資本プログラム管理ソフトウェアのガイド

Rick Bell | シニアライター | 2024年12月10日

資本プログラム管理ソフトウェアは、建設会社が資本プロジェクトをより効果的に優先順位付け、計画、実行するのに役立ちます。特に、競争の激化や官民セクター全体における多額の資本支出を考えると、このことはこれまで以上に重要です。

プロジェクトの意思決定、管理、精度を向上させるために、建設組織は資本プログラム管理のプロセスを標準化し、調整する必要があります。これにより、エラーが発生しやすい手作業プロセスや、サイロ化されたスプレッドシート、連携していないアプリケーションから脱却できます。

この記事では、組織がプロセス、システム、チームを接続し、データを統合することによって、資本プロジェクトおよびプログラムのパフォーマンスを向上させる方法について説明します。また、エンタープライズクラスの資本プログラム管理ソフトウェアの利点と、ニーズに合ったプラットフォームの選び方についても説明します。

資本プログラム管理ソフトウェア(CPMS)とは

資本プログラム管理ソフトウェア(CPMS)スイートは、資本プロジェクトおよびポートフォリオレベルのプロセスを接続し、管理するための統合的なソリューションを提供します。最適なクラウドベースのスイートは、関連するERPやその他のエンタープライズアプリケーションと統合されており、すべての関係者が即座に同じ一貫したデータにアクセスできるようにします。

多くのオーナー組織には、資本プログラム全体を分析するスタッフがいます。彼らは以下のような質問を考慮する必要があります。予算を最大限に活用するにはどうすればよいか?何を構築する必要があるか?何を維持する必要があるか?何を改修する必要があるか?

企業の財務部門は通常、ERPアプリケーションを使用しています。しかし、プロジェクトおよびプロジェクト間で、コスト、予測、契約、変更、スケジュールなどのプロジェクト要素を一貫して管理する自動化システムがない場合、ERPアプリケーションは最新のプロジェクトデータを反映できていない可能性があります。プロジェクトおよびポートフォリオ・ソリューションをERPアプリケーションと統合することで、ERPを最新の状態に保つことができます。

主なポイント

  • 資本プログラム管理ソフトウェアは、プロセスを標準化および自動化し、情報を一元化することで、組織がプロジェクトを計画通り進め、迅速で一貫性のある、情報に基づいた意思決定を行うのを支援します。
  • CPMSを導入することで、プロジェクトの可視性と管理能力、およびチーム間のコラボレーションを改善することができます。
  • ソフトウェアは、プロジェクト間の比較や教訓の共有をサポートします。
  • 組織が選択するCPMSソリューションが、長期的な変更や拡張に対応できる柔軟性を持っていることを確認してください。

資本プログラム管理ソフトウェアの説明

企業全体で使用される資本プロジェクトおよびプログラム管理ソフトウェアシステムは、プロセスと情報を標準化し、管理と意思決定の改善を支援し、優先順位の高いプロジェクトと組織目標を整合させることを支援します。また、組織が資材、設備、従業員を効率的に配分するのにも役立ちます。例えば、自動化されたワークフローで変更依頼が承認されると、関連するコストの影響が即座にコストシートと関連契約に反映され、支払い申請と紐付けられるため、「この追加コストは承認済みで、支払い申請も承認可能」という状況がリアルタイムで確認できます。

資本プログラム管理ソフトウェアが必要な理由

建設およびエンジニアリングの各プロジェクトは異なり、異なるチームメンバー、特定の場所に関連する規制、およびさまざまなスコープから構成されます。このため、標準化は業界における最大の課題の1つです。プロジェクトオーナーにとって、この課題は、異なるデータソースやフォーマット、一貫性のないプロセス、そして接続されていないシステムという形で現れることがよくあります。

組織は、優先順位付けや承認から実行、継続的な運用やメンテナンスに至るまで、すべてのプロジェクトとプログラムを管理する能力を必要としています。資本プロジェクトおよびプログラム管理ソフトウェアは、その管理能力を提供し、効率性と正確性を高め、成果を改善するのに役立ちます。

資本プログラム管理ソフトウェアのメリット

今日の資本プログラムは、複数の利害関係者、詳細なプロセス、多額の投資を伴うため、本質的に複雑です。クラウドベースのプログラム管理ソフトウェアは、建設チームが複数の複雑なプロジェクトを実行し、プロジェクトの効率性を高め、プロジェクト全体の成果を改善するのに役立ちます。以下に、主なメリットを紹介します。

  • プロジェクトの可視性と管理性の向上
    効果的なプログラム管理には、各プロジェクトの状況、進捗、潜在的な障害を理解し、共有することが不可欠です。資本プログラム管理ソフトウェアは、すべての利害関係者にプロジェクト全体の可視性を提供すると同時に、チーム間のコミュニケーションとリソースの管理を支援します。
  • 利害関係者間のコラボレーションの強化
    すべての関係者が情報に即座にアクセスできるようにし、関与を促すことで、コミュニケーションのミスを防ぎ、プロジェクトの成功に対する共同責任の意識を生み出します。これは長期的な関係にも有益で、オーナーとデリバリーチーム間でのリピート案件の創出にもつながります。
  • 効率的なワークフローと自動化されたプロセス
    急速に進行する複雑な建設プロジェクト環境では、時間がカギとなります。電子メールやサイロ化されたスプレッドシートは、コミュニケーションや情報共有を制限し、進捗を妨げます。クラウドベースのプログラム管理ソリューションは、ワークフローを効率化し、利害関係者がどこにいても、いつでも必要な情報にアクセスできるようにします。
  • 効果的なリスク管理とリスク緩和
    建設プロジェクトは、悪天候、サプライチェーンの混乱、人材不足、その他の要因により、予定通りに進まないことがあります。しかし、効果的なリスク管理により、プロジェクトチームはこうした課題を予測し、計画を立て、必要に応じてリソースを再配分することができます。資本プログラム管理ソフトウェアは、過去のプロジェクト記録を分析してリスクを特定し、予測インテリジェンスを提供することで、組織全体のリスク管理を改善する手助けをします。
  • プロジェクトデータと分析へのリアルタイムアクセス
    最良の資本プログラム管理アプリケーションは、高度なデータレポート機能と分析機能を備えており、プロジェクトの進捗とパフォーマンスに関する洞察を提供し、チームが改善すべき領域を迅速に特定できるようにします。情報にリアルタイムでアクセスできるため、現場チームは以前よりも多くの情報を得ることができます。
  • 予算編成と予測精度の向上
    プロジェクトの進捗を常に追跡できるため、必要なデータを得てより正確な予算編成の意思決定とプロジェクトのスケジュール予測が可能になります。建設管理ソリューションに保存された過去のデータも、予測精度の向上に役立ちます。
  • 効率的なドキュメント管理と制御
    建設業界はドキュメントで溢れています。設計図、プロジェクト承認、変更要求など、数え上げたらきりがありません。デジタル文書を一元管理することで、プロジェクトチームは、作業の全履歴(途中でどのような変更が加えられ、誰がいつ行ったか)を把握することができます。また、すべての成果物が同じシステムでアクセス可能であるため、意思決定の全過程と作業の進捗状況を最初から最後まで確認することができます。
  • リソース配分と人材管理の最適化
    プロジェクトの成功は、資本、資材、その他のリソースの効率的な配分に大きく左右されます。建設管理ソフトウェアソリューションは、プロジェクト要件を特定し、リソースの可用性を考慮し、作業員の配置を管理し、それらのリソースの割り当てを支援します。
  • 規制遵守タスクの簡素化
    建設に関する法令や規制は、地方、州、連邦レベルで常に変化しています。クラウドベースのプログラム管理ソリューションは、チームが最新動向を監視し、遵守タスクを簡素化するのに役立ちます。
  • プロジェクト遅延とコスト超過の回避
    建設プロジェクトは数か月から数年に及ぶため、天候の急激な変化や、人材、設備、資材のコストの急騰がプロジェクトの大幅な遅延につながる可能性があります。また、コスト超過は、プロジェクト管理の不適切さ、そして最初に設定された計画や予算が不正確であることを示す指標でもあります。プログラム管理ソフトウェアを活用して、プロジェクト全体で潜在的なリスクを積極的に特定し、定量化し、評価することで、組織がより情報に基づいた意思決定を行い、プロジェクトを予定通りに進め、赤字を回避するのに役立ちます。
  • 成長と複雑性の増大に対応する拡張性
    クラウドベースの包括的な資本プログラム管理ソフトウェアスイートは、ビジネスプロセス、レポート、ダッシュボードなどの追加機能を、必要に応じて展開することができます。また、新しいユーザーもベテランのユーザーも、それらの機能に簡単にアクセスできます。クラウドベースのスイートは定期的にアップデートされ、新しい機能や改善された統合機能が提供されます。最高のソリューションは、あらゆる規模のプロジェクトに対応することができます。

資本プログラム管理ソフトウェアの主な機能

空港の近代化や新しい製造工場の建設など、一部の資本プロジェクトやプログラムでは、何十億ドルもの投資が必要となる場合があります。リスクを軽減しながら予算内で期限通りにプロジェクトを進めるには、高度な資本プログラム管理ソフトウェアが不可欠です。以下に、最良のソフトウェアパッケージの主な機能をご紹介します。

  • プロジェクトスケジュールとタイムラインの管理。すべての建設プロジェクトにはスケジュールがあります。しかし、チームの全メンバーがそれらのスケジュールから必要なデータを得られるわけではありません。適切なソフトウェアを使用して建設スケジュールを自動化することで、重要なタスクとスケジュールを一元化し、オフィスと現場チームの足並みを揃え、データの遅延、エラー、手戻り、人員の待機時間を削減することができます。同時アクセスによりスケジューリング・プロセスを加速させ、シナリオプランニングによってさまざまな経路の影響を可視化することで、スケジュールとリソースを最適化することができます。
  • 予算編成と財務管理。プロジェクトマネージャーが過去および現在のプロジェクト情報に基づいて信頼性の高い予算予測を立てるには、正しい情報が必要です。そのため、必要な情報にアクセスし、計画と実績を管理・報告するソフトウェアが不可欠となります。また、その情報を記録し、今後のプロジェクトの計画と実行に役立てることも重要です。予算をコストコードと分野に分割することで、ソフトウェアは予算の追跡、キャッシュフローの管理、予算変更の予測、契約変更の管理をほぼリアルタイムで行うことができます。
  • ドキュメントの管理と制御。この種のソフトウェアの主要な機能には、文書のバージョン管理、プロジェクト間で一貫した文書名を付ける機能、認可されたユーザーにアクセス権を設定する機能、完全な監査証跡の提供があります。システム内のプロジェクトデータの所有者が誰であるかを明確にしておくことも重要です。
  • リソース配分と人材管理。複数の関係者が、人材、資材、設備を再配分するために資本プロジェクト管理ソフトウェアに即時かつ同時にアクセスできる必要があります。計画と実績の相違に関するタイムリーな警告を発するシステムを使用することで、週次または月次の報告を待つことなく、すばやい対応が可能になります。
  • コンプライアンスおよびリスク管理ツール。組織は、関連する法律や規制に対するコンプライアンスをサポートする活動を管理、追跡、報告し、監査証跡を作成する能力が必要です。例えば、高速鉄道プロジェクトでは、サステナビリティ、労働、エンジニアリング、および地方、州、連邦の要件へのコンプライアンスを満たす必要があるほか、特定の資金が指定された活動に使用されたことを証明する必要があります。資本プログラム管理システムは、これらの要件に対応し、報告するのに役立ちます。リスクはポートフォリオ、プログラム、プロジェクトの各レベルに存在し、悪天候やサプライチェーンの問題が各フェーズに影響を与える可能性があります。リスク管理フレームワークはすべてのリスクを排除することはできませんが、資本プログラム管理ソフトウェアの重要な要素です。関連するさまざまな組織のチームメンバーに、プロジェクトをまたいだ一元的なリスク登録簿へのアクセスを許可し、できるだけ多くのリスクを識別、記録、定量化できるようにします。これにより、あるプロジェクトで特定されたリスクを、類似のプロジェクトに含めることができます。
  • レポートおよび分析機能。優れた資本プログラム管理ツールは、財務、スケジュール、業務、KPI、その他の多様なデータのレポート作成と分析を支援し、利害関係者に最新情報を提供するとともに、プロジェクトまたは広範なポートフォリオレベルでの詳細なインサイトを提供します。たとえば、計画に対するキャッシュフロー、スケジュール遵守、環境持続可能性への影響、タスクやプロジェクトに割り当てられたリソースの効率に関するKPIなどを提供します。必要に応じて変更したり追加したりできる、事前構成済みのレポートやダッシュボードを備えたソフトウェアを探しましょう。
  • 他のソフトウェアやシステムとの統合。CPMSスイートから最大限の価値を引き出すには、ネイティブ統合、成熟したAPI、組み込みアダプター、ベンダー独自のミドルウェアやコンサルティングサービスの有無を確認しましょう。また、システムは必要に応じて、ERP、サプライチェーン、その他のバックオフィスアプリケーションとシームレスに統合できることが望ましいでしょう。その目的は、プロセスとデータを統合し、より良い、よりタイムリーな意思決定を行うことにあります。ベンダーは自社のAPIが十分だと主張するかもしれませんが、それはどのようなAPIで、どのようなことを可能にするのでしょうか?統合を機能させる責任は誰にあるのか、どのミドルウェアがサポートされているのか、追加費用が発生するのか、ベンダーの統合実績はどうかなどを確認しましょう。自社で統合を行うと、時間と費用がかかり、リスクが生じる可能性があります。

プロジェクトを調和させ、リスクを減らし、利益を高める5つの方法をご覧ください。

適切な資本プロジェクトおよびプログラム管理ソフトウェアの選択

Primavera Unifierを活用したプロジェクトおよびポートフォリオ管理(1:34)

適切な資本プロジェクトおよびプログラム管理ソフトウェアを選ぶ際には、十分なリサーチを行い、重要なポイントを確認することが大切です。ベンダーが建設およびエンジニアリング分野での優れた実績を持っているか、AI機能など必要なすべての機能が提供されるのか、現在のニーズを満たすとともにニーズの変化にも柔軟に対応できるソリューションかどうかなどを確認しましょう。また、その製品がオラクルのERPやその他の主要アプリケーションと統合できるか、システムが習得しやすく使いやすいか、ベンダーが規制遵守とセキュリティを最優先事項としているかも確認しましょう。投資を守るために、アプリケーションの定期的な更新が保証されているか、ロバイダーが成長に伴いサポートを継続してくれるかも考慮すべき点です。また、ソリューションがどこで、どのようにホストされているかも確認してください。

お客様事例やユースケースを読むことで、他の企業が直面した課題と現在貴社が直面している課題との類似点を見つけることができます。実際にそのソフトウェアを利用しているユーザーに連絡を取り、フィードバックを得ることも有益です。

Oracle Capital Project and Program Managementによる資本プロジェクトとプログラム・データの統合

Oracle Primavera Unifierは、建設およびエンジニアリング組織が資本プロジェクトのプログラム、ポートフォリオのプロセス、そしてデータを効果的に管理するために必要な機能を提供します。この統合システムは、コスト、契約、変更、スケジュールのマイルストーン、リスク、ワークフロー、文書管理を一元化し、さらに予測分析やAI機能もサポートします。また、Oracle Primavera Unifierは、Oracle Smart Construction Platformの一部であるOracle Primavera P6 Enterprise Project Portfolio Management (EPPM) やOracle Primavera Cloudのスケジューリングおよび資本計画アプリケーションとネイティブに統合されます。

資本プログラム管理ソフトウェアに関するよくある質問

資本プログラムマネージャーとは何ですか?
資本プログラム・マネージャーは、通常、オーナー組織によって任命され、プログラム全体のニーズを評価し、予算を要求する役割を担います。その際、次のような重要な質問に答える必要があります。手持ちの資金を最も有効に使うにはどうすればよいか?組織目標に合致するプロジェクトを優先させるにはどうすれば良いか?承認されたプロジェクトをより正確に予算化する方法は?プロジェクトを最も効率的に実行して、最大限の成果を得る方法は?プロジェクトを一貫して予測可能な形で実行し、最適な結果を得る方法は?

資本計画ソフトウェアとは何ですか?
資本計画ソフトウェアは、データと分析を活用して、プロジェクトを一貫して優先順位付けし、選択し、正確に予算化するプロセスを支援します。これにより、組織の短期および長期目標をサポートします。

資本プロジェクト管理システムとは何ですか?
資本プロジェクト管理システムとは、組織がプロジェクト全体または複数のプロジェクトにわたって、コスト、契約、変更、リスク、スケジュール、ワークフロー、文書管理を統合するためのシステムです。すべてのプロセスがスムーズかつ一貫して実行されることを保証するとともに、情報に基づいた迅速な意思決定を可能にする可視性と制御性をオーナーに提供することで、予測可能な結果を達成できるよう支援します。

資本プロジェクトやプログラムの例にはどのようなものがありますか?
資本プロジェクトやプログラムの例としては、空港ターミナルの改修、病院の増築、100の自動車ディーラー店舗の改修、ホテルの建設などが挙げられます。

スマートアプリケーションを活用することで、建設業界のリーダーが経験と専門知識を定量的および定性的な洞察と組み合わせ、効率性を向上させる方法を学びましょう。