにより実現します。また、より最適な意思決定ができるように編成された事実を提示したり、従業員の時間と集中力を削ぐような反復作業を引き受けたりすることで、人間の意思決定を支援および補強するように設計されています。
インテリジェントな自動化に関わる主なツールには、ビジネス・プロセス自動化ソフトウェア、業務データ、AIサービスがあります。AIアルゴリズムは業務データを使って訓練されるため、在庫処理にコンピュータ・ビジョンを提供したり、ペースの速い金融取引に異常検知を追加したり、顧客との会話でニュアンスに応じたチャットボットの応答を提供し、適切なタイミングで従業員へと引き継ぐなど、さまざまなタスクを引き受けることができます。
このすべてのケースにおいて、インテリジェントな自動化は、ビジネスの慌ただしい日々の取引に穏やかな能率とエラーの減少をもたらします。また、機械学習アルゴリズムは、時間の経過とともに学習し、ビジネスデータの傾向を検出し、ワークフローの改善を提案することすら可能です。
オラクルがMagic Quadrant™でiPaaS, Worldwideの世界的リーダーとして6回連続で選出された理由をご覧ください。
インテリジェントな自動化が重要なのは、企業がより高いレベルの効率性を見出すのに役立ち、同時に顧客やその他のステークホルダーとのつながりを深めることさえ可能だからです。AIドリブンな視覚、聴覚、言語、および応答性により、インテリジェントな自動化は、企業がより良い顧客関係を育成し、従業員が忙しい仕事を回避し、ペースの速い業務の中で自信を持って意思決定を行うための情報を提供することができます。
差し迫った故障の予測、部品の発注、メンテナンスのスケジュールなど、すべて日々のビジネスデータの収集に基づいており、専門家の時間を要することのない製造業の自動化や、テキストのコンテキストを理解し、規制コンプライアンスを満たすためにドキュメントを保存する決算業務がもたらす競争優位性を想像してみてください。銀行、海運ロジスティクス、ファッション小売など、さまざまな業界で多くの例があります。インテリジェントな自動化を推進する機械学習アルゴリズムは、データセットから常に学習し、時間の経過とともにプロセス設計の最適化を改善または提案します。
インテリジェントな自動化は、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)のみにとどまりません。RPAとは、ソフトウェア・ロボットを用いて人間の動作を模倣し、反復作業を自動化するオートメーションの一種です。一方、インテリジェントな自動化は、サービスとしての統合プラットフォーム(iPaaS)、人工知能(AI)、機械学習(ML)、自然言語処理(NLP)などの複数のテクノロジーを組み合わせて、人間のような意思決定を必要とする複雑なプロセスを自動化します。インテリジェントな自動化は、反復作業を自動化するだけでなく、大規模なデータセットの分析に基づいてインサイト、推奨、予測を提供することで、人間がより適切な意思決定を行えるよう支援します。
インテリジェントな自動化とは、統合、プロセス自動化、AIサービス、RPAの各テクノロジーを組み合わせて、反復的なタスクを実行し、人間の意思決定を補強することです。インテリジェントな自動化には、NLP、ML、コグニティブ・オートメーション、コンピュータ・ビジョン、インテリジェント文字認識、プロセス・マイニングなどを挙げることができます。
インテリジェントな自動化の使用により、企業は生産性と効率を高め、カスタマー・エクスペリエンスを向上させ、コストを削減し、より適切な意思決定を迅速に行うことができます。目標は、人間の専門家に取って代わることではなく、ビジネスの成長に役立つ戦略的で繊細な活動のために専門家の時間を確保できるようにすることです。
テクノロジーの複雑さとその絶え間ない進化、そして人工知能が日常的なエンタープライズ・ソフトウェア・ツールとしてはまだ歴史が浅いことから、インテリジェントな自動化には多くの課題があります。インテリジェントな自動化の導入に関しては、課題を技術的な課題と組織的な課題の2つに分けて考える必要があります。
技術的課題には次のものがあります。
組織的な課題には次のようなものがあります。
インテリジェントな自動化は、医療、金融、小売、製造、物流および輸送など、幅広い業界で利用されています。例:
インテリジェントな自動化は、複雑なタスクを実行するために一連のテクノロジーを結びつけることによって達成されます。プロセス自動化プラットフォームを中心に構築されたこれらのテクノロジーには、次のようなものがあります。
インテリジェントな自動化は、プロセスの自動化から始まり、AIドリブンのツールを導入することで、自動化の範囲をビジネス全体に拡大します。その過程で、従業員はAIドリブンな新しいプロセスに対応するために、どのように勤務時間を調整すればよいのか、時間をかけて指導を受ける必要があります。ここでは、成功への道のりをご紹介します。最初に、最終目標をイメージしましょう。パフォーマンスのボトルネックを取り除き、AIを使用して選択された大量のタスクを処理することができたら、プロセスはどのようになるか考えてみてください。
目標が決まったら、これらのプロセスを設計および追跡し、特定のニーズに合わせたアルゴリズムを提供できる種類のテクノロジー・インフラストラクチャに関する専門知識を学習または確認します。そこから戦略を立て、パートナーシップを構築することができますインテリジェントな自動化の精度と価値を最大化するには、社内の専門家によるビジネス・インタラクションの詳細に関する説明を受ける必要があります。IAシステムは、場合によっては人間の意思決定や顧客とのコミュニケーションに取って代わるので、そのプロセスに対する鋭いインサイトが重要であることに留意してください。ここで、バックオフィスのITおよびクラウド・パートナーが、御社とともに拡張し、進化する準備ができていることを確認します。
次は、変更管理です。従業員の準備が必要となります。IA導入の一環として、組織構造を再定義し、企業文化を整備します。自動化が進めば、手作業や顧客とのコミュニケーションはある程度処理され、従業員の時間をより価値の高い業務やビジネス関係に集中させることができるようになります。
そして最後に、実行と反復を行います。インテリジェントな自動化のメリットとして、機械学習アルゴリズムの継続的な改善が必要である点が挙げられます。可能な改善策を把握し、実行する方法があることをご確認ください。ユーザーからのフィードバックをモニターし、変更を加える準備をすることも同様に重要です。インテリジェントな自動化を最大限に活用するには、絶え間ないフィードバックと反復のプロセスが必要です。
インテリジェントな自動化の未来は、機能面で躍進を続ける人工知能の未来と密接に結びついています。それに伴い、より低コストでより迅速な結果を求める顧客からの期待は高まるばかりです。
大手企業はすでに積極的な取り組みを進めています。多くの企業がインテリジェントな自動化を順調に導入している一方で、試行錯誤しながら戦略を練り直し、組織の準備を進めている企業もあります。AIがサポートする他のプログラムと同様に、インテリジェントな自動化は未来への投資であり、出だしがうまくいかないこともあるでしょう。しかし、需要の高い他のテクノロジー・トレンドと同様に、クラウド・プロバイダーが、自社のソフトウェア・インテグレーション・プラットフォームやビジネス・プロセス・オートメーション製品に基づいて、インテリジェントな自動化のための既製のシステムを提供し始めることが期待されます。
AIテクノロジーの高度化と実用化の一環として、インテリジェントな自動化は強力な競争上の優位性となる見込みです。今こそ開始すべき時です。その際には、エンタープライズ統合とビジネスプロセスの自動化で実績のあるパートナーが欲しいところです。オラクルは、数十年にわたり企業の業務プロセスの自動化を支援しており、その専門知識をOracle Cloud Infrastructure (OCI) サービスに組み込んでいます。アプリケーションとデータ・ソースを接続し、プロセスの自動化と管理の一元化を支援する、OCI統合サービスをご利用いただけます。このサービスは、承認を自動化および迅速化する、イベントドリブンなワークフローを実現します。OCIはまた、自然言語処理、異常検知、コンピュータ・ビジョンといった特定のワークロードに合わせてトレーニングされたクラウドベースのAIサービスも提供しており、企業は必要に応じてこれらを適用することができます。
OCI統合ソリューションが、コラボレーション、イノベーション、価値創造を強化する方法をご紹介します。
「インテリジェントな自動化」という言葉の意味を教えてください。
インテリジェントな自動化とは、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)、機械学習(ML)、自然言語処理(NLP)などの技術を組み合わせて使用することで、反復作業を自動化し、データからインサイトを抽出し、データ駆動型の意思決定を可能にするビジネス・プラクティスに付けられた名称です。
インテリジェントな自動化の例を教えてください。
インテリジェントな自動化は、テキストまたは音声による質問の意図を理解し、オプションを提供するカスタマーサービス用チャットボットを活用することができます。別の例としては、コンピューター・ビジョンを使用して対象物を正確に識別し、作業員がその場で迅速な判断を下せるようにする出荷や製造工程があります。
ロボット・プロセス・オートメーション(RPA)はインテリジェントな自動化の一部なのでしょうか。
どちらもタスクを自動化するために使用されますが、インテリジェントな自動化はロボティック・プロセス・オートメーションのさらにスマートなバージョンと考えることができます。ロボティック・プロセス・オートメーションがデジタルボットを使用して単純な反復作業を行う一方で、インテリジェントな自動化はより繊細で人間中心の作業を行い、必要に応じて自然言語で応答を提供することができます。
インテリジェントな自動化を使用している業種を教えてください。
インテリジェントな自動化は、保険、投資、医療業界、物流、製造など、ほぼすべての業界で利用されています。インテリジェントな自動化の用途は、人工知能の機能の急増に伴い、拡大しています。
オラクルが、14年連続でリーダーに選出された理由の一つとして、データ統合ツールの機能強化を継続的に行っていることがあります。
ご購入をお考えですか?
営業担当者に問い合わせる営業担当者とチャットアカウント/サブスクリプション、プロモーションの問題
チャットを開始テクニカルサポート、またはその他のサポートリクエスト
サポート・オプションを表示