Oracle Data Platform for Energy and Water

AIを活用したデータ・インサイトが植生管理の改善にどのように役立つか

より正確な予測による植生管理戦略の強化

多くの組織にとって、植生管理(VM)は燃料関連を除けば最大の運営コストです。VM作業に優先順位をつけるには、画像、作業管理システムのデータ、規制要件、気象情報、リスクモデル、地理空間データなど、複数のソースからデータを取得し、それらを組み合わせる必要があります。そして、このデータを使用して、ネットワークの3Dモデルとその周囲の植生を慎重に記録し、組み合わせることによって、資産と植生の間の距離を正確に計画し、予測できるようにする必要があります。地形調査からのデータを分析(植物の健全性指標など)とともに活用することで、公共施設は植生メンテナンスのリソース、予算、作業手順を最適化することができます。

高度な画像処理テクノロジーによるコスト削減と植生管理戦略の改善

植生管理計画の一環として、樹冠、つまり植生の高さを測定する際には、LiDAR(光検出と測距)と写真測量の両方が使用されます。また、植生の高さの測定は、これらのテクノロジーの最も一般的な用途の1つです。この2つの(併用されることも多い)テクノロジーは、植生の高さと状態を正確に導き出すために、高度な分類とフィルタリング・アルゴリズムを必要とします。公益事業者はこれらのテクノロジーを使用して、構造的に不健全な樹木を特定し、電線や開閉装置のコンポーネントに影響を与える可能性のあるツル性植物などを分析し、重要な機器の近くにある、野生生物を誘引するような植生を管理しています。

概要のアーキテクチャは、Oracle Modern Data Platformと高度なML/AIテクノロジーおよびNVIDIA GPUの統合を示すものです。この組み合わせにより、植生の3次元表現の生成が可能になり、単なる2次元の描写を超えた詳細を提供することができます。例えば、樹木の種類、成長、インフラからの距離、その他の詳細をより正確に判断することができます。

以下、高度な画像処理テクノロジーによるコスト削減と植生管理戦略の改善に関する図と説明

この図は、Oracle Data Platform for Energy and Waterを使用して植生管理のユースケースをサポートする方法を示しています。このプラットフォームは、以下の5つの柱を掲げています。

  1. 1 データソース、検出
  2. 2 取込み、変換
  3. 3 永続化、キュレーション、構築
  4. 4 分析、学習、予測
  5. 5 測定、実行

Data Sources、Discoveryの柱には、3つのカテゴリーのデータが含まれます。

  1. 1. ファーストパーティ・データは、資産メタデータ、GISデータ、LiDAR画像、衛星画像で構成されています。
  2. 2. アプリケーションには、停電および保守管理システムが含まれます。
  3. 3. サードパーティ・データには、気象情報からのデータが含まれます。

取り込みと変換のピラーは、2つの機能で構成されます。

  1. 1. バッチ取り込みでは、Oracle Integration Cloud、Spatial Studio、OCI Data Integration、およびData Studioを使用します。
  2. 2. 変更データの取得には、OCI GoldenGateとOracle Data Integratorを使用します。

2つの機能は、永続化、キュレーション、構築のピラーの中で、サービング・データストアとクラウド・ストレージに一方向に接続します。

永続化、キュレーション、構築の柱は、4つの機能で構成されます。

  1. 1. サービング・データストアには、Autonomous Data Warehouseを使用します。
  2. 2. クラウド・ストレージには、OCI Object Storageを使用します。
  3. 3. バッチ処理には、OCI Data Integration、FunctionsおよびData Flowを使用します。
  4. 4. ガバナンスにはOCI Data Catalogを使用します。

こうした機能は、柱の中で接続されています。クラウド・ストレージは、サービス・データストアには一方向に接続され、バッチ処理には双方向に接続されています。

メタデータ行は、サービング・データストアとクラウド・ストレージからガバナンスに一方向に接続します。

分析、学習、予測のピラーに接続する2つの機能: サービング・データストアとクラウド・ストレージは、分析と可視化、ローコードAppDev、予測、学習、AIサービスに一方向に接続します。

分析、学習、予測のピラーは、6つの機能で構成されます。

  1. 1. 分析と可視化には、Spatial Studio、Oracle Analytics Cloud、ISVを使用します。
  2. 2. データ製品、APIには、OCI API Gateway、Oracle Integration CloudおよびOCI Functionsを使用します。
  3. 3. ローコードAppDevには、APEXとOracle Visual Builderを使用します。
  4. 4. 予測には、OCI Data ScienceとOracle Machine Learningサービスを使用します。
  5. 5. 学習には、OCI Data ScienceとOracle Machine Learningのノートブックを使用します。
  6. 6. AIサービスには、OCI Vision、OCI Language、サードパーティ製品を使用します。

データ製品、API機能は、予測機能に一方向に接続されます。

サービング・データストアとオブジェクト・ストレージは、OCI Data Catalogにメタデータを提供します。

測定、実行のピラーは、植生管理モデルをサポートし、パフォーマンスを監視するために、データ分析をどのように適用できるかを示しています。これらのアプリケーションは、2つのグループに分けられる。

  1. 1. 最初のグループ、「人とパートナー」には、植生管理チーム、システム信頼性、運用・保守が含まれます。
  2. 2. 2つ目のグループ、「アプリケーション」には、Oracle Field ServiceとOracle Utilities Work and Asset Management、エンタープライズ資産管理、作業管理システム、フィールド・サービス管理が含まれます。

3つの中心的な柱である、取り込み、変換と永続化、キュレーション、構築と分析、学習、予測は、インフラ、ネットワーク、セキュリティ、IAMでサポートされます。


植生管理論理アーキテクチャ

ユーティリティ企業が植生管理戦略を効果的に策定できるように、データをアーキテクチャに取込む方法は主に2つあります。

  • ストリーミングに対応できないシステム(たとえば、古いSCADA(監視制御・データ収集)システムや保守管理システム)からデータを取り込むには、バッチ取り込みを使用します。このユースケースでは、高解像度の画像、気象データ、GPS、メンテナンス、および停電管理システムからのデータが、さまざまな間隔で取り込まれます。オラクルはこれらのデータセットを、Oracle Integration Cloudを使用して、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のObject Storageにロード、またはOracle Autonomous Data Warehouse(ADW)に直接ロードします。また、関連するインフラストラクチャと周辺の植生のLiDARやその他の画像をキャプチャし、通常はAPIまたはOCIコマンドライン・インターフェイスを介してOCI Object Storageにロードします。
  • さらに、Oracle Cloud Infrastructure GoldenGateを使用して、障害システム、保守管理システム、リソース・プラニング・システムなどの運用システムから、変更データ・キャプチャを介してデータを取り込みます。

データの永続化と処理は、3つのコンポーネントで構築されています。

  • すべてのソースから取り込まれた生データはクラウド・ストレージに保存されます。最初にOCI Visionまたはサードパーティのオプションを使用して、画像に直接ラベルか注釈を付けます。注釈付けの過程で、各画像のさまざまな領域が、植生の種類、送電線、配電線、電柱などによって分類されます。このユースケースでは、OCI Data ScienceとNVIDIAプラットフォームおよびライブラリを組み合わせて、3次元画像を提供しています。その後、OCI Data IntegrationまたはOCI Data Flowをバッチ処理 に使用し、収集したデータを必要に応じて統合、キュレーション、強化します。OCI Data Integrationは、データ・パイプラインを構築および保守する場所です。さまざまなデータ資産(データベース、アプリケーション、オブジェクトストレージ、REST APIなど)用の幅広いコネクタが付属していますが、すべてのニーズを完全に満たすとは限りません。そのような場合は、OCI Data Flow アプリケーションを構築して、Spark経由で利用可能なすべてのコネクタを活用できます。この例では、画像処理、GPS、過去の停電、メンテナンスデータの結果を組み合わせて、注意を要する物理的な資産の位置を特定するモデルを構築しています。このモデルは、植生管理戦略に活用できます。
  • これで、ADWが提供するサービング・データストアでキューレーション・高速検索するのに適したリレーショナル形式で永続化できる処理済みデータセットが作成できました。これにより、モデルの予測結果を可視化できるようになります。また、組込の空間機能を使って、早急な対応が必要な潜在的な問題を可視化することもできます。

以下の3つのテクノロジーは、分析、学習、予測の機能を強化します。

  • Oracle Analytics Cloud、Spatial Studio、Oracle APEXなどの分析および可視化サービスは、画像情報を可視化し、特定の送電/配電用資産に対する植生の将来的な影響を予測するために使用できる、インタラクティブなダッシュボードを提供します。これらのサービスは以下を提供します。
    • 記述的分析:現在の植生の成長率や侵食率をヒストグラムやチャートを使って示すことで、早急なメンテナンスが必要な箇所を特定しやすくします。
    • 予測的分析:植生の成長率や侵食率を予測し、傾向を特定し、不確実な事象の可能性を評価することで、将来のメンテナンス要件を予測し、長期的な計画に役立てることができます。
    • 規範的分析:植生管理における戦略的意思決定を強化するための適切な行動を提案します。
  • 高度な分析と同時に、OCI Data Scienceを使用して機械学習モデルの開発、トレーニング、実装が行われます。これらのモデルは、人工知能を使用して大量のLiDAR画像データを分析し、3次元画像を作成することで、植生が重要なインフラからどの程度離れているかを正確に把握することができます。この詳細な測定を規制要件、気象データ、メンテナンス計画、その他の関連情報と統合することで、ユーティリティ企業が一貫してタスクに優先順位を付け、必要なリソースを効率的かつ経済的に割り当てることができるようになります。これらのモデルのトレーニング完了後は、ユーザーのプリファレンスに応じて複数の方法で実装できます。モデルは、OCI Data Scienceプラットフォームまたはデータベース内のOracle Machine Learning Services REST APIを使用して、RESTエンドポイント経由で呼び出すことができます。さらに、これらのモデルをOpen Neural Network Exchange(ONNX)形式でパッケージ化し、アプリケーションの一部として実装することもできます。
  • OCI Data Catalogを他のサービスと組み合わせて使用することで、キューレーション、テストされた高品質のデータとモデルに、ガバナンスルールやポリシーを適用することができます。また、データ・メッシュ・アーキテクチャ内の「データ製品」(API)として公開し、組織全体に配布することも可能です。

Oracle Modern Data Platformによる植生管理戦略の強化

資産を効率的かつタイムリーに管理することは常に重要ですが、植生の繁茂によって火災や停電を引き起こす可能性のある送電線が資産に含まれている場合は、さらに重要性が増します。米国では、植生管理は電力会社にとって最大の予防保全コストとなっており、多くの大規模電力会社では年間1億ドルを超えています。その一方、ユーティリティ・システムの信頼性と効果的な停電管理に最も貢献するのも植生管理です。Oracle Modern Data Platformを使用すると、インフラとその周辺の植生に関する詳細な情報を収集できます。このデータを活用することで、以下のように植生管理戦略とその結果の改善に役立てることができます。

  • 植生が送電線に与える影響の低減
  • 予想される植生成長率の検証
  • 効果的な植生計画とモニタリングの促進
  • 停電による収入減を軽減
  • 植生管理の年間予算の削減
  • 顧客満足度と作業員の安全性の向上

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