データベース導入オプションとは

組織の運営に必要となるデータベースの選択にあたっては、数多くの要素について検討する必要があります。必要なパフォーマンス、スケール、可用性を備えているか。あらゆるビジネス・ワークロードに柔軟かつ効率的に対応できるか。イノベーションを可能にする機械学習、advanced analytics、およびアプリケーション開発ツールが統合されているか。

絶えず変化するビジネス環境で顧客が期待するサービス・レベルを提供するために、企業は自らのアプリケーションに幅広い機能セットを必要としています。導入オプションにはそれぞれ長所と欠点があるため、アプリケーションのポートフォリオをサポートするデータベースをどこに導入するかを決めることは非常に重要です。

適切なデータベースと導入オプションの選択

必要なデータベースの導入場所を決定するにあたっては、各データベースがサポートするアプリケーションのタイプ、データベースとアプリケーション間のデータフロー、および各データベースの重要度のレベルを考慮することが重要です。中核的な業務アプリケーションでは、より高いレベルのパフォーマンス、スケール、可用性、およびセキュリティが必要になります。それらのデータベースは、どこで実行するかにかかわらず、次に示すような主要な機能を提供する必要があります。

  • マルチモデル・データ型のサポート: ネイティブJSONを含むすべてのデータ型を単一のデータベースでサポートすることで、必要な管理知識が1セットのみで済むため、システムの実装が大幅に簡素化されます。
  • データ統合: 必要に応じてすべてのアプリケーションからすべてのデータ型にアクセスできるようにする必要があります。データ統合機能により、アプリケーション・レベルの複雑なコードやサービスの間でデータをまとめる必要性が軽減されます。
  • 分析: すべてのデータが実際にどのような意味を持っているのかを分析し理解できるようにする必要があります。リレーショナル、テキスト、空間、グラフといった複数のタイプのデータにわたって分析を適用できるようにする必要があります。advanced analytics機能が組み込まれたデータベースを使用することで、データをより迅速に理解でき、追加で必要となる外部の製品やサービスが少なく済みます。
  • 機械学習: 現代の企業は、新たなインサイトを発見できるように、機械学習モデルをデータベースの中で構築し、それらのモデルを新規のデータや過去のデータに対して実行する能力を必要としています。機械学習のモデリングや推論の機能が組み込まれたデータベースを使用することで、データを抽出、変換して外部システムに移すまでの時間のかかるプロセスを回避できます。
  • コンバージド・データおよびアクセス機能: マルチモデル・データ型をサポートし、同時にデータ統合、複数のタイプの分析、および機械学習の機能を備えているデータベースを、コンバージド・データベースと呼びます。コンバージド・データベースでは、アプリケーション開発が迅速化、簡素化され、管理ワークロードが軽減され、データベースとインフラストラクチャがより高いレベルで統合されます。そのため運用効率が高まり、コストが削減されます。
  • アプリケーション開発: 統合的なツールとローコードでのアプリケーション開発環境により、開発者やパワー・ユーザーは追加のツールやサービスを必要とせずに、革新的なアプリケーションをより迅速かつ簡単に作成できます。
  • 統合: 複数のデータベースを統合して1セットのクラウドまたはデータセンター・インフラストラクチャで実行することで、リソース使用率が向上し、管理や全体的なコストが削減されます。コンバージド・データベースがもたらす重要な側面として、異なるタイプのワークロードを同じインフラストラクチャ上で統合することができます。達成される最終的な統合レベルは、基盤となるハードウェア・インフラストラクチャや導入のアプローチにより異なります。データベース実行用として特別に設計されたハードウェアは、最高レベルのパフォーマンスと統合を実現します。
  • 管理の自動化: 機械学習を活用して、多数の日常的な管理タスクを自動化し、ヒューマンエラーを低減させる自律型データベースにより、DBAは運用効率を高め、基幹業務のイノベーションのサポートを強化できます。
  • セキュリティとアイデンティティの管理: 重要な情報への不正アクセスについて懸念する必要はありません。コンバージド・データベース全体にわたって一貫性のある強固なセキュリティは、重要なビジネス・データや個人情報に対する脅威を減らすのに役立ちます。

こうしたコアのデータベース機能以外にも、導入プラットフォームによってそれらの利用が可能になる場合もあれば制限される場合もあります。ただし、エンタープライズ用途のデータベースでは、24時間365日の運用に対応できるように、高可用性がソフトウェアおよびハードウェアのレベルで組み込まれている必要があります。また、特に組織が地理的に分散している場合や、ランサムウェアの脅威に直面している場合には、災害復旧も重要になります。さらに、多くの人が見落としがちですが、高いパフォーマンスもまた重要です。なぜなら、業務上不可欠なアプリケーションが、成長を支えるのに必要な大量のトランザクションや分析をサポートできるようになるためです。

たとえば、多数の顧客取引に対応する必要があり、最新のデータに対してほぼリアルタイムでレポートの実行を必要とする小売企業では、クラウドのコンバージド・データベース・ソリューションを選択できます。一方で、最高レベルのセキュリティとデータ・レジデンシーが求められる銀行では、独自のデータセンターでソリューションを実行する必要があるかもしれません。


データベースを導入する場所

企業は、ニーズに最も適したデータベースはどれかを検討するだけでなく、そのデータベースをどこに導入するかについても検討する必要があります。これらの選択肢は互いに関連したものになります。なぜなら、特定のデータベースを1か所で実行するだけでよい場合もあれば、ある場所のプラットフォームでデータベースを実行する方が別の場所のプラットフォームを利用するよりもはるかに優れている場合もあるためです。こうした組合せを探す簡単な方法として、優先されるデータベースが、パブリック・クラウド、プライベート・データセンター、データセンター内のクラウド、あるいはエッジ環境といった、望ましい場所で実行できるかどうかを調べることができます。


顧客データセンターへのデータベースの導入

顧客データセンターにデータベースを導入する場合、いくつかの利点がもたらされます。データベースが他のシステム、アプリケーション、データ・リソース、およびユーザーに物理的に近い場所にあるため、低レイテンシでデータにアクセスできます。オンプレミスのデータセンターでは、データベースとインフラストラクチャは完全に顧客の管理下にあり、データ・レジデンシーの要件と数多くの業界ベストプラクティスを満たしています。ビジネス・プラクティスによっては資本的支出(CapEx)の財務モデルの使用を必要とする場合もあり、顧客データセンターにリソースを導入することでそうしたことが容易になります。このアプローチでは、基礎となるハードウェア・インフラストラクチャやデータベースを管理するデータベース管理者(DBA)が必要になります。

このアプローチには次の2つの特徴があります。

  • 顧客による統合的なソリューション: つまり、社内のIT部門が、環境のあらゆる要素の獲得、統合、パッチ適用、保護に必要となるすべての専門知識と管理を提供します。複数のベンダー製のサーバー、ストレージ、ネットワーキング、仮想化、オペレーティング・システム、データベース・ソフトウェアを自らの手で統合し管理することは、時間のかかる煩雑な作業になるおそれがあります。
  • 事前構築済みの統合的なソリューション: このアプローチでは、すべてのハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントが既に互いに連携するように設計、統合され最適化されているため、導入と管理がはるかに簡単になります。統合的なソリューションによって、IT部門がコンポーネントの連携やチューニングに時間を費やさずに済み、最高のパフォーマンスが得られます。中小企業にとっては、統合的なフルスタックのソリューションを利用してデータベースとアプリケーションを一緒に実行するアプローチは経済的です。こうした統合的なソリューションを採用して、インフラストラクチャの使用量を減らし、その結果全体的なコストを削減して時間を節約することで、データセンターの複雑さを排除できます。

パブリック・クラウドへのデータベースの導入

多くの企業にとって、データベースをパブリック・クラウドで実行するという選択肢は魅力的です。速やかに実装でき、初期投資の必要がなくなる可能性が高いという利点があります。また、パブリック・クラウドでは、一定レベルのインフラストラクチャとソフトウェア管理も提供されます。パブリック・クラウドへの導入では、データセンターのスペース、機械、ハードウェア運用スタッフへの投資は一切不要であり、コストを削減できます。加えて、データベースの実行に必要なすべてのハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを個別にインストールして管理する必要がないため、ユーザーは短時間でデータベースを作成できます。パブリック・クラウドのアプローチでは、将来のワークロードの進化に応じてリソースの追加や入れ替えといった活用が簡単に行えます。

パブリック・クラウドを採用する場合、アプローチは企業ごとに異なり、それぞれについてトレードオフが異なります。これらのさまざまなアプローチは、Infrastructure-as-a-Service(IaaS)Platform as-a-Service(PaaS)マルチクラウド環境、顧客データセンター内のパブリック・クラウド、およびプライベート・クラウドで導入されています。

IaaSへのデータベースの導入

アプローチの1つとして、ベアメタルまたは仮想のインフラストラクチャ上のクラウドにデータベース環境を構築し、そのインフラストラクチャをオンプレミスであるかのように管理します。これにより、インフラストラクチャを必要に応じて正確に調整でき、ハードウェアの管理が不要になり、仮想化ソフトウェアの管理も不要になる可能性があります。こうした実装を継続的に管理するには、時間とシステムの管理に関する豊富な専門知識がDBAに求められます。

このアプローチを選択する具体的な理由は次のとおりです。

  • ワークロードに、フルマネージド・サービスで利用できるものとは異なるデータベースまたはデータベース・バージョンを必要としている。各データベースは通常、仮想マシン(VM)内のクラウドに導入します。
  • エンタープライズ・アプリケーション(サードパーティまたは社内開発)をクラウドに移行しつつある。現在のオンプレミス導入要件に対応したコンピュート・シェイプおよびストレージ機能を提供しているIaaSプロバイダーがあれば、そうしたIaaSを利用することで、完全なアプリケーション・インフラストラクチャをクラウドに簡単に移行できます。これにより、総所有コスト(TCO)が削減され、データベース管理者の生産性が向上します。

IaaS環境へのデータベースの導入は、高度に特化されたデータベース(特に、小規模で、将来拡大する可能性が低く、アプリケーションと密接に連携しているデータベース)を使用している場合に最適となる可能性があります。

PaaSへのデータベースの導入

このタイプのクラウド・サービスはDatabase as a Service(DBaaS)とも呼ばれ、データベースの実行に必要なコンピュート、ストレージ、およびデータベース・ソフトウェアを提供します。サービスによっては、DBAが物理ハードウェアの設定や管理、ソフトウェアのインストール、データベースの設定を行う必要がないものもあります。DBaaS環境では、ユーザーは短時間でデータベースをプロビジョニングできます。また、システム管理の作業が不要になり、多くの場合、必要となるデータベース管理の量が減ります。DBaaS環境内へのデータベースの導入ではいくつかのオプションがあります。

  • 汎用のインフラストラクチャ上に単一目的のデータベースを導入: 通常、このアプローチでは、エンタープライズ・ワークロードのさまざまな部分をサポートするために複数の異なるデータベースを導入する必要があり、さまざまなデータベースを連携させるために複数の追加のサービスを利用する必要があります。データ移動のために複数のデータベースやツールが必要なことから、DBAのワークロードが増え、セキュリティ上の欠陥が生じてコストが増大する可能性があります。
  • 汎用のインフラストラクチャでコンバージド・データベース・サービスを利用: このオプションは、あらゆるタイプのワークロード、データ型、アプリケーションに対応します。複雑さとコストは低減されますが、パフォーマンスとスケールは制限されます。
  • 最適化された統合的なインフラストラクチャ上でコンバージド・データベース・サービスを利用: この導入では、汎用インフラストラクチャのシンプルさと柔軟性を活かしながら、パフォーマンスとスケーリングに関する懸念をなくすことができます。あらゆるタイプのデータおよびデータベースに対応できるようにインフラストラクチャが事前に最適化および構成され、データベースとインフラストラクチャが高いレベルで統合されます。このアプローチは、業務上不可欠なワークロードをサポートするための要件を満たし、将来の成長をよりシンプルに実現するのに役立ちます。
  • 自律型データベース・ソリューション: このアプローチは前述のアプローチを拡張したもので、機械学習ベースの自動化を備えたコンバージド・データベースを利用して、データベース管理タスクをなくします。コストを削減しながら、高いパフォーマンス、信頼性、セキュリティ(PDF)、および運用効率を実現できます。

コンバージド・データベースおよび自律型データベースのアプローチの中では、複数の異なるタイプのインフラストラクチャを利用できる場合があります。

  • 共有インフラストラクチャ
    • 複数のユーザーがパブリック・クラウド内で同じクラウド・プラットフォーム・リソースを共有し、各ユーザーがvCPUリソースを消費します。
    • 自動スケーリングは、ピーク時間帯のパフォーマンスを高め、ワークロードの需要が低い時間帯にスケールダウンすることで、パフォーマンスとコストのバランスをとるのに役立ちます。
    • 低コストの従量課金制で導入を始めることができ、ミニマム・コミットメントで契約する必要はありません。
  • 専用インフラストラクチャ(PDF)
    • 専用のコンピュートとストレージで運用し、データと運用の完全な分離を実現します。「ノイジー・ネイバー」が排除され、特定のセキュリティ要件を満たせるようになります。
    • 専用のサーバー、ストレージ、ネットワーキングにより、運用ポリシーをより詳細に制御できます。
    • 専用のインフラストラクチャにより、リソース使用率が向上してコストが削減され、クラウドでのデータベースの統合によるメリットが最大限もたらされます。
  • 導入の選択肢にかかわらず、コンバージドおよび自律型データベースのオプションは、特定のタイプのワークロードをサポートするようにチューニングしつつ、他のすべてのワークロードを引き続きサポートできます。たとえば、次のワークロード・タイプがあります。

  • 分析とデータ・ウェアハウジング: 完全自動のデータ・ウェアハウスにより、データ・ウェアハウスの運用の複雑さがすべて排除されます。データレイク、データサイエンス、機械学習の機能に、シンプルでセキュアなセルフサービス機能を組み合せることで、分析処理とビジネス・インサイトをもたらします。
  • トランザクション処理と混合ワークロード: 完全自動のトランザクション処理データベースと、リアルタイム分析、および高レベルのパフォーマンスとスケールにより、OLTPおよび混合ワークロード・アプリケーションのデータベース操作が簡素化されます。専用のインフラストラクチャ上で、データベースの統合に最適なプラットフォームが提供されます。
  • ドキュメント・データベース・ワークロード: 開発者は迅速に、カスタマー360、コンテンツおよびカタログ管理、モバイル・アプリケーションなどのJSON中心のアプリケーションを作成し、NoSQL形式のドキュメントAPIを使用して導入します。開発者はデータ・モデルの作成や複雑なコードの記述について心配する必要はありません。基礎となるデータベース自動化機能を活用して最大限のパフォーマンスとセキュリティを実現できます。

PaaS環境へのデータベースの導入は、インフラストラクチャやデータベースの管理操作を最小限に抑えたい場合、または数百から数千のデータベースのインフラストラクチャを統合して全体的なコスト削減を目指す場合に最適となる可能性があります。PaaS環境の自律型データベースではさらに、データベース管理そのものが事実上排除されるというメリットももたらされ、データ管理チームは基礎となるデータベース・ソフトウェアにではなく、スキーマ、データ、ユーザーに注力できます。

マルチクラウド環境へのデータベースの導入

何百ものアプリケーションの実行を必要とする大企業には、複数のクラウドを併用するのが最適であることが明らかになっています。ビジネス・ニーズによっては、最高の機能性、最高のパフォーマンス、最小限のコストを実現するソリューションを得るために、マルチクラウド環境と呼ばれる複数のクラウドにアプリケーションやデータベース・スタックを分散させることが必要になります。

マルチクラウド環境では、あるクラウドでアプリケーション層を実行する(そのクラウドでのみ実行される可能性が高いため)と同時に、アプリケーション層を実行しているクラウドよりも高いパフォーマンス、大きなスケール、または低いコストを実現する別のクラウドでデータベース層を実行するのが一般的です。マルチクラウド環境においては、アプリケーション・パフォーマンスを低下させるレイテンシを最小限に抑えるために、他と比べて各プロバイダーのクラウド・データセンターを互いに近い距離に配置することが重要です。

また、クラウドごとに発生する問題を特定して解決し、データ・エグレス・コストを最小限に抑えるために、マルチクラウド・アーキテクチャで利用するさまざまなクラウド・ベンダーとの間で共通のサポート・ポリシーによる戦略的な関係を築くことも重要です。

マルチクラウド環境へのデータベースの導入は、高パフォーマンスのエンタープライズ(またはおそらく自律型)データベースを必要としていて、同じクラウドでは容易に利用できないアプリケーションを利用できるようにする必要がある場合に、最適となる可能性があります。

顧客データセンター内のパブリック・クラウドへの導入

多くのビジネス要件や政府の規制では、企業のデータを自社データセンターの内部に維持することや、企業データの存在を国の地理的範囲内に制限することが義務づけられています。こうした目標を達成するために、企業はパブリック・クラウド・リソースを自社データセンター内に導入して、クラウド・プロバイダーにインフラストラクチャの管理を任せることができ、サービスによってはデータベースの管理も任せることができます。このアプローチでは、たとえばデータ・レジデンシー、セキュリティ、レジデンシーの要件を満たすサブスクリプションベースのパブリック・クラウド・サービスなど、クラウドの価値とメリットがもたらされます。こうしたLCaaS(Local Cloud as a Subscription)のモデルにより、クラウドによる自動管理、専用のインフラストラクチャによる高パフォーマンス、統合による効率性のメリットがもたらされます。1日の、または長期間のワークロードの変動に応じて、消費量をスケールアップまたはスケールダウンできます。顧客データセンター内のパブリック・クラウド・サービスへの導入では、次のような多くの利点がもたらされます。

  • 最初の簡単なステップで既存のオンプレミス・データベースをクラウドに移行できます。
  • データが常に自社データセンターのファイアウォールの背後に留まるため、クラウドのメリットを活かしながらデータ・セキュリティとレジデンシーを実現できます。
  • データセンターで実行される既存のアプリケーションやデータソースに接続する際のレイテンシの要件を満たすことができます。
  • 複数のワークロードを共有のコンピュート、ストレージ、およびネットワーキング・リソースのプールに統合することで、最大限のメリットが得られます。プール・リソースの共有により、使用率の効率向上、導入のアジリティ向上、コスト削減がもたらされます。

こうしたソリューションの中には、顧客データセンター内のパブリック・クラウド・リソースに自律型データベースを導入できるものがあり、それらのデータベースが提供するスケーリング、プロビジョニング、パッチ適用、障害管理の自動化によるメリットを享受できます。このような高度な自動化機能により、ヒューマンエラーが排除されると同時に、低コストの従量課金制の利用によってコストが削減されることで、データの可用性とセキュリティが向上します。

顧客データセンター内のパブリック・クラウド・リソースへのデータベースの導入は、パブリック・クラウドのリージョンでは対応できないデータ・レジデンシーおよびセキュリティの要件がある場合に最適です。また、データセンターの既存のリソースで引き続きアプリケーションを実行しながら、クラウドの自動化と従量課金制のデータベース料金のメリットを享受したいと望んでいる企業にとっても、このアプローチが最適となる可能性があります。


プライベート・クラウドへのデータベースの導入

従来は、データベースを顧客データセンター内の共有インフラストラクチャに導入していました。このインフラストラクチャでは、優れたパフォーマンスと可用性を目的として設計されたインフラストラクチャ上でアプリケーション、ミドルウェア、データベースを実行していましたが、多額のコストがかかり、データベース固有のパフォーマンス最適化が実現されていませんでした。

近年、この共有のアプローチを起点として、データベースが最適に実行されるように専用のオンプレミス・インフラストラクチャを特別にチューニングしたプライベート・データベース・クラウドという概念が登場しています。これらのプライベート・データベース・クラウドは、それを利用する企業が所有、管理しますが、複数のデータベース・バージョンを同じインフラストラクチャ上で実行することで、きわめて高いレベルでのデータベースの統合が可能になるという利点を備えています。これらのプラットフォームには高レベルの自動化が組み込まれており、データベースごとにパフォーマンスSLAの達成に必要なリソースが確保されると同時に、重要なアプリケーションについてレイテンシの影響を受けやすいアクティビティが優先的に処理され、それらが可能な限り最高のパフォーマンスで実行されるようになります。

プライベート・クラウドでのデータベースの実行は、データベースとアプリケーションについて高レベルのカスタマイズと相互接続性を行っている場合に最適なアプローチとなる可能性があります。ほとんどのアプリケーションで、プライベート・データベース・クラウドと従来のオンプレミス・データベースの導入との区別がつかないため、クラウドへの移行を始めるにあたって最も簡単なアプローチとなる可能性があります。


ハイブリッド・クラウド環境におけるデータベースの移植性

ほとんどの企業では、データベースをクラウドに導入するか自社のデータセンターに導入するかの二者択一にすることはなく、双方を取り入れ、それらを連携させるために2つの環境を必要としています。ハイブリッド・クラウド環境への導入を必要とするシナリオは多数あります。たとえば、企業の多くはアプリケーションの開発環境と導入環境を別々にしています。または、リモートの運用をサポートするアプリケーションをパブリック・クラウドで実行し、一方で一元的な運用を自社のデータセンターで実行している企業もあります。

ITワークロードを最小限に抑えるために、データベースをハイブリッド・クラウド環境に導入する場合、その重要な要件の1つとなるのは、データベース・ソフトウェアとそれを実行するハードウェアが、すべての環境にわたって同じ機能、管理、およびセキュリティを提供することです。データベースやアプリケーションを別の場所に移して一貫した方法で管理する場合、高レベルの同一性を備えた環境であれば必要な作業量が軽減されます。


代替の導入手段を提供するクラウド・プロバイダーの選択

クラウド・プロバイダーの選択にあたっては、完全で統合的なソリューションを提供していることに加えて、一連の幅広いコンバージド・データベース機能を備えていること、必要に応じて導入を実現可能にする高レベルのインフラストラクチャ同一性を備えていることを考慮する必要があります。それらの条件を満たすソリューションを選択すれば、コストを低く抑えつつ、柔軟性、スケーラビリティ、成長の要件に確実に対応できるようになります。