通信事業向けOracle Data Platform

顧客の位置情報、デバイスおよび使用状況に基づいてパーソナライズされたリアルタイムのオファーを提供します

リアルタイムでパーソナライズされる、状況に即したオファーを提供することで、顧客満足度を向上

競争の激しい市場では、カスタマー・エクスペリエンス(CX)に優先的に取り組む通信事業者は、明確な優位性を確保しています。また通信事業者は、顧客の行動、好み、位置情報に関する豊富な情報など、収集する膨大な量のデータを活用して、優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供できる立場にあります。位置情報データに基づいてパーソナライズされたリアルタイムのオファーを顧客に提供することは、通信事業者がカスタマー・エクスペリエンスを改善し、さらに収益性を高めるための強力な手段となります。

リアルタイムでパーソナライズされたオファーは、個人の特定のニーズ、好み、位置情報に応じて調整され、製品、サービス、またはプラットフォームとの対話を通じて即座に提供されます。これは、差し迫ったニーズや関心事と非常に関連性の高いコンテンツやサービスを顧客に提供することで、企業は顧客満足度の向上、エンゲージメントの促進、そして最終的には売上の向上であれ顧客ロイヤルティや顧客維持率の向上であれ、より良い成果の達成を実現できるという考えに基づいています。

企業は、データを処理し、アルゴリズムを適用して、提供するコンテンツ、推奨事項、エクスペリエンスを、ユーザーの現在のコンテキストや行動に即座に適応させることで、このレベルのパーソナライズを実現できます。顧客のスマートフォンは常に送信している位置情報は、リアルタイムのインサイトを提供するために収集および分析できます。位置情報データは、通信事業者の手にとって特に強力なツールです。位置情報データを人口統計や使用パターンなどの顧客プロファイルと組み合わせることで、通信事業者は各ユーザーの全体像を構築し、関連性が高くタイムリーなオファーやサービスを提供することができます。天候データ、トラフィック・パターン、ローカル・イベントに関する情報など、サードパーティのソースからのデータを統合することで、パーソナライズされたオファーに追加のコンテキストを提供できます。リアルタイム・データ分析は、こうしたデータすべてを実用的なインサイトに変える上で重要な役割を果たします。高度な分析ツールにより、情報を迅速に処理および分析できるため、通信事業者は迅速な意思決定を行い、カスタマイズされたオファーをリアルタイムで提供できます。

リアルタイムでパーソナライズされる、位置情報に基づくオファーは、ユーザー・エクスペリエンスの関連性と魅力を高めることで、顧客の行動に大きな影響を与える可能性があります。ここでは、ユーザーの履歴データ(過去のインタラクション、購入履歴、選好など)とリアルタイム・データ(位置情報、デバイス・タイプ、現在のアクションなど)を組み合せて、通信事業者が、高度に個別化された、コンテキスト上関連性の高いカスタマー・エクスペリエンスを提供する方法の例を示します。

  • 海外に旅行するお客様への国際ローミング・パッケージの提供や、特定の地域のユーザーへの地域割引の実施
  • ネットワークの問題および停止の特定により、問題にプロアクティブに対処し、影響を受ける顧客とコミュニケーションを図ることで、顧客のフラストレーションを軽減
  • サービスの調整、ターゲットを絞ったプロモーションの提供、ネットワーク・パフォーマンスの最適化など、顧客に最高のエクスペリエンスを提供できるよう支援しながら、通信事業者としての競争力を確保
  • 顧客のデータ使用量がプランの利用枠を超過しそうな際に、データ・プランのアップグレードを提案することで、超過料金の発生を回避して顧客満足度を向上
  • 通信事業者やパートナ企業の店舗など、特定の場所を訪問した顧客に報酬を与えるロイヤルティ・プログラムを展開
  • ユーザーが現在閲覧しているもの、または最近購入したものに関連する製品を推奨

モバイル・マーケティングは、効果的かつ潜在的収益性の高いものですが、リスクが高くなる場合があります。そうしたリスクの軽減に役立つのがパーソナライズです。読み手との関連性があり、有用な情報を含むマーケティング・メッセージがカスタマー・エクスペリエンスを強化する一方、読み手との関連性がなく、ターゲットが絞られていないメッセージはスパムとなり、顧客の疲労や解約につながる可能性があります。

通信事業者は、顧客の位置情報データに基づいてパーソナライズされたリアルタイムのオファーを提供することで、双方にとって好都合な状況を作り出し、顧客満足度を高め、収益成長を促進することができます。このプロアクティブなアプローチにより、顧客体験が簡素化され、予期しない料金が発生するリスクが軽減され、満足度とロイヤルティが向上します。利幅が縮小する中で多額な資本投資を行う通信事業者にとって、データ主導のパーソナライズと、位置情報に基づくオファーでカスタマー・エクスペリエンスを強化することも、収益性に大きな影響を与えるのに役立ちます。位置情報に基づくパーソナライズは、いくつかの方法で収益成長を促進できます。

  • 顧客が現在の位置情報に関連するオファーを受け取ると、自発的な購入やアップグレードを行う可能性が高くなります。
  • パーソナライズされたオファーにより、顧客のエンゲージメントを維持し、解約の可能性を低減します。
  • ユーザーは、通信事業者が自分のニーズを理解していると感じると、ロイヤルティを維持する可能性が高くなります。
  • ターゲットを絞ったオファーは、大規模なマーケティング・キャンペーンよりもコスト効率が優れています。
  • プレミアム・データ・パッケージやスマート・ホーム・ソリューションなど、追加サービスのアップセルまたはクロスセルの機会を増加させることは、顧客の生涯価値を高めるのに役立ちます。

通信事業者は、顧客データを使用してパーソナライズされたリアルタイムのオファーを提供する場合、必ずそのデータを責任を持って処理し、規制要件を遵守して、データの使用について透過性が確保された方法で通信を行う必要があります。実装を成功させるには、パーソナライズとプライバシーを適切に両立することが重要となります。これを実現するため、通信事業者は、セキュリティを確保し、サービスとデプロイメントの柔軟性を実現しながら、一貫性、スケーラビリティ、パフォーマンスを提供できるデータ・プラットフォームを必要としています。

包括的なデータ・プラットフォームで、パーソナライズとプライバシーを両立

データを取り込み、キュレーション、処理、分析を行うことで、通信事業者は、顧客の位置情報に基づいて、パーソナライズされたリアルタイムのオファーを顧客に提供できます。これには、ユーザーのデバイスからの位置情報データの活用、リアルタイムでの処理、パーソナライズされたオファーのトリガーが含まれます。

ここで紹介するアーキテクチャは、推奨されるオラクルのコンポーネントを組み合わせて、データ分析のライフサイクル全体をカバーし、通信事業者とデジタル・サービス・プロバイダが、コンテキストに沿ったリアルタイムのオファーを顧客に提供したり、上記のような幅広いビジネス上のメリットを実現したりするのに役立つように設計された分析アーキテクチャを構築する方法を示しています。

データの接続、取込み、変換の図、説明

この図は、通信事業者向けOracle Data Platformを使用して、位置情報、使用状況およびデバイス設定に基づいて、コンテキストに応じたオファーを提供することでカスタマ・エクスペリエンスを強化する方法を示しています。

このプラットフォームは、以下の5つの柱を掲げています。

  1. 1. データソース、検出
  2. 2. 取込み、変換
  3. 3. 永続化、キュレーション、構築
  4. 4. 分析、学習、予測
  5. 5. 測定、実行

データソース、検出の柱には、4つのカテゴリーのデータが含まれます。

  1. 1. アプリケーションは、CRM、サービス、請求、使用状況および製品カタログのデータで構成されます。
  2. 2. ビジネス・レコードは、BSS、OSS、CDRおよび購入履歴のデータで構成されます
  3. 3. 技術的インプットは、ネットワーク・イベント、デバイス・データセットおよびネットワーク品質からのデータで構成されます
  4. 4. サード・パーティ・データは、Oracle Data Cloud、ソーシャル・データおよびオファー・パッケージで構成されています

接続、取込み、変換の柱は、4つの機能で構成されます。

  1. 1. バッチ取り込みには、OCI Data Integration、Oracle Data Integrator、DBツールなどを使用します。
  2. 2. 一括転送には、OCI FastConnect、OCI Data Transfer、MFT、OCI CLIを使用します。
  3. 3. 変更データ取得にはOCI GoldenGateを使用します。
  4. 4. ストリーミングの取り込みには、OCI StreamingとKafka Connectを使用します。

4つの機能はすべて、永続化、キュレーション、構築の柱の中で、サービング・データ・ストアとクラウド・ストレージに一方向に接続されます。

さらに、ストリーミングの取り込みは、分析、学習、予測の柱の中で、ストリーム処理に接続されます。

永続化、キュレーション、構築の柱は、4つの機能で構成されます。

  1. 1. サービング・データストアには、Oracle Autonomous Data WarehouseとExadata Cloud Serviceを使用します。
  2. 2. クラウド・ストレージには、OCI Object Storageを使用します。
  3. 3. バッチ処理にはOCI Data Flowを使用します。
  4. 4. ガバナンスにはOCI Data Catalogを使用します。

こうした機能は、柱の中で接続されています。クラウド・ストレージは、サービス・データストアには一方向に接続され、バッチ処理には双方向に接続されています。

2つの機能は、分析、学習、予測の柱につながります。サービング・データストアは、分析機能と可視化機能、そしてデータ製品とAPI機能の両方に接続します。クラウド・ストレージは、機械学習機能に接続します。

分析、学習、予測の柱は、4つの機能で構成されます。

  1. 1. 分析、可視化は、Oracle Analytics Cloud、GraphStudio、およびISVを使用します。
  2. 2. データ製品・APIは、Autonomous Data Sharing、API Gateway、Functionsを使用します
  3. 3. 機械学習は、OCI Data Science、Oracle Machine Learning、Oracle ML Notebooksを使用します
  4. 4. ストリーミング処理には、OCI Goldengate Stream Analyticsとサードパーティのストリーム分析を使用します

測定、行動の柱は、人とパートナーによるデータ分析の利用方法を捉えます。

  1. 1. 「人とパートナー」は、顧客のセグメンテーション、予測分析、解約予測、動的な価格設定モデル、クロスセルとアップセル、分析/予測、生涯価値予測で構成されます。
  2. 2. アプリケーションは、推奨システム/位置情報に基づくサービス、リアルタイムの行動分析およびセンチメント分析で構成されます
  3. 3. 3つの中心的な柱である、取込み・変換、永続化・キュレーション・構築、分析・学習・測は、インフラストラクチャ、ネットワーク、セキュリティ、IAMでサポートされています。

データの接続、取込み、変換

オラクルのソリューションは、それぞれが特定のデータ・プラットフォーム機能をサポートする3つの柱で構成されます。最初の柱は、データの接続、取り込み、変換の機能を提供します。

通信事業者がリアルタイムでパーソナライズされたオファーを提供できるように、アーキテクチャにデータを注入するには、主に4つの方法があります。

  • プロセスを開始するために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの抽出を実現し(ほぼリアルタイムの取込みは、「適時」取込みと呼ばれることもあり、データは所定の時間ウィンドウ内に取り込まれます。その時間ウィンドウによって、顧客のコンテキストを特定し、そのコンテキストが維持されている間にオファーをその顧客に提示することができます)、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)GoldenGateを使用して、エンタープライズCRM製品からデータを取り込み、システムを提供します。オファー・カタログ・データと可用性および適格性ルール・データは、オプトアウト/インおよび規制ルールが厳密に準拠するように、ほぼリアルタイムで取り込む必要があります。一般的にこのデータは、本質的にリレーショナル・データであり、エンタープライズ・アプリケーションから取得されます。OCI GoldenGateは、変更データの取得(CDC)を使用して、サービスが必要な業務プロセスを提供するシステムの基本構造における変更イベント(たとえば、新しいオファーの作成、顧客ネットワークの問題、顧客による新しいデバイスの利用または新しいサービスの導入など)を検出し、そのデータを永続性レイヤーやストリーミング・レイヤーにリアルタイムで送信します。OCI GoldenGateは、完了したトランザクションのログ・ファイルを処理し、取得した変更をデータベースとは独立した外部の証跡ファイルに保存することで、ソース変更を非侵襲的に処理できるCDCメカニズムを提供します。その後、変更はステージング・データベースに確実に転送されます。ジャーナル・ナレッジ・モジュール(JKM)は、Oracle Data Integratorによって管理されるメタデータを使用して、すべてのOCI GoldenGate構成ファイルを生成し、ステージング領域ですべてのOCI GoldenGateで検出された変更を処理します。これらの変更は、Oracle Data Integratorの宣言変換マッピングを使用して、ターゲット・データ・ウェアハウスにロードされます。このアーキテクチャにより、分析データ・ウェアハウス・テーブルへのデータのロードおよび変換に加えて、正規化されたステージング領域テーブルの個別のリアルタイム・レポート作成が可能になります。
  • 次に、モデル・トレーニングおよびオファー傾向分析の業務トランザクションの履歴データの一括転送を有効にします。一括転送サービスは、既存のオンプレミスの分析リポジトリや他のクラウド・ソースからのデータなど、大量のデータを初めてOracle Cloud Infrastructureに移動する必要がある場合に使用します。具体的にどのような一括転送サービスを利用するかは、データの保存場所や転送頻度によって決まります。例えば、過去の計画やデータウェアハウス・リポジトリから大量のオンプレミス・データをロードするためには、OCI Data TransferサービスやOCI Data Transfer Applianceを使用することがあります。大量のデータを継続的に移動させる必要がある場合は、お客様のデータセンターとOCIの間を広帯域の専用プライベート・ネットワークで接続するOCI FastConnectの利用を推奨しています。
  • 複数のソースに由来する、顧客の位置情報データをリアルタイムで分析する機能は、適切かつコンテキストに即したオファーを提供する上で重要となります。このユース・ケースでは、ストリーミング取り込みを使用して、モバイル・インタラクション、IoT、マシン間通信、その他の手段を通じて、顧客または社内のイベントから読み取ったすべてのデータを取り込みます。ストリームは、内部(ネットワーク)および外部(ビーコン)の様々なソースから発信され、位置情報データ、カスタマー・インタラクション・データ、移動データおよびソーシャル・メディア・データを含めることができます。データ(イベント)が取り込まれ、OCIオブジェクト・ストレージに保存される前に、基本的な変換と集計がいくつか行われることになります。相関するロケーション・イベントを特定し、コンテキストに沿ったオファーの顧客への送信などのアクションを開始するため、追加のストリーミング分析を使用できます。特定されたパターンは、OCI Data Scienceを使用して生データを調査できるように(手動で)フィードバックできます。
  • リアルタイムのニーズが進化する一方、製品、顧客、およびマーケティング選好管理システムからの抽出では、ETLプロセスにを用いたなんらかのバッチ取り込みが最も一般的です。バッチ取り込みは、データ・ストリーミングをサポートできないシステム(古い請求および評価システムなど)からデータをインポートするために使用されます。こうした抽出は、10分や15分といった頻度で行うことができますが、個々のトランザクションではなく、トランザクションのグループを抽出して処理するため、性質的にはあくまでバッチ処理です。OCIは、ネイティブのOCI Data Integrationサービスや、OCI Computeインスタンス上で動作するOracle Data Integratorなど、バッチ取り込みを処理するさまざまなサービスを提供しています。サービスの選択は、主に技術的な要件よりもお客様の嗜好に基づいて行われることになります。

データの維持、処理、キュレート

データの永続化と処理は、3つのコンポーネントで構築されています。お客さまによっては、そのすべてを使用する場合も、サブセットで使用する場合もあります。データの量や種類によっては、オブジェクト・ストレージにロードしたり、構造化されたリレーショナル・データベースに直接ロードして永続的に保存することが可能です。データ・サイエンス機能の適用を想定する場合は、データ・ソースから生の状態(未処理のネイティブ・ファイルや抽出物)で取得したデータをトランザクション・システムからクラウド・ストレージにロードするケースがより一般的です。

  • クラウド・ストレージは、オラクルのデータ・プラットフォームで最も一般的なデータ永続性レイヤーです。構造化データと非構造化データの両方に使用することができます。OCI Object Storage、OCI Data Flow、Oracle Autonomous Data Warehouseが基本的な構成要素です。データソースから生の状態で取得したデータを取り込み、OCI Object Storageにロードします。OCI Object Storageは主要なデータ永続層で、OCI Data FlowのSparkは主要なバッチ処理エンジンです。バッチ処理には、基本的なノイズ処理、欠損データ管理、定義されたアウトバウンド・データセットに基づくフィルタリングなど、複数の活動が含まれます。結果は、必要な処理と使用されたデータ・タイプに基づいて、さまざまな層のオブジェクト・ストレージまたは永続的なリレーショナル・リポジトリに書き戻されます。
  • ここでは、サービング・データ・ストアを使用して、クエリのパフォーマンスのために最適化した形でキュレーションされたデータを永続化し、顧客の全体像を提供します。サービング・データストアは、質の高いキュレートされたデータをSQLベースのツールでエンド・ユーザーに直接提供するために使用される、永続的なリレーショナル・データ層です。このソリューションでは、Oracle Autonomous Data Warehouseは、エンタープライズ・データウェアハウスと、必要に応じてより専門的なドメイン・レベルのデータマートのためのサービング・データストアとしてインスタンス化されます。また、データ・サイエンス・プロジェクトのデータソースや、Oracle Machine Learningに必要なリポジトリとなることもあります。サービング・データストアは、Oracle MySQL HeatWave、Oracle Database Exadata Cloud Service、Oracle Exadata Cloud@Customerなど複数ある形式のいずれかを取ることができます。

データの分析、学習、予測

分析、学習、予測を行う機能は、2つのテクノロジー・アプローチにより促進されます。

  • OCI GoldenGateストリーム分析により、位置情報データを含むソースからのストリーミング・データを継続的に取り込むことができます。このデータは、GPSデバイスやモバイル・アプリからリアルタイムで取得され、顧客の位置や行動を特定します。これにより、データが一連のイベントとして処理されるイベント駆動型アーキテクチャが提供されます。この場合、イベントは、ユーザーの移動、ジオフェンシング・トリガー、またはその他の関連する発生イベントを意味します。事前定義済の地理的領域に出入りするタイミングを示すジオフェンシング・イベントは、リアルタイムで処理されます。こうしたジオフェンス・トリガーは、ユーザーの現在の位置情報に基づいて、パーソナライズされたオファーの事前定義済ルールを評価するなどのアクションをすぐに開始できます。このソリューションにより、外部データ・ソースとのシームレスな統合が可能となり、追加のコンテキストによりリアルタイム分析が強化されます。気象条件やローカル・イベントなどの外部データを処理パイプラインに動的に組み込んで、オファーの関連性を向上させてパーソナライズを強化したり、リアルタイムの応答を実現したりして、ユーザーの現在のコンテキストと位置情報に基づいて、アクションをトリガーし、パーソナライズされたオファーを生成します。
  • 高度な分析機能は、取込み傾向やコンテキスト分析など、、顧客の行動を特定し、パーソナライズされたオファーに情報を提供する上で極めて重要となります。このお客様事例では、分析と可視性を提供するために、Oracle Analytics Cloudを活用します。これにより、ヒストグラムやチャートで現在の傾向を説明する記述的分析、将来のイベントを予測し、傾向を特定し、不確実な結果の確率を決定する予測分析、最適な意思決定をサポートするために適切な行動を提案する処方的分析を使用することができます。
  • 処方的分析は、結果の予測にとどまらず、最適な行動方針を提案します。通信事業者は、規範的な分析を使用して個々の顧客の選好を把握し、ニーズや関心に合わせて位置情報に基づくオファーを調整できます。履歴データに予測モデルを適用することで、通信事業者は未来の結果を予測し、先を見越した意思決定を行うことができます。たとえば、予測分析は、顧客にとって最も適切なオファーの特定と顧客の行動の予測、オファーをコンテキスト化する潜在的機会の特定、オファーの取込みの最適化に役立ちます。
  • 高度な分析に加えて、データ・サイエンス、機械学習、人工知能は、異常の検出、プロセスに遅延が発生する可能性のある箇所の予測、カスタマー・ジャーニーの最適化にますます使用されるようになっています。たとえば、機械学習モデルは、コンテキストの識別、顧客のセグメンテーション、およびパーソナライズされたマーケティングに使用できます。新しいデータからの継続的な学習により、これらのモデルは時間の経過とともに適応し、パフォーマンスを向上させることができ、顧客満足度と収益性の向上につながります。データベースには、OCI Data Science、OCI AI Services、Oracle Machine Learningを使用することができます。
  • 機械学習やデータ・サイエンスの手法を用いて、予測モデルを構築およびトレーニングしています。これらの機械学習モデルはその後、APIを介してスコアリング用に導入したり、OCI GoldenGateストリーム分析パイプラインの一部として組み込むことができます。場合によっては、Oracle Machine Learning Services REST APIを使用して、これらのモデルをデータベースに導入することも可能です(これを行うには、モデルがOpen Neural Network Exchange形式であることが必要です)。さらに、Jupyterや Python中心のノートブック用のOCI Data Scienceや、Zeppelinノートブックおよび機械学習アルゴリズム用のOracle Machine Learningを、サービング・データストアまたはトランザクション・データトア内に導入することができます。同様に、Oracle Machine LearningとOCI Data Scienceを単体または組み合わせて、推奨および決定モデルを開発することができます。これらのモデルはサービスとして導入することができるので、OCI API Gatewayの背後に導入して「データ製品」や「サービス」として提供することが可能です。最後に、構築された機械学習モデルは、(許可されていれば)運用上の意思決定システムの一部であるアプリケーションへの導入が可能です。
  • 最後に重要な要素として、データ・ガバナンスがあります。これは、データ・プラットフォーム・エコシステム内のすべてのデータ・ソースに対して、データ・ガバナンスとメタデータ管理(技術メタデータとビジネス・メタデータの両方)を提供する無料サービスであるOCI Data Catalogによって実現されます。また、OCI Data Catalogは、Oracle Autonomous Data WarehouseからOCI Object Storageへのクエリにおいて、保存方法に関係なくデータを迅速に検出する方法を提供する極めて重要なコンポーネントです。これにより、エンド・ユーザー、開発者、データ・サイエンティストは、アーキテクチャ内のすべての永続データストアで共通のアクセス言語(SQL)を使用することができます。

データを活用してカスタマー・エクスペリエンスを強化し、ロイヤルティを推進

Oracle Modern Data Platformは、データ分析をライフサイクル全体にわたってサポートし、通信事業者が位置情報に基づくパーソナライズされたオファーを顧客にリアルタイムで提供するために必要なツール、パフォーマンス、セキュリティ、および柔軟性を提供します。このマーケティング・アプローチは、顧客と通信事業者の双方に次のような大きなメリットをもたらします。

  • カスタマー・エクスペリエンスの強化:顧客は有益なオファーを、最も価値の高いタイミングと場所で受け取り、最小限の労力で受け入れることができます。
  • オファーの受入れ率と顧客生涯価値の向上:顧客は、実際に必要なオファーであれば、それを受け入れる可能性が高くなるため、販売の拡大に役立ちます。
  • 顧客を獲得して維持する能力の向上:優れたカスタマー・エクスペリエンスと効率的なサービス提供、競争力のある価格設定、革新的な製品を組み合わせることで、カスタマー・ロイヤルティを高め、解約率を低減できます。
  • より優れたコスト効率:ターゲットを絞ったオファーは、一般的にマス・マーケティング・キャンペーンよりも成功しており、通信事業者は投資に対してより大きなリターンが得られます。
  • 収益の増加:顧客ロイヤルティの向上とエンゲージメントの深化、ターゲットを絞ったクロスセルおよびアップセルの機会の拡大、マーケティングに関する支出の最適化、顧客生涯価値の向上などは、通信事業者が競争の激しい市場で優位性を獲得し、収益成長を促進するのに役立ちます。

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