CFO向けの主要なKPIとダッシュボード20選(2024年)

Alex Chan | コンテンツ・ストラテジスト | 2024年2月12日

今日の最高財務責任者(CFO)は、キャッシュフローの追跡、財務計画、会社の財務実績のレポーティングを引き続き担いながら、会社の財務目標を達成するための業務計画や戦略計画の中心的な存在ともなっています。つまり、CFOは、どの主要業績評価指標(KPI)が会社の業績を最も正確に示す指標であるかについての明確な見解を示す必要があります。そしてCFOは、これらの指標を戦略的に追跡し、より多くの人々と共有することで、改善の機会を特定し、それに対して行動するよう企業全体を結集させる必要があります。これらすべてを達成するために、CFOは具体的にどのような指標を追跡する必要があるかをマッピングし、これらの指標を収集・表示するためのダッシュボードを構築する必要があります。

CFOのKPIとは

CFOの主要業績評価指標(KPI)は、財務業績、ひいてはCFOの業績を測定するために使用されます。CFOのKPIは、財務部門が会社の状況を把握し、成功の維持や軌道修正のために十分な情報に基づいた意思決定を行うのに役立つ指標です。CFOのKPIは、効率性、収益性、リスク管理に関するインサイトを提供することで、企業の財務実績を理解するのに役立ちます。サステナビリティに関連する新たなKPIの重要性は、規制当局の要求や投資家が環境要因をどの程度重視するかによって高まる可能性があります。このようなKPIを財務部門を超えて広く共有することは、企業が問題や成功を早期に発見し、事業部門のリーダーを正しい結果に向けて集中させるのに役立ちます。

CFOのダッシュボードとは

財務リーダーは、企業の財務実績と健全性の全体像を把握するためにCFOのダッシュボードを使用します。この分析ツールは、一元化された場所でリアルタイムのデータにアクセスしたりKPIを確認したりすることを可能にします。CFOは、ダッシュボードを活用して、主要な財務数値を追跡、分析、報告することができます。これは、リーダーシップ・チームが会社の財務の健全性を理解し、リスクや改善すべき領域を特定し、財務目標を達成するための企業戦略を策定するのに役立ちます。

主なポイント

  • CFOのKPIは、企業が財務パフォーマンスを測定するために使用されます。この指標は、CFOが情報に基づいた財務上の意思決定を行い、組織が目標を達成するのに役立ちます。
  • CFOのKPIを監視・分析することで、企業は財務パフォーマンスをよりよく理解することができます。これらの指標は、企業の効率性、収益性、成長機会、それに伴うリスクについてのインサイトを提供します。
  • 組織の財務目標、規模、業界、ビジネスモデル、業務プロセスによって、追跡すべきCFOのKPIは異なります。
  • CFOダッシュボードを活用することで、組織の財務実績を包括的に把握することができます。ダッシュボードは、重要な財務数値を追跡、分析、報告する機能を提供します。

CFOのダッシュボードに含めるべきKPIとは

CFOダッシュボードに含めるべきKPIは、企業の目標や要件によって異なりますが、リーダーが会社の業績を把握し、キャッシュフローや流動性などの分野における潜在的なリスクを特定し、拡張、買収、レイオフ、売却などの重要な財務上の意思決定に役立つものでなければなりません。サステナビリティのKPIは、事業活動が環境に与える影響を測定するのに役立ちます。

ここでは、CFOがこれらの課題に対処するために使用している一般的な財務のKPIをいくつか紹介します。

収益と利益に関するKIP:

  • 収益成長率
  • 総利益率
  • EBITDAマージン率
  • 年平均成長率(CAGR)
  • 収益差異分析
  • 総資産収益率

運営に関するKIP:

  • 営業キャッシュ・フロー
  • 現金換算サイクル(CCC)
  • 運転資本
  • 買掛金回転率
  • 売上債権回転率

財務効率に関するKIP:

  • 自己資本利益率(ROE)
  • キャッシュ・ランウェイ
  • 売掛金回転日数
  • 買掛債権回転日数

負債:

  • 運転資本
  • 当座比率
  • 負債比率

サステナビリティ:

  • 加重平均炭素原単位(収益別)
  • 物理的炭素原単位比率(業界固有)

CFOのKPIダッシュボードの例

CFOのKPIダッシュボードは、ビジュアルと指標を組み合わせることで、十分な情報に基づいた迅速な財務評価を可能にします。ダッシュボード内にKPIがあることで、ビジネスにとって重要な指標を定期的に評価しやすくなります。また、リーダーは集中力を維持し、問題や成功を早期に発見できるようになります。また、関連性の高い指標を手元に置くことは、明確な財務目標を持つ戦略の策定にも役立ちます。ただし、関連性を高めるには、CFOのKPIダッシュボードにタイムリーで正確なデータを入力する必要があります。

上記の図では、運転資本、流動負債、ベンダー支払エラー率など、CFOがダッシュボードに含める可能性のあるKPIやグラフを示しています。

追跡すべき財務KPIの決定方法

どの財務KPIを追跡すべきかは、最終的にはビジネスの目標によって決まります。

定量的で実行可能であることに加え、最も効果的なKPIとは企業の目標に沿ったものです。例えば、次年度は利益とキャッシュフローが最も重要なのか、それとも利益を犠牲にしてでも収益と市場シェアの拡大がより重要なのか。このような戦略的決定によって、ダッシュボードでどのKPIが最も重要視され、注目されるかが決まります。つまり、今後1年間で会社の資金ポジションを改善することが目標であれば、「12か月間でキャッシュフローを15%増加させる」という具体的な目標を設定し、営業キャッシュフロー、現金換算サイクル、EBITDAマージンの正確なベンチマークを重要なKPIとして設定します。

CFOのダッシュボードに含めるべきKPIを考える際には、組織の財務目標、規模、成熟度、業界、ビジネスモデル、財政方針、業務プロセス、その他の構成要素について考える必要があります。包括的なCFOのダッシュボードでは、企業の財務の健全性を迅速に分析することができます。

サステナビリティの指標に関しては、どのKPIが最も有用で影響力があるのか、まだ明確なコンセンサスは得られていません。規制当局によるレポート要件の確立が、この状況を大きく左右することになるでしょう。同様に、資産運用会社や個人投資家など、二酸化炭素排出量などの環境問題を投資判断の基準としている投資家の存在も、極めて大きな影響を与えるでしょう。

ダッシュボードには通常、財務リスクや改善の機会を特定するのに役立つグラフやレポートが含まれます。全社的な指標に加え、事業部門レベルでこれらのKPIを適用することで、どの製品やサービスが顧客に最も人気があるか、どの分野の運営に最もコストがかかっているか、会社の業績の足を引っ張っている分野はないか、などのインサイトを得ることができます。

CFOのダッシュボードに含めるべき20のKPIとメトリック

KPIは財務パフォーマンスを定量化するために使用されます。組織が財務目標を達成するためには、正しいKPIを分析して現在の業績をしっかりと把握する必要があります。

ここでは、追跡すべきKPIを特定できるよう最も一般的に使用されるKPIについて説明します。

収益と利益に関するKIP:

これらのKPIは、企業の収益がどのように推移しているか、またその収益からどれだけの利益を生み出しているかを示します。

  • 1.収益成長率: 最もシンプルな指標であり、あらゆる議論の出発点です。会社は成長しているのでしょうか?それとも縮小しているのでしょうか?収益成長率=(現在の収益-前期の収益)÷前期の収益×100
  • 2.EBITDAマージン: 金利、税金、減価償却費、および償却費を差し引く前の利益で、企業の中核的な収益性を測ることができます。EBITDA純利益に似ていますが、財務および会計上の選択を除外することで企業の収益性をより公平に比較することができます。EBITDA=純利益+利息+税金+減価償却費+償却費
  • 3.売上総利益率: 販売価格と製造原価を比較することにより、製品の基本的な収益性を評価します。営業利益率に計上されるマーケティング、営業、一般管理費は含まれません。売上総利益率=(売上高-売上原価)÷売上高
  • 4.純利益率: 1ドルの利益からどれだけの純利益が得られるかを示すものです。損益計算書上の最終的な利益である純利益は、現金費用と減価償却費のような非現金支出を含むすべての費用を含んでいます。純利益率=(純利益÷売上高)×100
  • 5.年間平均成長率 (CAGR): 企業が特定の期間内に経験した複合的な成長を評価するもので、前年比の収益成長率よりも幅広い視点を提供します。CAGR= ((期末残高)÷(期首残高))^(1÷成長した年数) – 1
  • 6.予算差異: 予測予算と実績との差異を評価するもので、収益、費用、マージン、純利益などさまざまな財務構成要素に適用することができます。収益予算差異=(実績収益-予算収益)÷予算収益
  • 7.総資産利益率: 企業が所有する資産からどれだけの利益を生み出しているかを評価します。ROA = 純利益÷平均総資産

運営に関するKIP

これらのKPIは、会社の経営状態を評価するもので、特に営業活動をキャッシュに変換する能力に焦点を当てたインサイトを提供します。

  • 8.営業キャッシュ・フロー: 日常業務からどれだけのキャッシュ・フローが生み出されているかを測定しますCFOのダッシュボード・ソフトウェアは、この指標に関連する膨大なデータを効率的に管理することができます。営業キャッシュフロー=営業利益+減価償却費-税金+運転資本の増減
  • 9.現金換算サイクル: 商品を現金に換えるのに必要な日数を測定します。現金換算サイクル=在庫未処理日数+売掛金回転日数-買掛債権回転日数
  • 10.買掛金回転率: 企業がサプライヤーに支払いをするのにかかる時間を測定します。比率が低下している場合は、キャッシュフローに問題がある可能性があります。比率が上昇している場合は、資金配分が不十分であり、その資金をもっと有効に活用できる可能性があります。買掛金回転率=サプライヤーの未払金合計÷平均買掛金
  • 11.売上債権回転率: 提供した商品やサービスに対する顧客の支払の速さを測定します。比率が低ければ、債権回収に改善の余地があることを示しています。一方、比率が高すぎる場合は、顧客へのクレジットを増やすことで成長できる可能性があります。売上債権回転率=総クレジット売上÷平均売掛金

財務効率に関するKPI

これらのKPIは、企業が投資家の資金(キャッシュを含む)をいかに効果的に使用しているかを測定するものです。

  • 12.自己資本利益率: 投資家や企業オーナーの資金が、利益を生み出すためにどれだけ効果的に使用されているかを測定します。自己資本利益率 = 当期純利益÷株主資本価値
  • 13.キャッシュ・ランウェイ: 企業が毎週費やしている現金の額を測定することで、追加的な資金注入なしに事業を継続できる期間を予測します。キャッシュ・ランウェイ=現在の現金残高÷消化レート
  • 14.買掛債権回転日数 (DPO): 買掛金の支払いペースを日数で表したものです。DPOが高ければ、サプライヤーのクレジット条件を適切に利用し、運転資本を強化するためにキャッシュを温存していることを意味します。しかし、高すぎる場合は、支払うための現金がないことを示唆します。また、支払いが滞ることで、支払割引を逃している可能性もあります。買掛債権回転日数 = (買掛金×期間日数)÷売上原価
  • 15.売掛金回転日数 (DSO): 顧客からの代金回収の早さを日数で表したものです。この数値が低いほど、支払いが迅速であることを示しています。注:より良いクレジットを提供しないことで、売上を逃している可能性がないかを確認しましょう。売掛金回転日数 = (当該期間の平均売掛金÷当該期間のクレジット売上)×当該期間の日数

負債に関するKPI

これらのKPIは、企業が債務支払、給与支払、その他の現金債務を履行するための体制がどの程度整っているかを評価するものです。

  • 16.運転資本: 企業が短期的な債務を履行するために利用可能な資源を評価します。営業キャッシュフローとともに、支払能力のリスクを特定し、成長機会の追求が企業を危険にさらす可能性があるかどうかを評価します。流動資産を流動負債で割った比率を流動比率と呼びます。運転資本=流動資産-流動負債
  • 17.当座比率: これも同じように、短期的な財務債務を履行する能力を測定します。当座比率=(資金+有価証券+売掛金)÷流動負債
  • 18.負債資本比率: 会社の負債と株主資本を比較します。この比率が高いほど、負債による資金調達が多く、リスクが高いことを意味します。負債資本比率 = 会社の負債合計÷株主資本合計

サステナビリティに関するKIP

サステナビリティのKPIは、投資家の意思決定、法規制の遵守、長期的な財務パフォーマンスにますます影響を与えるようになっています。

  • 19.収益別の加重平均炭素原単位(WACI): 企業の売上高100万ドルあたりの炭素排出量を測定します。しかし、収益は大きく変動する可能性がり、地域の市場状況によって企業ごとに異なるため、この指標には限界があります。JPMorgan Chaseの「Understanding carbon exposure metrics」レポートでは、「同じ業界で事業を営む異なる企業の炭素効率を比較するには不完全な方法」と指摘されています。WACI=CO2排出量トン÷(売上高÷100万ドル)
  • 20.業界別の物理的炭素原単位比率: これらのKPIは、総炭素排出量を、トウモロコシの生産量、銅の採掘トン、電力の生産メガワット時などの物理的生産量で割ったものです。物理的原単位分析=CO2排出トン÷生産単位

オラクルを活用した財務実績の向上

CFOやその他のビジネス・リーダーが成長および利益向上に向けた戦略を策定・実行するためには、適切なデータにアクセスできることが重要です。Oracle Fusion Cloud Financialsは、財務チームが組織の財務状況を把握し、予測精度を高め、リスク管理を改善し、意思決定を簡素化するために必要なデータを提供するプラットフォームです。CFOは、組織全体のデータを集約したダッシュボードにアクセスし、組織の財務と運営に関する包括的かつリアルタイムのビューを得ることができます。さまざまな業界のグローバル企業が、実用的なインサイトと効率性を高める自動化を求めてOracle Cloud Financialsを利用しています。

CFOのKPIに関するよくある質問

CFOがKPIで追跡できる重要な項目は何ですか?
CFOは、債務の支払いや給与支払いなどの短期的な債務を履行するために必要な流動性、商品を現金化するのにかかる時間、投資家の資金を効果的に利用して利益を生み出せているかどうか、売上や利益の面での企業の成長率など、重要な業績要因を追跡することができます。

CFOのダッシュボードの最も重要な機能とは何ですか?
CFOダッシュボードは、何よりもまず、正確で最新のものでなければなりません。次に、情報を明確かつ迅速に表示できること、時系列でデータの傾向や変化を提示できること、カスタマイズが容易でCFOが詳細を掘り下げることができることなどが求められます。

CFOのダッシュボードで頻繁に監視することが最も重要なKPIは何ですか?
当座比率と流動比率は、企業の当面の財務債務を履行する能力を測定するKIPであるため、非常に重要です。

CFOにダッシュボードに含めるべき最も重要な項目は何ですか?
CFOのダッシュボードに必ず必要な項目は、収益、コスト、利益、キャッシュフロー、資金ポジション、資本利益率です。

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