フィンテックやハイテク企業による金融サービス分野への進出が進む現在ではとりわけ、金融機関が競争力を維持し、収益性を高めるためには、効率的な内部業務が求められます。理論上、収益性を向上させるには、収益増加と費用削減の2つの方法があります。どちらも非常に重要です。ますます急速に変化するセクターで収益性の向上という課題に対処するために、金融サービス機関は、運用効率とパフォーマンスの向上に役立つ膨大な量のデータと情報の活用に改めて注力しています。データドリブンなアプローチにより、プロセスの合理化、冗長性の排除、リソース配分の最適化を行うことで、金融サービス機関はコスト削減とサービス提供の向上を同時に実現することができます。
この最後の要素は、激しい競争、急速な進化、絶え間ない混乱を伴うこのような業界において特に重要です。効率的な業務運営を行う組織は、競合よりも競争力のある価格設定、より迅速で優れたサービス、高い精度、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供することができます。顧客は迅速で面倒のないエクスペリエンスを高く評価し、良好なカスタマー・エクスペリエンスは顧客のロイヤルティ、維持、好意的な口コミにつながり、これらすべてが成長と収益の原動力となります。
また、運用効率は俊敏性と適応性の基盤となり、金融サービス機関が市場の変化、規制要件、顧客の要求に先手を打って迅速に対応することを支援します。アジャイルな組織は、新製品のより迅速な発売、テクノロジーの進歩への適応、新たな機会の獲得、動的な環境における成功を実現することができます。
さらに運用効率は、顧客、規制当局、利害関係者の信頼と信用を維持するために不可欠な、リスク管理を効果的に行う上で重要な役割を果たします。手作業によるエラー、プロセスのボトルネック、不十分な管理といった運用上の非効率性は、リスクをもたらし、コンプライアンス違反、セキュリティ侵害、業務の中断につながる可能性があります。運用効率を改善することで、金融サービス機関はこうしたリスクの軽減、規制コンプライアンスの確保、顧客データのセキュリティー強化を促進することができます。
これらのメリットはすべて、成長に不可欠です。金融サービス機関が業務拡大や、新規市場への参入を行う際には、品質を犠牲にしたり、過剰なコストを発生させることなく、増加する業務量に対応できるプロセスを確保する必要があります。効率的なプロセスは、容易に複製、自動化、適応して成長イニシアチブをサポートすることができるため、組織はチャンスをつかみ、市場でのプレゼンスを拡大することが可能になります。
業務プロセスやパフォーマンスに関するデータの取り込み、キュレーション、分析を行うことで、金融サービス機関はボトルネックや非効率性を特定および排除して、社内外のあらゆるやり取りを最適化し、成果を向上させることができます。ここで紹介するアーキテクチャは、推奨されるオラクルのコンポーネントを組み合わせて、データ分析のライフサイクル全体をカバーし、金融機関が上記のような幅広いビジネス上のメリットの実現に役立つように設計された分析アーキテクチャを構築する方法を示しています。
オラクルのソリューションは、それぞれが特定のデータ・プラットフォーム機能をサポートする3つの柱で構成されます。最初の柱は、データの接続、取り込み、変換の機能を提供します。
金融サービス機関が運用効率とパフォーマンスを向上させるために、アーキテクチャにデータを注入する方法は主に4つあります。
データの永続化と処理は、3つのコンポーネントで構築されています。お客さまによっては、そのすべてを使用する場合も、サブセットで使用する場合もあります。データの量や種類によっては、オブジェクト・ストレージにロードしたり、構造化されたリレーショナル・データベースに直接ロードして永続的に保存することが可能です。データ・サイエンス機能の適用を想定する場合は、データ・ソースから生の状態(未処理のネイティブ・ファイルや抽出物)で取得したデータをトランザクション・システムからクラウド・ストレージにロードすることがより一般的です。
分析、学習、予測をする機能は、2つのテクノロジー・アプローチにより促進されます。
高度な分析機能は、運用効率とパフォーマンスを最適化するために不可欠です。このお客様事例では、分析と可視性を提供するために、Oracle Analytics Cloudを活用します。これにより、組織は記述的分析(ヒストグラムやチャートで現在の傾向を説明)、予測分析(将来のイベントを予測し、傾向を特定し、不確実な結果の確率を決定)、処方的分析(最適な意思決定をサポートするために適切な行動を提案)を使用することができます。
過去のデータに予測モデルを適用することで、金融サービス機関は未来の結果を予測し、先行的な意思決定を行うことができます。例えば、予測分析は、銀行による顧客流出の予測、潜在的な詐欺事例の特定、貸し倒れの予測、キャッシュフロー予測の最適化を支援します。これにより、銀行は予防措置を講じ、効果的に業務リソースを割り当てることができます。
処方的分析は、結果の予測にとどまらず、最適な行動方針を提案します。金融サービス機関は、融資承認、投資戦略、価格設定モデル、リスク管理などの分野で、処方的分析を使用して意思決定を最適化できます。さまざまな制約や目的を考慮することで、処方的分析は、組織による効率性と収益性を最大化するデータドリブンな意思決定を支援します。(予測分析アプローチの成功には、組織内の広範なデータ文化が最終的に重要な役割を果たします。)
高度な分析に加えて、データ・サイエンス、機械学習、人工知能は、異常の検出、プロセスに遅延が発生する可能性のある箇所の予測、カスタマー・ジャーニーの最適化にますます使用されるようになっています。たとえば、機械学習モデルは、信用スコアリング、不正検出、顧客セグメンテーション、およびパーソナライズされたマーケティングに使用できます。新しいデータからの継続的な学習により、これらのモデルは時間とともに適応し、パフォーマンスを向上させることができ、業務の効率化とより適切な意思決定を導き出しすことができるようになります。データベースには、OCI Data Science、OCI AI Services、Oracle Machine Learningを使用することができます。
機械学習やデータ・サイエンスの手法を用いて、予測モデルを構築およびトレーニングしています。これらの機械学習モデルはその後、APIを介してスコアリング用に導入したり、OCI GoldenGateストリーム分析パイプラインの一部として組み込むことができます。場合によっては、Oracle Machine Learning Services REST APIを使用して、これらのモデルをデータベースに導入することも可能です(これを行うには、モデルがOpen Neural Network Exchange形式であることが必要です)。さらに、Jupyterや Python中心のノートブック用のOCI Data Scienceや、Zeppelinノートブックおよび機械学習アルゴリズム用のOracle Machine Learningを、サービング・データストアまたはトランザクション・データトア内に導入することができます。同様に、Oracle Machine LearningとOCI Data Scienceを単体または組み合わせて、推奨および決定モデルを開発することができます。これらのモデルはサービスとして導入することができるので、OCI API Gatewayの背後に導入して「データ製品」や「サービス」として提供することが可能です。最後に、構築された機械学習モデルは、(許可されていれば)運用上の意思決定システムの一部であるアプリケーションへの導入が可能です。
ビジネスの迅速化と競争の激化に伴い、重要な業務データの提供に使用されていたレガシー・システムでは対応しきれなくなっています。このようなシステムでは、断片的でサイロ化されたデータを照合、統合し、レポートを作成するために多くの手作業が必要なため、情報の入手が遅すぎてビジネスに必要な利益を得ることができません。運用効率を測定、把握、改善することで、金融サービス機関は競合優位性を獲得し、次のような数多くのメリットを得ることができます。
高度なデータ・プラットフォームを使用して、顧客を360度見渡し、顧客の需要によりよく対応する方法をご覧ください。
このユース・ケースでは、金融サービス事業向けOracle Data Platformがリスクの削減と法規制コンプライアンスの向上に役立つ方法をご紹介します。
このお客様事例では、金融サービス向けのOracle Data Platformを、リスクの低減、不正行為の検出およびコンプライアンスの向上に利用する方法をご紹介します。
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