京王百貨店、Oracle Cloud Infrastructureを導入して、顧客満足度向上に向け、より高度で柔軟なデータ分析基盤を構築
京王百貨店は、戦略的情報分析および活用基盤の構築にOracle Cloud Infrastructure (OCI)で提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」を導入。社内基幹システムのデータ分析基盤を刷新しました。
“百貨店の運営において、顧客接点のデジタル化は顧客体験の向上の観点で大変重要です。OCI上にKeio Department Store Data Lake(KDSDL)を構築したことで、店舗、ネット販売などの顧客接点で蓄積されるデータ、および他の社内データや外部オープン・データ、ソーシャル・データなど全てを分析できる統合情報基盤を実現できました”
ビジネス課題
京王百貨店は、京王グループのリテール領域を担う中核企業であり、6つのサテライト店舗を含む8店舗の実店舗、京王ネット・ショッピングでのオンライン・ショッピングの運営を行っている日本の主要な百貨店です。1964年の開店以来50年以上にわたり、良質で時代性に富んだ商品をお客様に提供して、常により良いサービスの追求をしています。
近年では顧客接点の変化、特に時代の潮流であるSNSやWeb、メールなどデジタル化が進む世の中において顧客接点のデジタル化に関しても、いち早く多様なチャネルの開発や自社ネット通販の強化、新規事業の開拓にも注力しています。
現場スタッフがいち早く顧客ニーズを把握可能な、データドリブンによるリアルタイムな戦略的情報活用基盤を構築するために、同社はこれまでのメインフレームによるレガシーシステムからの脱却を決断し、顧客満足度および顧客ロイヤリティのさらなる向上を目指しました。その実現に向けて、これまで分散型で用いていた社内基幹システムに集まる社内の一切合切のデータをオラクルの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」で提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」に集約、全社員が利用する顧客情報や販売情報などの様々なデータをシームレスに取り込める統合化された戦略的情報活用基盤を構築しました。
京王百貨店が Oracleを選んだ理由
京王百貨店が求める戦略的情報活用基盤において最適なソリューションを遂行できるシステムの構築にはデジタル接点への対応だけでは不十分であり、また既存環境に多大なコストをかけて改修するのは得策ではないとの判断にいたり、全面的にプラットフォームそのものを刷新することを決断しました。
複数のソリューションを検討した結果、従来のようにDBAをアサインして手間と時間をかけてチューニングを行う必要がないこと、またオラクルのAI/機械学習を活用した自律的な最適化機能とともに Oracle Cloud Infrastructure (OCI)」のコスト面でのメリットも大きな魅力となり、自律型データウェアハウス・クラウドの「Oracle Autonomous Data Warehouse」を採用することを決めました。
さらに、データが増え続けてもチューニングなしで高速性能を維持できるという利点と、そして何より、今後自社で迅速且つ自在にデータを活用することを鑑み、オラクルのデータベースへの信頼が重要な決め手となり、OCIで提供される「Oracle Autonomous Data Warehouse」が最適であるという結論にいたりました。
結果
Oracle Autonomous Data Warehouse を京王百貨店のエンタープライズ・ウェアハウスと位置づけ、データソースとなる ERP の刷新が行われた際に、OCI上に移行した既存のBIツールも連携して、KDSDLとして稼働を開始しました。Oracle Autonomous Data Warehouseの自律機能により、管理や拡張、監視、チューニング、バックアップが全て自動化されました。コストに関しても主要他社クラウドサービスと価格比較をしたところ、30%ほどの運用コスト削減が可能であることも試算しています。また、OCIは二重三重に冗長化されていることで、障害発生の恐れが払拭された事もメリットのひとつです。
京王百貨店ではデータが日々蓄積され増え続けていますが、自動チューニング機能により高速なパフォーマンスが保たれており、パフォーマンス劣化の心配もなくなりました。旧システムでは前年比較だけで限界だったものが、現行のシステムでは4,000万件を超えるテーブルを含む複雑な2年分のデータで結合検索を行った場合でも1、2秒のレスポンスで結果を出すことができる高速化も実現しています。
更新データがリアルタイムに反映され参照できるようになったことで、販売現場からも高く評価されています。また、店頭のPOSからの全ての取引明細データを即座に受信し、店舗や売場といった管理レベルの集計がほぼリアルタイムに行えるようになったことで、店舗におけるまさにタイムリーな情報把握を実現しています。API連携による業務効率の向上も実現し、ギフト配送システムを刷新したデータ分析基盤へのデータ統合、連携を行ったことで、従来のシステムでは必須だった手作業が撤廃され、業務を大幅に効率化しています。
京王百貨店ではネット受注の配送連携強化を図るため、既存のギフト配送システムを新たにギフトシステムと配送システムに分離したシステムに刷新。インフラをOCIに移行するとともに、データベース基盤として「Oracle Database Cloud Service」を活用しています。Oracle Database Cloud Serviceを採用したことで、Autonomous Data Warehouseで構築したデータ分析基盤へのデータ統合と連携が容易であること、同一リージョン内ならシステム間のデータ転送コストが発生しないことも大きなメリットのひとつとなりました。
ギフトシーズンにおける販促は百貨店各社が一斉に行うため、メーカーの在庫の奪い合いになるケースが多くありますが、お中元やお歳暮の注文状況や在庫状況をバイヤーがほぼリアルタイムに確認できるようになったことで、売れ筋の分析や人気商品の在庫切れ予防など、商戦機会の最大化にも瞬時に社内でデータが活用されています。
Oracle Autonomous Data Warehouseで構築した新たなデータ分析基盤を基に多種多様なデータ分析が出来るようになったことで、京王百貨店では今後さらにローコード開発ツールである「Oracle Application Express(APEX)」の活用も検討しており、顧客満足度向上に向け、高度で柔軟なデータ分析基盤をより一層「戦略的情報活用基盤」として進化させる取り組みを進めています。
パートナー
Oracle PartnerNetwork(OPN)パートナーである アシスト の提供する「Oracle Cloud環境構築支援サービス」、および、オラクルの コンサルティング部門 が提供する「Rapid Start Service for Autonomous Data Warehouse Cloud」を活用して、約1カ月という短期間でシステム構築および導入展開を実現しました。