ポーラ・オルビスが経営基盤となる財務・経理システムをOracle Cloudへと刷新

多様化する“美”の価値観に対応する事業拡大に向け、全社的なデータドリブン経営基盤を整備するため、「Oracle Cloud ERP」と「Oracle Cloud EPM(EDMCS)」を導入しました。

共有する:

今回のシステム刷新を機に、コーポレート単位の会計情報だけではなく、事業、地域、チャネル、商品など細かな軸で経営管理に必要なデータを集約して可視化する環境が整いました。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室 樋口 伸 氏

ビジネス課題

ハイプレステージブランド「ポーラ」と、ミドル価格帯の「オルビス」。2つの基幹ブランドを中心に、約10ブランドを束ねるポーラ・オルビスホールディングス。もともと同社では、ホールディング制の強みを生かして、グループ各社が独立性を持って機動的に事業を展開していました。しかし近年では、グローバル展開を中心に、ブランドを横断して取り組む戦略が増えています。

ブランド間でシナジーを創出していくために、各ブランドの経営管理情報を正しく把握・分析することが欠かせません。しかしながら、これまで多くの情報は紙ベースで集約されていたため効率が悪く、ブランドごとのルールが統一化されていないため情報の精度にも不安がありました。

情報基盤の整備が喫緊の課題として迫る中、2010年の上場のために導入した会計パッケージが、バージョンアップを検討すべき時期に差し掛かっていました。半年以上の時間がかかるオンプレミスでのバージョンアップ作業による時間的損失、また月末月初にアクセスが集中する会計業務に合わせたハードの構成による無駄を考慮し、これを機に、SaaS型クラウドへの刷新を検討することになりました。

選定開始当時、SaaS型ERPの導入事例の少なさを懸念しましたが、機能の充足度、将来性を見据え、オラクルを選定しました。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 総合企画室 樋口 伸 氏

Pola OrbisがOracleを選んだ理由

2018年から製品選定を開始し、最終的に 「Oracle Cloud ERP」 と、「Oracle Cloud EPM」, エンタープライズデータ管理である「EDMCS」を選定しました。

当時、SaaS型のERPの国内導入例はそれほど多くなかったため、導入前に外部の専門家や実際に導入している企業にインタビューへ行きました。一般的にオンプレミス型からSaaS型に移行すると、使えなくなる機能があると言われていますが、「オラクルは充足度が高い」という声や、グローバルで事業を展開する同社にとって重要な海外での実績という点が、選定の後押しとなりました。なお、パートナーもグローバルの知見が豊富なIBMが担当しています。

今回のシステム刷新は、会計のみならずグループの経営管理情報を集約して経営判断に生かすことが最終目標となります。そのために必要な情報の集約ルールを決めることが、最初の重要なポイントでした。グループ各社と細やかな調整を実施し、各社の基幹システムから出てくるデータとグループ共通のデータのひも付けは「EDMCS」で行っています。

今回のシステム刷新を機に、コーポレート単位の会計情報に加え、事業、地域、チャネル、商品など細かな軸でグループ経営管理に必要なデータを集約して可視化する環境が整いました。

結果

2022年1月、システムの本稼働がスタート。本稼働後の課題であった各社システムとのデータ連携時のエラー発生も稼働後3カ月後の時点で徐々に落ち着いてきており、今後の効率的な自動連携に大きな期待が寄せられています。

今回のシステム刷新を機に、全社的な会計データだけではなく、事業や地域、チャネルや商品といった様々な軸で、経営管理に必要なあらゆるデータを集約して可視化する環境が整備されました。今後は、実績ベースでデータを積み上げる段階を経て、多軸での見通しや予算情報を可視化し、経営管理にまで活用していく予定です。

最後に、同社グループデジタルソリューションセンター 土屋衛史氏が、今回のプロジェクトの意義を改めて語ってくれました。

「マルチブランド戦略の強みを生かすために、ブランドのコアを支えるシステムは各社で用意したほうがいい場合もある。しかし、会計など汎用的な業務については、世の中のベストプラクティスを導入して効率化を図るべき。同じルール、同じ仕組みで品質の高いデータを集めることができれば、次のステップである分析にもつながります。私たち自身も挑戦中ですが、個別と共通のメリハリをうまくつけながらやっていきたいです。」

パートナー

日本アイ・ビー・エム株式会社が 、豊富な「Oracle Cloud ERP」の導入経験を活かし、プロジェクトの稼働を支援しました。

公開日:2022年7月27日

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

2006年設立。同社基幹ブランドのポーラ・オルビスを中心に、化粧品業界では国内第4位の売上を誇る。近年は国外展開や、物販以外の事業を手掛けるなど、多角化戦略でさらなる成長を目指している。