ビジネス課題
ゴンザガ大学では、学生登録を含む大学の多くの業務を、Bannerと呼ばれる、Ellucianの大学用のERPシステムで実行しています。2017年、ゴンザガ大学のITスタッフは、Bannerのバージョン8が独自のデータセンターで稼働しており、まもなくこのバージョンが廃止されて、新しいバージョン9へのアップグレードが必要になることを知りました。当時、この大学のITスタッフはクラウドファースト戦略に取り組んでいました。
プロジェクトの中心的な目標はBannerの新しいバージョン9を実行することでした。しかしITスタッフは、強力なセキュリティ状態を維持すること、これまで欠けていた障害時リカバリ機能を追加することが非常に重要であると考えていました。もう1つの目標は、本番用、テスト用、開発用の各環境でのリソースの共有を中止することでした。
「ゴンザガ大学のIT部門は、セキュリティを非常に重視しています。セキュリティは最も重要な3つの目標の1つでした。」とゴンザガ大学のCTOであるDarren Owsley氏は述べています。
Ellucian Banner Campus Solutions(学生情報システム)の既存の実装は、30台の仮想マシン上の独自のデータセンターと700 GBのOracle Databaseで実行されていました。このシステムは、80回にも及ぶ統合によって複雑化しています。ローカルの高可用性機能はいくつかありましたが、専用のオフサイト障害時リカバリ機能はありませんでした。そのためITスタッフは、許容しがたいほど長いリカバリ時間発生することを懸念していました。
当大学では、95% AWSに移行するところでした。[しかし]最終的には、インフラストラクチャ・チーム、ERPチーム、プロジェクト管理チームが全員一致でOCIを選びました。
ゴンザガ大学がOracleを採用した理由
同学のチームが他のアプローチではなくOracle Cloud Infrastructureを選択した主な理由は、コストでした。ゴンザガ大学のIT部門は、OCIへの切り替えによって25%の節約を達成できると推定しました。このチームは、独自に分析を行うだけでなく、同じアプリケーションを実行している他の大学の話も聞いたうえで、「(Oracle Databaseの)Campus Licenseを取得している場合、OCIへの移行は理にかなっている」という結論に達した、とOwsley氏は述べています。ゴンザガ大学のIT部門は、節約を実現するだけでなく、セキュリティ、障害時リカバリ、テスト/開発機能の改善にも予算を割り当てることができました。
ほかにも、ベアメタルサーバーをクラウドで実行する際のパフォーマンス、オンプレミスのOracle DatabaseのOCIへの移行の容易さなどのメリットを得ることができました。
ITチームの最優先事項は、以前と同じくセキュリティに重点を置くことでした。この大学は、Fortinetファイアウォールをオンプレミスで使用し、それに関連する構成とプロセスに多大な投資を行っています。ゴンザガ大学は、オンプレミスのFortiGateファイアウォールとOCIを統合して、オンプレミスで管理されているデータと合うように設定し、高いセキュリティ標準を維持できたことに満足しています。
統合の過程は非常にスムーズです。エンジニアがクラウドで行う構成作業はオンプレミスの場合とまったく同じため、シームレスな操作性が得られます。「OCIにデプロイしていることを伝えなければ、開発者や機能ユーザーはERPがクラウドに存在しているとは思わなかったでしょう。」とOwsley氏は述べています。
結果
最初のプロジェクトの焦点は、クラウドでバージョンのアップグレードとテストを行い、ユーザーが確信を得た時点で移行を行うことでした。クラウドに取り組んでいたスタッフは、新しいシステムの導入が簡単に行われ、タスクの完了が大幅に早くなることに気付きました。当初、このプロジェクトには9か月かかる予定でしたが、実際にはわずか7か月で完了しました。このプロジェクトの迅速化によって得られたメリットはその後のプロジェクトにも引き継がれ、一部のクラウドベースのデプロイメントでは、オンプレミスの場合より時間が75%短縮されました。