Oracle Clusterwareは、複数の独立したサーバーをクラスタ化することで1つのシステムとして機能させるポータブルなクラスタソフトウェアです。Oracle Clusterwareは、オラクルのマルチインスタンス・データベースであるOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)に必要なクラスタテクノロジーとして、Oracle Database 10gリリース1で初めてリリースされました。
Oracle Clusterwareは、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)とともにOracle Grid Infrastructureを構成しており、Oracle Real Application Clustersの統合基盤です。また、Oracle RACをサポートする主要なプラットフォームで実行されるすべてのアプリケーションのための高可用性を備えたリソース管理フレームワークでもあります。過去10年以上にわたり、Oracle Clusterware 11gとそれに続くOracle Clusterware 12cおよびOracle Clusterware 18cは、Oracle RACのデータベースとアプリケーションのために高可用性とスケーラビリティを実現する高品質なプラットフォームを提供してきました。Oracle Clusterware 19cは、この革新的なテクノロジーを基に構築されており、クラスタのデプロイメントがさらに簡素化され、全体的な使いやすさが向上しています。クラウド環境でOracle Clusterwareを利用することで、必要な場所にエンタープライズクラスの弾力性を提供し、必要なときに必要な場所でコンピューティング・リソースをオンラインで動的に割り当てることができます。
Oracle Clusterware 19cでは、これまでのリリースの目的を踏襲し、デプロイメントが簡素化されてユーザー・エクスペリエンスが強化されています。主要な点は、Oracle Flex Clusterアーキテクチャからリーフノードが除去されたことです。その代わりに、Oracle Clusterware 19cでは、標準ハブノード上で読み取り中心のデータベース・インスタンスとアプリケーション専用のクラスタノードをサポートしており、クラスタのデプロイと運用管理の両方が簡単になりました。この仕組みは、クラスタのワークロードと統合データベースシステムが混在する場合に特に役立ちます。
Oracle Clusterware 18cでは、特に使いやすさの向上と運用オーバーヘッドの削減に重点を置いて機能が強化され、新機能が導入されました。主な利点は、デプロイメントに必要なIPアドレスの数が減少したことです。これは、Node VIPを不要とし、多くのクラスタの間でShared SCAN VIPセットアップを利用することによって成し遂げられました。特記すべきは、ローカルRACデータベース・インスタンスに影響を与えずに(したがって、そのデータベースのユーザーに影響を与えずに)GIスタックにパッチを適用する機能が追加されたことです。クラスタドメイン(Oracle 12c リリース2で追加)も大幅に拡張され、スタンドアロン・クラスタをメンバークラスタに変換する機能と、リモートASMストレージサービスを使用してメンバークラスタにローカルACFSファイルシステムをプロビジョニングする機能が追加されました。さらに、クロスクラスタ依存性プロトコルプロキシの導入により、すべてのクラスタにわたってOracle Clusterwareのリソース依存性管理が可能になりました。
Oracle Grid Infrastructureは、ビジネスクリティカルなアプリケーションの高可用性(HA)を管理するために不可欠なコンポーネントを提供します。統合環境におけるHAは、もはや単純なアクティブ/スタンバイ方式のフェイルオーバーではありません。このような環境では、リソース割り当てを必要に応じて確保する実行時ワークロード管理が求められます。Oracle Grid Infrastructure Agentsは、Oracleアプリケーションのワークロード管理とHAを可能にします(現時点では、Siebel、Oracle E-Business Suite、Oracle GoldenGate、Peoplesoft、JD Edwards、WebLogic、Apache、MySQLがサポートされています)。Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2(11.2.0.3以降)では、エージェントの提供方法は「スタンドアロン」のみで、AIX、Solaris、Linux、Windowsでサポートされていました。
スタンドアロンのデプロイメントモデルを使用すると、エージェントのホームディレクトリ構造の選択や将来のエージェントのアップグレードをより柔軟に行うことができます。スタンドアロンのデプロイメントは推奨されるインストールモデルであり、今後も引き続き提供されますが、これに加えてバンドルエージェント(Grid Infrastructureソフトウェアのリリースにバンドルされているエージェント)もサポートされます。
Oracle RACのソリューション・ファミリーとは、Oracle RACまたはOracle RAC One Nodeのライセンスをお持ちのお客様が、追加料金なしで使用できる製品や機能の集合体です。各ソリューションは、Oracle RACの中核機能を強化または補完するために、可用性とスケーラビリティをいっそう向上させ、日々のオペレーションを自動化および簡素化します。これらの有用な機能強化の詳細については、以下の図に示す各ソリューションのリンク先をご覧ください。Oracle Clusterwareの詳細については、このページの最後のリンク先をご覧ください。