カスタマー・エクスペリエンス(CX)を改善する方法

カスタマー・エクスペリエンス(CX)は行動ではありません。それは、気持ちを表すものです。CXとは、顧客(あるいはすべての人)が、あなたのブランドと接した際に、あなたのブランドに対してどのような印象を持つかということです。すべてのインタラクションは、その印象を良くしたり、逆に悪くしたりする可能性を秘めています。そのため、顧客があなたのブランドに対して抱いている良い印象を維持し、さらに向上させることは、きわめて重要な課題であり、集中的に取り組むべきことです。しかし、カスタマー・エクスペリエンスを向上させるには、どうすればよいのでしょうか。それには、お客様が誰で、何を期待しているのかを知ることが必要です。

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ネガティブなカスタマー・エクスペリエンスがもたらす影響

不快なカスタマー・エクスペリエンスほど、ブランドを傷つけるものはありません。しかし、あなたのブランドが以下のように思っていると顧客が感じてくれれば、たとえ製品が壊れていたり、欠陥があったとしても、顧客はそれを許し、ビジネスを継続してくれる可能性が高くなります。

  • 話を聞きたい
  • 状況を理解したい
  • 助けたい

これら3つの、非常にあいまいなカスタマー・エクスペリエンスの目標を達成することは、至難の業です。相手の話を聞きたい、助けたいという気持ちを伝えるには、具体的にどうすればいいのでしょうか。なかなか難しいですよね。しかし、時間をかけ、適切なツールを使い、確固たる戦略を立てれば、顧客一人ひとりのカスタマー・エクスペリエンスを向上させて、生涯にわたりあなたの顧客でいてくれるようにすることができるのです。

カスタマー・エクスペリエンス(CX)向上に向けたステップ

1

使いやすさ向上のために、カスタマー・ジャーニーを特定・監査する

もはや、一般的で直線的なカスタマー・ジャーニーは存在しません。そのため、一部のチャネルのみに、労力やアセット、資金を費やすことはもうできません。すべてのチャネルに対応する必要があります。

顧客はさまざまな理由でサイトを訪れ、アセットをダウンロードします。また彼らは、あらゆるチャネルを使ってブランドにコンタクトを取ります。ユーザーがブランドとインタラクションする理由は、人それぞれです。製品を閲覧するため、事業内容を理解するため、フィードバックを提供するため、購入するため、特典を利用するため、情報を得るため、購入をキャンセルするため、購入を変更するためなどの理由が考えられます。顧客のタイプ別にジャーニーを作成したら、デジタルチャネルでビジターテストを実施し、人によるやり取りでフィードバックを求めましょう。何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを知るには、顧客や見込顧客から直接情報を得るのが一番です(詳しくは#2をご覧ください)。

2

真のCXセンチメントを見極める

多くの場合、カスタマー・ジャーニー監査やテスト、その他のカスタマー・フィードバックなどから、本当のカスタマー・エクスペリエンスを浮き彫りにするのは難しいものです。うまくいっていること、うまくいっていないことを特定することはできます。しかし、親指を上に向ける「いいね」や、下に向ける「よくないね」をはじめとする、さまざまな測定方法では、エクスペリエンスを完全に決定付けることはできません。カスタマー・エクスペリエンスは、主観的なものです。ブランドが提供するエクスペリエンスについて顧客がどう感じているかを真に理解するには、さまざまな角度からセンチメントを測定する必要があります。

アンケートは効果的ですが、さまざまな種類の質問を用意し、慎重に構成する必要があります。例えば、回答に「はい」と「いいえ」を用いない自由形式の質問を用意すれば、好きなように書いてもらうことができます。自由形式の質問は、選択式の質問と異なり回答が制限されないため、これまで見えていなかった問題や機会を発見するのに適しています。あなたは、選択式のアンケートを見て、「この中のどのカテゴリーも、私には当てはまらない」と思ったことがありませんか?

その一方、選択式の質問は分析がしやすいという利点があります。また、短時間で回答できるため、回答率は高くなります。しかし、回答者が自分の気持ちを正確に表現するには限界があります。対処方法として、選択肢の最後に自由回答欄を設けることもできます。

また、複数の異なる評価段階(スケール)の回答を提供する、評定尺度法を用いた質問を利用するという手もあります。回答率は高くなりますが、回答を明確に区別しないとかえって混乱を招くことになります(例えば、1:全然簡単じゃない、5:とても簡単)。顧客は「素晴らしい」を意味する「5」を選んだつもりでも、実際には「最悪だ」を意味する回答かもしれません。

その他、アンケートの質問には以下のようなものがあります。

  • ノミナル(名目から成る)質問
  • リッカート尺度
  • セマンティック・ディファレンシャル法
CXの未来に関する、最新の調査結果をご覧ください。
3

オムニチャネルでの、一貫したカスタマー・エクスペリエンスの実現を目指す

最近では、ほとんどの人がOTT(オーバー・ザ・トップ)デバイスを使ってTV番組をストリーミングしています。Netflix、Hulu、Amazon Primeなどのストリーミング・サービスを利用する平均的なユーザーは、3つのデバイスと、3つのOTTサービスを使ってコンテンツを視聴しているとのことです。視聴者は、どの部屋にいても、どのデバイスを使っていても、そのエクスペリエンスが一貫性のあるものであってほしいと思っています。つまり、デバイスを変えてたとしても、中断したところから正確にコンテンツを再生できるようにしたいのです。このような期待は、店舗、モバイルアプリ、Webサイト、電話応対など、場所や方法、相手が変わっても、私たちが企業と関わる際にいつでもついて回ります。誰にでも好みのチャネルはありますが、ほとんどの人は、そこまでチャネルにこだわっていません。その一方、誰もが一貫したエクスペリエンスを期待しています。効果的なCX戦略を持つ企業は、個人のニーズに対応しながらも、すべてのチャネル間で類似性のあるサービスを展開しています。

4

カスタマー・エクスペリエンスをパーソナライズする

チャットウィンドウが、「ご訪問ありがとうございます」という標準的なテキストとともに起動することが、頻繁にあります。これをもっと印象的に残るカスタマー・エクスペリエンスに変えるには、その顧客が見ているもの、感じていること、体験していることに合わせて、デジタル・アシスタントがパーソナライズされた質問を冒頭に投げかける必要があります。例としては次のようなものがあげられます。「カートに24.5cmと25cmの赤いブーツが入っています。サイズ選びをお手伝いしましょうか?」このチャットの優れている点は、容易に入手できるファーストパーティ・データを使って、ありふれたものでない、思慮深くパーソナライズされたエクスペリエンスを提供している点です。

5

CXのプロセスを自動化する

オートメーションはCXを飛躍的に向上させます。人的ミスを減らし、ルーチンワークを効率化し、作業を容易にします。しかし、カスタマー・エクスペリエンス管理はどうでしょうか。それは具体的なようで、同時に抽象的なものでもあります。例えば、自由形式のアンケートから得られたフィードバック・データを大規模に分析し、CX活動の効率を測定し、どのギャップを埋めるべきかを決定することは、人間にとって困難な作業でしょう。このような作業を行うには、直感や推測、一般論やランダムな選択などに頼るしかないかもしれません。

しかし、その必要はありません。自動化はすでに始まっており、多くの企業がCXソリューション・スイートを通じてその恩恵を受けています。このソリューションでは、関連するカスタマー・データを使用して、顧客(および見込顧客)がブランドとどのように関わり、その関わりから何を期待し、どの分野のエクスペリエンスを見直す必要があるかを完全に把握できるようになります。

6

カスタマー・データ戦略の策定

データをうまく活用できている企業は、顧客をよりよく理解し、顧客が求めるエクスペリエンスを提供できるようになります。また、多くの場合、顧客の要望を先取りして、どのような手段を講じるべきかを予測できるようになります。しかし、データがあっても、それを適切に分析し、分析結果に基づいて行動しなければ何の意味もありません。多くの企業は、データを情報に変換し、情報をインテリジェンスに変換することに関して、著しく遅れをとっています。

構造化データのうち、意思決定に積極的に使用されているのは半分以下で、非構造化データのうち、分析・活用されているものはさらに少ないでしょう。およそ70%の従業員が、アクセスすべきでないデータにアクセスする一方、アナリストの時間の80%は、データ分析にではなく、単にデータを発見したり準備したりすることに費やされています。情報漏えいは多発しています。不正データはサイロ化されており、企業のデータソリューションは、合成が必要な大量のデータに対応できていません。

カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)やデータ管理プラットフォーム(DMP)を使用することにより、顧客の状況をより詳細に把握できるようになります。

これらのソリューションは、包括的なデータ戦略と組み合わせることで、データを適切にコンテキスト化することができます。そしてそれを活用して顧客にリーチし、つながりを深めることで、エンゲージメントやコンバージョンのレベルを向上させることができます。また、CDPとDMPによって、企業では以下のことが可能になります。

  • 適切なグループをターゲット化およびセグメント化できる
  • 個人レベルでメッセージやオファーをパーソナライズできる
  • 必要なときにスケーリングできる
  • 何が顧客の心に響いているのか、顧客が何に反応し、何に反応しないのかを評価できる
  • マーケティングキャンペーンを調整、見直し、改善できる
7

関連性の高い魅力的なコンテンツを作成する

顧客の注目を集め、それを維持できる、魅力的で関連性の高いコンテンツは、マーケティング・キャンペーンの成功には欠かせないものです。では、どうすれば関連性の高い、魅力的なコンテンツを作成できるのでしょうか。答えは簡単です。基本的には、顧客やオーディエンス・セグメントが興味を持ちそうな情報や解決策を提供するコンテンツを作成する必要があります。これは文章だけに限りません。これには、動画(企業および顧客・インフルエンサー作)、ウェビナー、インタラクティブWebサイト、ランディングページ、デジタル・アシスタント用スクリプト、インフォグラフィックなどが含まれます。

コピーは切れ味よく、要点を押さえ、正確に書けていること、そして、どのようなフォーマットであっても、目を引くような好ましいデザインであることが大切です。コンテンツ戦略を立てることは、コンテンツの戦術的な配置やポジショニング、さらには派生的なコンテンツの作成と再利用に役立てることができます。正しいKPIを設定し、指標とデータに細心の注意を払うことで、オーディエンスが何を好み、それに応じてコンテンツ戦略をどう調整すればよいかが明らかになります。

8

顧客中心主義を維持するために、データをCXソリューションの中心に据える

ひとつだけ変わらないことがあります。カスタマー・エクスペリエンスを設計し、構築していく上で、マーケティング担当者の行動の中心にあるのは、顧客であるということです。つまり、マーケティング担当者が導入する、あらゆるテクノロジーは、カスタマー・データ、データ戦略、ターゲティングと最適化、オーディエンス・セグメンテーションに影響を及ぼすものであるということです。

9

CRMでアジリティを高める

10年前とはマーケティング、セールス、カスタマーサービスのあり方が大きく変わっています。チームは、目標や機能に応じて形成され、どうすればより良いサービスを提供できるかにフォーカスしています。そして、顧客は常に移動し、成長し、変化しています。顧客が求めるエクスペリエンスやインタラクションを提供するためには、アジリティや適応性を高めると同時に、CRMデジタル・マーケティング、ブランド、セールス、カスタマー・サービスフィールド・サービス、そしてeコマースにおけるサイロを解消しなければなりません。

アジリティを高めるには、単に新しいツールを導入するだけでは不十分です。テクノロジーは重要ですが、それだけでは成り立ちません。顧客をリサーチし、特定し、理解した上で、その情報をもとに顧客のニーズを満たすデジタル・エクスペリエンスを構築する必要があるのです。顧客に買ってもらうより、顧客を理解することのほうが大切です。そして情報は、アジリティと適応力へのカギとなります。顧客が何をしているのか、誰なのか、どこへ行こうとしているのかが分かれば、適切なプロセスやテクノロジーを導入し、適切な従業員を配置して、CXの向上に取り組むことができます。

10

AIや機械学習を使ってエクスペリエンスを向上させる

最近の調査では、企業の2/3(PDF)が、CXのために少なくとも1つの先進テクノロジーを使用していると回答しています。CXにAIを活用している企業の約半数(45%)が、顧客一人当たりの売上が増加したと回答しています。

デジタル・マーケティング担当者にとって、テストや最適化ツール、カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)、AIや機械学習を組み込んだマーケティング自動化ソフトウェアを最大限に活用することが重要です。多くの企業では、デジタル・アシスタント、対話型検索、音声アシスタントなどの次世代ツールを活用して、顧客がブランドにコンタクトするための新しい方法を提供してます。実際、64%(PDF)の企業が現在インテリジェント音声アシスタント/自動チャットボットを使用または試験的に導入しており、51%(PDF)が音声アシスタント/チャットボットによって顧客問題解決までの時間を短縮しています。

87%
の企業は、1年以内に大きなビジネス価値を実現しています。
90%
の企業は、コネクテッド・デバイスを通じて、多くのファーストパーティーのカスタマー・データを取得しています。
55%
の、CXが差別化要因であると考える企業は、AIと機械学習を利用しています。
86%
の企業は、すべての製品・サービスをAIでカスタマイズしています。

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