オラクルは、データベースの各バージョンから最新バージョンおよびプラットフォームへの、シンプルで自動化された、中断のないアップグレードおよび移行パスの提供に取り組んでいます。オラクルの移行方法は、従来のオフライン・バックアップやリストアから、より高度なダウンタイムなしのオンライン・オペレーションまで、幅広い運用ニーズに対応しています。
下記の最初のリンクでは、移行ステップの概要、プランニング・アドバイザー、デフォルトの移行方法ワークフローの図解、およびそれらのコンポーネント・テクノロジーをご覧いただけます。各移行方法には、概要、リファレンス・アーキテクチャ、技術的なステップバイステップ・ガイド、Oracle LiveLabウォークスルー、およびドキュメントがあります。
詳細については、次の参照サイトをご覧ください。
データベースのアップグレード、たとえばOracle 19cからOracle 23cへのアップグレードでは、データベース・ソフトウェア・システムおよび関連する顧客メタデータを更新しますが、顧客データはそのまま残します。一方、データベースの移行では、オンプレミス・サーバーからOCIおよびCloud@Customer上のOracle Database Cloud Servicesへの移行など、データを新しいプラットフォームに移動します。
一般的に、オペレーティング・システムをまたいだ古いバージョンから新しいバージョンへの移行や、文字セットの移行にもアップグレードが必要とされます。ただし、アップグレードの実行順序には柔軟性があり、移行の前、最中、あるいは後に実行することができます。この順序の決定は、Oracle Database Upgrade Guide(PDF)およびCloud Premigration Advisor Toolに記載されているように、ビジネス要因と技術要因の両方に基づいて行われます。
ビジネス継続性は、論理移行方法か物理移行方法かを選択する際の主要な推進要因です。
ビジネス継続性 | 論理方法 | 物理方法 |
---|---|---|
オンライン | ✓ | ✓ |
オフライン | ✓ | ✓ |
移行の柔軟性を最適化する | 移行速度を最適化する |
オンラインの方法では、移行中もアプリケーションを稼働したままにできます。古いデータを最初にロードした後、新しいデータをリアルタイムで取り込んでから、ターゲット・データベースに段階的に適用します。適切な時点で最終的な切り替えが行われ、移行先のデータベースがオペレーショナル・データベースとなります。
オフラインの方法では、アプリケーションは稼働せず、データベースは1回の操作で移行されます。
データ移動の選択に応じて、バックアップやリカバリの速度と柔軟性にトレードオフが生じます。物理方法は、Recovery ManagerとOracle Data Guardを使用した、ダウンタイムが最小からゼロのフォルト・トレラントなリカバリ機能に基づいています。これは最も速い方法ですが、ソース・データベースとターゲット・データベースで、バージョンや文字セットなどの同じ特性を共有する必要もあります。論理方法は、より柔軟なエクスポート機能とインポート機能に基づくため、データがソースからターゲットに移動するときにデータベース構成やバージョンの違いが許容されます。論理方法では、Oracle Data PumpおよびOracle GoldenGateを使用します。
物理移行と論理移行のどちらも、ストレージにデータを書き込む方法に応じて、結果的にパフォーマンスに影響を与えます。物理方法は、データベース・ファイル内の間隔を保持しながら、記憶域ブロックによりデータを読み取って復元します。これは、バックアップやリカバリの速度には有効ですが、継続的な運用パフォーマンスにはなりません。論理方法の利点は、間隔が除去され、レコードが連続して書き込まれることです。パフォーマンスを最適にするには、連続した領域を確保してランダム読取りを最小限に抑制する必要があるため、論理方法ではこのような利点があります。
その他の技術的な説明については、こちらのブログを参照してください。
リソースの自動拡張による所有コストの削減や、管理とセキュリティの自動化によるビジネス・リスクの低減など、データベースを移行するビジネス上および技術上の理由は数多く存在します。Oracle Databaseでは、Oracle Base Database Service(Standard EditionまたはEnterprise Edition)、Oracle Exadata、Oracle Autonomous Database、Oracle Cloud@Customerなど、オンプレミスからクラウドへの移行に多くのマネージド・サービス・オプションをご利用いただけます。
クラウドのユース・ケース | TCOの削減 | ビジネス・リスクを軽減 |
---|---|---|
|
|
|
最適な移行戦略では、ビジネスおよび技術的な計画要素が考慮されます。オラクルは、組み込みのOracleユーティリティ、Oracle Databaseオプション、およびサポート製品を使用して、アップグレードと移行のワークフローを簡素化および合理化する自動化ソリューションを提供しています。DBAは、同じOracle Databaseユーティリティを使用して、独自の移行ワークフローを設計することもできます。オラクルのプランニング・アドバイザーは、ほぼすべてのシナリオに最適な移行方法を推奨します。また、オラクルとそのパートナーは、最適な戦略の選択において役立つ優れたリソースであることを心にお留め置きください。
プランニング・アドバイザー | ビジネス要因 | 技術的要因 |
---|---|---|
|
|
|
最適なターゲット・データベースは、運用、経済、所有コストの要件に合致している必要があります。一般的な要件としては、現在の運用の中断を最小限に抑えること、パフォーマンス、スケーラビリティ、ディザスタ・リカバリを改善すること、全体的なTCOとランタイム時間当たりのコストを削減することなどがあります。
一方では、Oracle Base Database ServiceやOracle Exadata Cloud Serviceなど、オンプレミスのプラットフォームと同等のクラウド・サービスに単純に移行することができます。または、データベース・オペレーティング・プラットフォームをアップグレードして、トランザクション処理、データベース統合、およびデータウェアハウスの業界リーダーであるOracle Exadata、またはOracle Autonomous Database on Exadata platformを活用し、自動化を強化して所有コストを削減することもできます。
Oracle Cloud Databaseソリューションを比較して、要件を適切なデータベースとプラットフォームに適合させた上で、データベース・サービス・アドバイザーを使用して選択を微調整します。
はい。Oracle Estate Explorerは、データベース資産をカタログ化して分析し、Autonomous Databaseプラットフォームへの移行のための技術的特性をセキュアに評価します。オラクルとデータやメタデータを共有することなく、ファイアウォールの外側にあるデータベース資産を評価することができます。
Oracle Recovery Manager(RMAN)は、Oracle Databaseのバックアップ、リストア、リカバリのユーティリティです。最適なパフォーマンスを実現するために、ソース・データベースとバックアップ・データベースは多くの同一属性を共有します。その移行指向の主な特徴の1つは、増分バックアップ(バックアップ・プロセス開始後にソース・データベースに加えられた変更)も取得できることです。RMANは、ブロックレベルのバックアップ、リカバリ操作による高速なデータ転送オプションであり、物理移行方法と呼ばれます。
Data Pumpはデータのエクスポートとインポートに使用され、移行パフォーマンスよりも移行の柔軟性を提供します。RMANとは異なり、エクスポート(バックアップ)処理を開始すると、ソースの新しいトランザクションは取得されません。また、RMANとは異なり、論理方法では同一の構成は必要ないため、アップグレードを移行に含めることができます。論理移行方法と呼ばれるData Pumpでは、RMANよりもデータ移動に時間がかかりますが、レコードをストレージに順に書き換えることで領域を圧縮し、SQLパフォーマンスを高速化します。Data PumpとGoldenGateを併用して、オンラインの論理移行方法を有効にできます。
はい。Oracle Real Application Testing は、移行の検証に役立つ Oracle Databaseのオプションで、Enterprise Managerとは独立してご利用いただけます。SQL Performance AnalyzerとDatabase Replayが含まれています。このオプションをオンプレミスのデータベースで使用する場合は、ライセンスが必要です。Oracle Real Application Testingのセクション1.4、表1-15のライセンス情報をご参照ください。
さらに、Enterprise Managerには、Database Replay、SQL Performance Analyzer (SPA)、Workload Analysis、Database Migration Planner、およびDatabase Migration Workenchの5つの主要機能を備えた、補足的なReal Application Testing管理パックが含まれています。Real Application Testing管理パックのライセンス情報については、こちらをご確認ください。
Enterprise Managerデータベース移行ワークベンチは、SQL Performance Analyzerを移行ワークフローに組み込んでいます。Real Application Testingが存在する場合、Enterprise Managerデータベース移行ワークベンチのSQL Performance Analyzerのメニュー・オプションが使用可能になります。
Oracle Autonomous DatabaseのReal Application Testingやその他の移行ツールの詳細は、こちらのブログをご覧ください。
Bring Your Own License (BYOL)プログラムは、データベース・ライセンスをOCI Databaseクラウド・サービスに移行する際に、より少ない費用でより多くのことを行えるようにする包括的な金銭的および機能的インセンティブを提供します。ライセンス譲渡は、コスト・パフォーマンスの向上と総所有コストの削減により、オラクルへの投資を最新化できるように設計されています。Oracle Support Rewardsは、OCIで使用した金額に応じて年間サポート・クレジットを提供する補完的な特典です。オラクルはまた、オラクルおよびサードパーティによる自動化とサービスにより、移行のリスクを軽減します。
詳細については、Oracle PaaS and IaaS Universal Credits Service DescriptionsとBYOL FAQ(PDF)を参照してください。
複雑な部分を考慮しなければ、無料のOCI Database Migrationサービスを使用するオフラインの論理移行方法が最もシンプルな方法です。このオンライン・サービスには、ソース・データベースの準備タスクを指定するクラウド移行前アドバイザー・ツールが埋め込まれています。
ただし、Oracle Enterprise Managerのライセンスをすでに取得している場合は、Enterprise Manager Migration Workbenchにもアクセスできるため例外です。この移行ワークベンチは完全な移行ワークフローを提供し、Autonomous Databaseターゲットで結果のSQLパフォーマンスの妥当性を確認するOracle Real Application Testingを独自に組み込んでいます。Real Application Testingのライセンスが必要です。
どちらの場合も、数種以上のデータベースがある場合は、Oracle Estate Explorerを使用してデータベース資産全体を分析します。分析では、移行に要する労力が最も少ないデータベースに基づいて移行の優先度を設定します。また、このツールでは、移行に向けてデータベースを準備するためのアクションも推奨されます。
ご購入をお考えですか?
営業担当者に問い合わせる営業担当者とチャットアカウント/サブスクリプション、プロモーションの問題
チャットを開始テクニカルサポート、またはその他のサポートリクエスト
サポート・オプションを表示