お客様と開発者がArmテクノロジーのメリットを活用できるように、オラクルはArmベースのアプリケーション開発に役立つツール、ソリューション、サポートを提供しています。オラクルは本日、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)でArmベースの初めてのコンピューティング・サービス「OCI Ampere A1 Compute」を提供開始したことを発表しました。これにより、お客様はクラウドネイティブや汎用ワークロードを、価格性能に優れたArmベースのインスタンス上で実行することができます。オラクルは、Armベースのコンピューティング・インスタンスを業界内で最も低価格なコア時間あたり1セントで提供する唯一の主要クラウド・プロバイダーです。仮想マシンは1OCPUから80 OCPU、コアあたり1GBから64 GBのメモリ、ベアメタル・サービスは160コア、1 TBのメモリに対応します。お客様は、Armに最適化されたアプリケーションをコンテナ、ベアメタル・サーバー、オラクルのパブリック・クラウドまたは「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」上の仮想マシンに配備できるようになります。
オラクルのOracle Cloud Infrastructure担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるクレイ・マグワイク(Clay Magouyrk)は次のように述べています。「サーバー側におけるArmコンピューティングへの需要が高まりを見せています。オラクルの広範な製品ポートフォリオにArmベースのコンピュート・インスタンスを加えることで、お客様はワークロードに適したプロセッサを選択できるようになります。これにより、開発にArmプラットフォームを必要とするお客様は、必要な柔軟性、拡張性、価格性能を享受できます。また、OCIへのアプリケーションの移行や新たなアプリケーション開発が容易になります。」
Ampere Computingの創設者であり会長兼CEOであるレニー・ジェイムズ(Renee James)氏は次のように述べています。「OCI上のAmpereインスタンスは、開発者にとって画期的なものです。オラクルのFree Tierの素晴らしいオファリングにより、OCI Ampere A1コンピュート・プラットフォームを試すことができ、予測可能なパフォーマンス、スケーラビリティ、必要なパワーを提供する初のクラウド・ネイティブ・プロセッサを体験できます。『Oracle Cloud』には、開発者が新しいテクノロジーを試し、新しいプラットフォームに興奮し、新しいアプリケーションを開発するために必要なすべてのツールが用意されています。」
Armのインフラストラクチャ事業部門シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるクリス・バーギー(Chris Bergey)氏は次のように述べています。「インフラストラクチャ業界は、これまでコンピューティングに対する画一的なアプローチに縛られてきましたが、次の時代のコンピューティングは、セキュアでパワフルな用途特化型プロセッシングによって支えられます。オラクルは、Armベースの『OCI Ampere A1 Compute』インスタンスを市場に投入することで、お客様や開発者に、柔軟性に優れ、新しいレベルの価格性能を実現できる選択肢を提供し、クラウドでのイノベーションをさらに促進します。」
新しいArm Acceleratorプログラム、Oracle Cloud Free Tier、アプリ開発エコシステム
オラクルはArmのエコシステムに投資することで、開発者に提供するコンピューティング・インスタンスの選択肢を増やし、他のx86インスタンスと比較してコアあたりベースでより優れた価格性能を提供します。OCIをはじめて利用する開発者には、3つの異なるサービスが用意されています。「Oracle Cloud Free Tier」では、開発者は30日間で300米ドルの無償クレジットを受け取ります。「Always Free Arm」アクセスは、業界でも有数の充実したサービスであり、4つのA1コアと24 GBのメモリを開発者に提供します。新たに開始されたArm Acceleratorプログラムにおいて、必要なリソースが「Oracle Cloud Free Tier」では足りないArmベースの開発プロジェクトを推進しているオープンソース開発者、ISVパートナー、お客様、大学は、このプログラムに応募することで「Oracle Cloud」のクレジットを12か月間受け取ることができます。
Oracle Linux、Java、MySQL、GraalVM、Oracle Container Engine for Kubernetes(OKE)サービスなどのオラクルの開発スタックは、Ampere A1インスタンスで利用できます。開発者が容易に利用開始できるよう、オラクルは「Oracle Linux Cloud Developer」イメージを用意しました。これを利用することで、お客様は、OCIクライアント・ツール、ユーティリティ、一般的なプログラミング言語(Java、GraalVM、Python、PHP、Node.js、Go、C/C++など)を含む開発環境をインストール、構成、起動できます。開発者イメージは、OCIコンソールから容易にアクセスおよび展開できます。
お客様が最新のArmテクノロジーのメリットを活用できるように、オラクルはGitLab、Jenkins、Rancher、Datadog、OnSpecta、NGINX、Genymobileなどのテクノロジーおよびオープンソース・パートナーと緊密に連携しています。また、Arm開発者エコシステムを成長させ、強化するために、オラクルは、急成長しているCI/CDオープンソース・プロジェクトを維持するためのベンダーニュートラルなオープンソース・コミュニティであるContinuous Delivery Foundation(CDF)に参加することを発表しました。
OCIで実行できる新しいAmpere® Altra® プロセッサ
Arm アーキテクチャは、非常に効率的で拡張性と柔軟性に優れており、スマートフォン、IoTデバイス、PC、自動車、産業用アプリケーションからスーパーコンピュータやサーバーに至るあらゆる用途に適したプロセッサです。エッジからクラウドまで、お客様はオラクルの幅広いコンピューティング・オプション、強力なベアメタル・サーバー、柔軟性に優れた業界初のArmベースの仮想マシン・シェイプを利用して、ワークロードの規模を適正化できます。お客様は、ワークロードの要件に合わせて仮想マシンをより正確に構築し、コストを最適化しながら最高の性能を得ることができるようになりました。これらのコンピューティング・シェイプは真に汎用的であり、コンピュート・インテンシブな以下のような多様なワークロードの実行に適しています。
- ・汎用ワークロード: 「OCI Ampere A1 Compute」は、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、コンテナなどの汎用ワークロードで卓越した価格性能を提供します。これらのシェイプは、NGINXやWebアプリケーションなど、クラウドベースでスケールアウトするワークロードにバランスのとれたパフォーマンスと最適な価格を実現します。
- ・インメモリ・キャッシュおよびデータベース:データベースからアナリティクスまで、ArmプロセッサはRedisやMySQLなどのデータベースの予測可能なパフォーマンスを提供します。インメモリ・データベースやKey-Valueストアなど、メモリを多用するワークロードやマルチスレッド・アプリケーションで優れたパフォーマンスを実現します。
- ・モバイル・アプリケーション開発: Ampere Altraの高コア数(最大160コア)は、モバイル・アプリケーションの開発やテストに求められる密度とスケールに理想的です。さらに、「OCI Ampere A1 Compute」上でのiOSやAndroidベースのアプリケーション開発では、エミュレータやネスト型の仮想化が不要であり、優れたパフォーマンスにつながります。
- ・計算量の多いアプリケーションと科学アプリケーション: Armプロセッサは、価格性能メリットにより、AI/MLの推論、メディア・トランスコーディング、HPCスタック(CFD、WRF、OPENFAM、GROMACS、BLAST、BeeGFS、NAMDなど)の実行など、高性能コンピュートを多用するアプリケーションや科学系アプリケーションで一般的に使用されています。
Ampere Altraプロセッサを搭載した「OCI Ampere A1 Compute」は、メモリやコアの要件に応じてカスタマイズ可能な、業界で唯一の柔軟なArmベースの仮想マシン・シェイプです。これは業界初のクラウドで提供される1セント・コア・サーバーの一つで、1コアのコストは1時間あたり0.01米ドル、1 GB メモリのコストは1時間あたり0.0015米ドルです。Ampereは、シングルスレッド・コアを採用し、最大周波数3.0Ghzを維持することで、コアに対して直線的なスケーリングを実現しています。これにより、コアあたりのパフォーマンスがコア数の増加とともに徐々に低下することがなくなり、お客様は実際に支払う金額に見合ったパフォーマンスを得ることができます。AmpereのAltraプロセッサは、すべてのコアを最大周波数で実行できるため、各A1コアは予測可能なパフォーマンスを確実に提供します。さらに、コアは、同一プロセッサ上で実行される他のワークロードの影響から完全に分離されます。各コアは、64KBのL1 Iキャッシュ、64KBのL1 Dキャッシュ、巨大な1MBのL2 Dキャッシュを備えたシングルスレッド仕様となっています。これにより、できる限りの分離が確保され、予測可能なパフォーマンスが保証されます。また、シングルスレッド設計では、各スレッドが独自のコアとリソースを持つことが保証されるため、最近実証されたコア共有のスレッド・セキュリティ問題が生じることはありません。「OCI Ampere A1 Compute」シェイプは、最大80コアの仮想マシンと、160コアのベアメタル・インスタンスの両方で利用できます。
ベンチマークでは、OCI Ampere A1上でx264ビデオ・エンコーディングのワークロードを実行した場合、x86ベースのシステムと比較して、性能が最大10%向上し、価格性能でも最大22%のメリットが見られました。また、OCI Ampere A1上でNGINXリバース・プロキシのワークロードを実行した場合には、x86ベースのシステムと比較して、性能が最大46%の向上、価格性能では最大62%のメリットが見られました。
参考リンク:
オラクルについて
オラクルは、広範かつ統合されたアプリケーション群に加え、セキュリティを備えた自律型のインフラストラクチャをOracle Cloudとして提供しています。オラクル(NYSE:ORCL)に関するより詳細な情報については、www.oracle.com をご覧ください。
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