従来のCRMの限界点を乗り越える

セールスツールに関するBeagle Research社のレポートをご覧ください。

CRMの導入に関するベストプラクティス・ガイド

CRMソフトウェアは、顧客の連絡先を管理するだけのものではありません。収益の成長や生産性、そして顧客満足度を後押しするものです。CRMシステムの導入により、多くの企業が大きな成果を上げています。しかし、中には期待した成果を上げることができなかった企業も存在します。コスト超過や統合の課題、ユーザーの受け入れ態勢が不十分といった、導入にまつわる問題に直面しているのです。しかし、CRMの導入の適切な計画と実施によって、こうした問題はすべて回避することができます。

顧客関係管理 (CRM) ツールを適切に導入することで、セールスプロセスの合理化や販売プロセスの改善、より包括的な顧客情報への従業員のアクセスなど、大きな投資回収をすることができるのです。

CRMシステムの導入方法

もしあなたがCRMの導入プロセスに関与しているのであれば、ここではよくある落とし穴を回避し、CRMへの投資から大きなリターンを実現する10のステップを紹介します。

1

測定可能なビジネス目標を設定する

導入プロジェクトがもたらすであろう、具体的なビジネス上のメリットを定義しましょう。一見、当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、多くのプロジェクトがこのステップを経ずに失敗しています。何を具体的に実現したいのかを明確にしましょう。

  • 販売1件あたりの平均売上単価の向上
  • カスタマー・ロイヤルティと維持率の向上
  • より多くのセールス・リードの獲得
  • 顧客獲得コストの低減
  • 売上予測の精度向上
  • カスタマー・サービスの応答時間の向上
  • 成約率の向上

CRMソリューションは、セールス、サービス、マーケティングのあらゆるニーズに対応します。したがって、達成したいことに優先順位をつけ、それに応じて最適なツールを選択する必要があります。可能性は無限大です。しかし重要なのは、どのクラウドCRMが自社のビジネスに最も貢献できるかを理解することです。

CRMの導入に成功している企業は、詳細なビジネス要件のリストをもとに、ソリューションを購入しています。こうした企業は、「カスタマー・サービスを向上させる」といった単純な目標を設定することはありません。「カスタマー・サービスの応答時間を25%短縮する」など、具体的な課題を目標に設定しているのです。

2

ビジネス目標とIT部門を連携させる

CRMはテクノロジーによって支えられていますが、テクノロジーそのものが目的ではありません。CRMは、顧客対応のプロセス改善が目的であり、テクノロジーはその目的を達成する手段に過ぎません。CRMの導入計画を成功させるためには、関係者全員がこのことを理解し、それを強化する仕組みとプロセスを構築する必要があります。

ビジネスとITを融合させることは重要ですが、あくまでビジネスを推進するものでなければなりません。ビジネス目標の設定において、有意義な結果をもたらすことにフォーカスすることで、CRMの機能が活きるのです。IT部門とLOB部門のマネージャーが、測定可能かつ明確な目標の下で足並みを揃えることで、CRMの計画をよりよいものに導くことができるのです。

成功するCRMプロジェクトというのは、システムの設計と実装の責任を、ビジネス・スポンサーとIT担当者の双方が負うものです。ビジネス・ニーズと要件は、設定を決める際の指針となるべきものです。そのため、多くの企業では、ビジネス・プロジェクト・マネージャーとシステム・プロジェクト・マネージャーが協力して、機能的にも技術的にも適切な意思決定を行うことが必要です。

3

導入プロジェクト開始前に、経営陣のサポートとスポンサーシップを得る

CRMプロジェクトは戦略的な取り組みです。そのため、経営陣の積極的な支援が必要です。経営陣の承認(新システムがどのようにビジネス目標をサポートするかというの説明を含む)がなければ、CRMの取組みは、利用を予定している人々から敬遠される可能性があります。もしCRMが企業の生き残りにおいて重要であるならば、経営陣は、CEOのトップダウンでそのメッセージを伝えなければなりません。

4

ビジネス目標が機能性を左右する

ビジネス目標がCRMの設定を決定するのと同様に、すべての設定はビジネス・ニーズに役立つものでなければなりません。つまり、ある機能がカスタマー・サービスの向上に直接的に役立たないのであれば、おそらくその機能は必要ないと言えるでしょう。

すべての設定は、5つのビジネス目標のうち少なくとも1つをサポートする必要があります。

  • 収益性の改善
  • 顧客価値の向上
  • ビジネス/販売プロセスの簡素化/合理化
  • 技術コストの削減
  • システム性能の向上

また企業は、必要に応じて、ビジネス目標のサポートにおいて、CRMを使用してジョブ機能の範囲を拡大(または変更)することができます。例えば、セールス・チームは CRM を使って顧客管理を改善し、より多くの売上に寄与することができます。しかし、カスタマー・サポートに問題を抱える既存顧客のサポートを目的として使用することで、顧客生涯価値を高めることもできます。

5

ネイティブ機能を活用し、カスタマイズを最小限に抑える

過剰なカスタマイズは、CRMの導入が予算超過し、納期遅延を引き起こす、最もよくある理由の1つです。プロジェクト・チームが標準的なアプリケーションを採用しようとすると、プロジェクトの要件が、当初の予測以上に増加してしまう可能性があり、実際に業務で求められるよりも専門性の高い製品になってしまうでしょう。また、レガシー・システムでカスタマイズしているがゆえに、CRMソフトウェアもカスタマイズしてしまう可能性もあります。どちらの場合であっても、プロジェクト・チームは予算とスケジュール遵守に苦慮することでしょう。

カスタマイズは、CRMの導入において最もコストと時間がかかり、かつ多くの場合、複雑です。そのため、自社の要件を満たすネイティブなCRMアプリケーションを選択することで、ソリューションのライフ・サイクルにおける総所有コスト (TCO) を劇的に削減することができます。

レガシー・ソリューションの完璧な模倣は避けたいはずです。その代わり、自社のニーズを満たすネイティブな機能を提供するCRMソリューションを慎重に選択する必要があります。

CRMのカスタマイズを始める前に、まずアプリケーションの既存の機能を検討してみましょう。ネイティブ機能が予想以上にビジネス要件を満たしていることがわかり、高額なカスタマイズが不要になるかもしれません。

CRMソリューションを導入する前に、それを使用する人々向けのビジネス・シナリオを作成することで、CRM ソリューションが役に立つ部分とそうでない部分を判断することができます。そして、それぞれのギャップに対応するために、ソフトウェアをすぐにカスタマイズしなければならないのか、それとも後のリリースでそのギャップを調整できるのかを決定します。

6

導入において、トレーニングを受けた経験豊富なコンサルタントを起用する

ソフトウェア・コンサルタントは、CRMの導入要件における自身の能力について、時として強気な発言をすることがあります。CRMの導入を期限内かつ予算内で確実に行うには、正しい導入方法について徹底的な訓練を受け、それらのアプリケーションを実際に導入した経験を持つコンサルタントを探してください。インテグレーションのパートナー候補がこうした基準を満たしていることを確認するには、どうしたらよいのでしょうか。CRMソフトウェアのベンダーから最新リリースの認定を受けている人を採用してください。

認定コンサルタントを利用するということは、そのソフトウェアを熟知している人と仕事ができるということです。こうした人々は、非認証コンサルタントよりもはるかに効果的に、ビジネス要件をソフトウェアの設定に反映させることができます。また、CRM導入プロジェクトにおいて、必要な時間とリソースについて、より現実的に予測することができます。

7

CRMユーザーを積極的に巻き込む

現場のプロフェッショナルが持つ知識をシステム設計に反映させましょう。ユーザーの意見を聞き、それに基づいて行動しない限り、CRMを導入しても、本来支援すべきはずのユーザーをかえって混乱させ、不快にさせるリスクがあります。まず、このソリューションのネイティブ機能を見せることで、きっと彼らは、その効果を高める上で製品として何をすべきかを正確に教えてくれるでしょう。

たとえばインターフェイスのデザインにおいては、できるだけ直感的で使い勝手の良いユーザー・インターフェイスを作ることが大切です。しかし、直感的かどうかを判断できるのは、そのソフトウェアを使う人たちだけです。そのため、プロトタイプを実際に使ってもらい、ユーザーの意見を参考にしながら画面を調整しましょう。その結果、より優れた、直感的な画面設計となり、ユーザーにも高いレベルで受け入れられるでしょう。たとえ、ユーザーの意見に基づく修正が比較的小さなものであったとしても、ユーザーの参加によって生まれるオーナーシップの感覚は、そのソリューションに対する熱意を大きく後押ししてくれるはずです。

8

CRMユーザーへのトレーニングに投資する

CRM導入プロジェクトの成功には、CRMユーザーに適切なトレーニングを提供することが重要です。トレーニングは後回しにすべきではありませんし、ソフトウェアの機能の使い方を見せることだけに焦点を当てるべきではありません。むしろ、CRMシステムによって実現される業務プロセスの効果的な実行方法を従業員に伝える必要があります。

またCRMの導入によって、企業の業務プロセスは変化します。そのため、変更管理にも重点を置く必要があります。従業員は、新しいプロセスとCRMソリューションが、企業のカスタマー・サービス向上にどのように役立つかを理解しておく必要があります。もし、従業員がそのシステムを導入することで、長期的にどのような効果が得られるかを理解すれば、きっと積極的に受け入れてくれるでしょう。

しかし、そのような支持や賛同を得るためには、CRMソリューションの設計と関連するトレーニングの開発において、序盤からシステムユーザーを関与させる必要があります。この点については、ステップ7をご覧ください。

9

段階的な導入スケジュールの採用

成功するCRMプロジェクトの多くは、段階的な導入スケジュールに基づいており、各フェーズは特定の目標に焦点を絞っています。各フェーズでは、それ以前のフェーズで行われた作業と学びを活かし、短期間(通常3~4ヶ月)で大きなビジネス・インパクトをもたらします。

複雑なプロジェクトを、管理しやすい大きさに分割し、「短期間で成果を上げる」ことで、統合チームからCRMのユーザーに至るまで、新しいシステムに対する熱意を生み出します。

また、段階的な導入には、途中経過において気づきがあるというメリットもあります。新しいアイデアを低リスクで試すことができ、顧客からのフィードバックを開発設計に反映させ、同じミスを繰り返さないようにすることができます。

フェーズ分けは、納期遅延とは意味合いが異なります。多段階プロジェクトの各フェーズには、それぞれ厳密なスケジュールを設定し、全体的な導入設計が、義務付けられた期限内に収まるようにしなければなりません。ほとんどの導入プロジェクトは、初期フェーズを1四半期で終え、1年以内に導入完了できるはずです。6-8四半期を超える導入は避けるべきで、ROIはもっと早く目に見える形で現れるはずです。

10

測定、モニタリング、トラッキング

CRMシステムを稼動させたら、システムの効果を測定、モニタリング、トラッキングし、継続的にパフォーマンスを向上させる必要があります。CRMのメリットを享受できる企業というのは、早い段階でプロセスのベンチマークを行うものです。こうした企業は、プロセスの主要なパフォーマンス指標を見つけ、新しく導入したCRMシステムがそれらの指標にどのような影響を与えるかを測定しています。

また、定期的に顧客の態度や行動を調査し、CRMが顧客にどのような影響を与えているかを判断する必要があります。顧客調査を実施する場合は、独立したサービスを利用しましょう。このようにアウトソースすることで、専門的なスキルを活用し、業界のベンチマークにアクセスできるだけでなく、より信頼性の高い、偏りのない顧客の回答を確実に得られる可能性が高くなります。

最後に、モニタリングの結果を、CRMシステムに関与するすべての人に報告する必要があります。この最後のステップは、ループをクローズすることで、必要に応じて調整することができます。

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