CRMとERPの違いとは

Cara Vollmer | コンテンツ・ストラテジスト | 2023年1月17日

ビジネスプロセスの簡素化と改善を目指す企業にとって、その選択肢は、顧客関係管理(CRM)とエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)の2つになります。どちらも、複数の部門にまたがるデータを結びつけ、時間のかかる手作業を自動化するための企業向けソフトウェア・ソリューションです。両者には類似したメリットや機能がありますが、それぞれが明確な役割を持っているので、置き換え可能ではありません。

CRMシステムは、マーケティング、営業、広告、カスタマー・サービスなど、フロントオフィスのビジネス機能をサポートし、接続します。一方、ERPシステムは、主に財務、サプライチェーン業務、人事などのバックオフィス機能をサポートし、接続するものです。

CRMとERPの利点、両者の違い、そしてそのどちらが(あるいは両方が)あなたのビジネスに適しているのかについて、詳しく説明します。

主なポイント

  • CRMとERPは、データを一元化し、接続し、プロセスを自動化することでビジネス価値を高めるソフトウェア・ソリューションです。
  • CRMは顧客とのやりとりやインサイトを自動化し、ERPはビジネス・プロセスや業務を自動化します。
  • CRMとERPを統合することで、ビジネスの効率性と生産性を向上させることができます。
  • CRMとERPを統合することでデータ・サイロを減らし、システムを最大限に活用することができます。

CRMとは

顧客関係管理(CRM)は、顧客とビジネスのやり取りを自動化するための企業アプリケーションです。一般的には、より大規模なカスタマー・エクスペリエンス(CX)アプリケーションの一部であることが多く、マーケティング、広告、eコマース、カスタマーサービスなどのソリューションを含みます。CRMシステムは、顧客と営業担当者とのやりとりや、提案内容、購入履歴、サービスリクエストなど、収集したすべての顧客データを追跡・保存します。

多くのCRMソリューションは、サードパーティのデータソースから顧客記録を補完することで、コンタクト・データが完全かつ最新のものであることを保証します。これらの顧客データは組織全体で共有され、ユーザーは各タッチポイントで何が起こったのかをより良く理解することができます。また、クラス最高のCRMソリューションでは、人工知能(AI)を使用して顧客の履歴を分析し、営業に推奨される次のアクションを提案することができます。


CRMのメリット

CRMシステムは、日々の顧客とのやりとりや、マーケティング・キャンペーン、販売サイクルなど、顧客に関連するプロセスを自動化することで、より良い顧客関係の構築と成長のために費やせる時間と、インサイトを企業に提供します。CRMを活用することで、営業、カスタマーサービス、サポート、マーケティングなど、さまざまなチームの従業員が、各顧客のビジネス履歴や企業との関係の履歴を完全に共有できるようになります。このデータを分析することで、より一貫性のある、パーソナライズされたカスタマー・エクスペリエンスを実現し、売上向上に必要な信頼関係を構築することができます。CRMシステムを適切に導入することで、以下のことが可能になります。

  • カスタマーサービスの向上: 最近受けたカスタマーサービスを思い出してください。待ち時間はどれくらいでしたか?何人もの担当者に回され、そのたびに同じ内容を言い直す必要がありましたか?CRMは、顧客データを一元管理することで、より正確な顧客プロファイルを作成し、対応時間を短縮するとともに、営業、サービス、マーケティング担当者間の連携を円滑化します。これらの機能はすべて、顧客満足度を向上させ、初回購入の顧客がロイヤルティの高いリピーターになる確率を高めます。
  • 生産性の向上: CRMのツールと自動化は、データ入力や顧客情報の更新など、よくある日常的な作業を簡素化します。これにより、プロセスがスピードアップし、ミスが減少するため、従業員はより有意義な仕事に集中することができます。また、CRMシステムは、電子メール、ライブチャット、チャットボット、ソーシャルメディアなどのデジタルチャネルを通じて、顧客とのやり取りの多くを自動化およびデジタル化します。ライブチャットなどのツールは、顧客と担当者を即座に結びつけ、より迅速な対応を生み出します。販売、サービス、サポートのナレッジベースとAIとが接続されたチャットボットは、24時間利用することができ、顧客満足度を向上させます。また、AIはメールキャンペーンにおけるパーソナライズと関連性を向上させ、アウトバウンド・マーケティングのターゲットを効率的に絞り込むことができます。
  • インサイトの取得: CRMは、顧客の属性や好み、御社とのやりとり、購買履歴など、膨大な量のデータを作成し、管理します。これらのデータを分析することで、請求書の管理や販売予測の改善など、顧客との関係のさまざまな側面を最適化することができます。また、開発チームは顧客のニーズや要求に関するインサイトを得て、より良い製品やサービスの開発につなげることができます。営業チームとマーケティング・チームも、分析を活用して、顧客が「理解されている」と感じるような、パーソナライズされたコミュニケーションを実現することができます。
  • 顧客維持と売上の向上: 営業チームは、CRMから顧客の関心、ニーズ、履歴に関する包括的なインサイトを得ることで、顧客により効率的なサービスを提供するための適切な判断を下したり、どの顧客からさらなる収益を見込めるかを正確に把握したりすることができます。特に、CRMはシステム内に保存された顧客とのやりとり、取引内容、コンタクト情報、プレファレンスなどをすべて一元的に表示することができるので、担当者は顧客や見込顧客とのやり取りを容易に管理することができます。これらの情報は、顧客に関するインサイトを提供し、よりパーソナライズされた関係を確立するために使用することができます。CRMシステムは、顧客との対話、メッセージ、メモ、担当者とのやりとりを追跡することで、顧客レコードを最新のアクセス可能な状態に保ちます。これにより、顧客が同じ内容を繰り返したり、重複したやりとりをしたりする必要がなくなります。
最新のERPに関するガイド

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ERPとは

エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、会計、調達、プロジェクト管理、サプライチェーン管理、リスク管理、人事などの日常的なバックオフィスのビジネス・プロセスを管理、自動化、および接続するためのビジネスソフトウェアの一種です。ERPスイートはまた、プランニング、予算、予測、および組織の財務結果に関するレポートを支援するソフトウェアである、経営管理ソリューション(EPM)を含むこともありあります。これらのビジネス・プロセスを単一のテクノロジー・プラットフォームに統合することで、業務の効率化とワークフローの簡素化が可能になります。ERPシステムは、複数のソースから組織の共有トランザクション・データを収集することにより、部門間で関連するデータを移動可能にし、データの重複を排除し、信頼できる唯一の情報源となる中央にデータを保存することで、データの整合性を保ちます。


ERPのメリット

ERPシステムは、複数のバックオフィス部門からデータを収集し、共通のデータベースに格納することで、重要なビジネス機能を統合し、データ・サイロを排除します。これにより、財務管理、サプライチェーン管理、人事などの分野で、より正確な意思決定を行うための信頼できる唯一の情報源を従業員に提供することができます。ERPはまた、業務のスピードを低下させるデータ入力など、多くの手作業を自動化することで、ビジネス・プロセスを迅速化し、生産性を向上させます。さらに、ERPシステムには次のような特徴があります。

  • 費用節減: ERPは、いくつかのビジネス機能を単一のシステムに統合し、組織全体のプロセスを自動化することにより、運用コストを削減します。ERPシステムは、手動でのデータ入力や冗長になりがちなプロセスにかかる費用など、多くの管理・運用コストを軽減、解消します。つまり、より多くの仕事をより少ない時間とリソースで行うことができるようになることで、従業員は企業の成長を促進するような、より革新的なプロジェクトに集中できるようになります。一例として、Blue Shield of Californiaは、クラウドERPシステムの導入により、約50万ドルのコストを削減しました。
  • 効率性の向上: 最新のERPシステムでは、ヒューマンエラーが発生しやすい手作業による繰り返しのタスクを、プロセスの自動化と人工知能により最適化します。ERPで財務・会計プロセスを自動化することで、例えば、企業は決算までの時間を数日短縮でき、従業員はより戦略的な活動に集中できるようになります。また、ERPは、在庫のライフサイクルの各段階におけるすべての材料、およびすべての顧客注文を1つのシステム上で追跡することで、企業を支援します。これにより、可視性とサプライチェーン計画が向上し、適切な製品を時間通りに顧客の手元に届けることができます。
  • 意思決定の改善: エンタープライズ・クラスのERPシステムは、財務および業務パフォーマンスに関する包括的なビューをユーザーに提供します。また、カスタマイズ可能なレポートとリアルタイムのインサイトにより、手動でレポートを作成する必要がなくなります。また、プロセスをよりシンプルにし、必要な情報をすぐに得られるようにすることで、多くのタスクの完了にかかる時間を短縮できます。これを、プロセスの自動化とシステムの統合と組み合わせることで、意思決定者に正確な情報をすばやく提供し、彼らがビジネスや経済の状況の変化に迅速に対応できるようにします。
  • コラボレーションの促進: ERPシステムは、単一のデータソースと共通のインターフェイスを提供します。これにより、各部門のユーザーが簡単に情報を共有して、財務プランニング、営業、在庫管理、ロジスティクス、人材計画、カスタマー・エクスペリエンスなどのタスクを改善できるようにします。あるグループだけがアクセスできるソフトウェアを部門をまたいで複数使用することをやめることで、チームは別の部分に情報を要求する必要なく、独立して主体的に作業できるようになります。例えば、人事と財務のチームは、人材計画、給与計算、出退勤管理、調達、会計など、いくつかのビジネス機能で重複しています。そこで、これらのチーム間で1つの従業員記録を共有することで、整合性が取れ、ミスを減らすことができます。
  • リスクの軽減:適切なERPシステムは、データの整合性を確保し、財務統制を強化するのに役立ちます。一元化されたシステムと権限ベースのアクセスにより、権限をもつ従業員のみが機密データを参照できるため、監査証跡が改善され、財務リスクと業務リスクが軽減されます。

CRMとERPの主な違い

CRMとERPは、どちらもビジネスの生産性を向上させ、自動化を促進し、収益を上げるためのシステムです。では、この二つのシステムの違いは何なのでしょうか?そして、一方のシステムが他方の役割を果たすことはできるのでしょうか?

両者の一番の違いは、ERPソフトウェアは主に財務データや業務のために使用されるのに対し、CRMソフトウェアは営業やカスタマーサービスの側面で使用されることです。また、ERPシステムは、主にバックオフィス機能(会計、調達、人事、コンプライアンスなど)をサポートするのに対し、CRMはフロントオフィス機能(マーケティング、営業、サービスなど)をサポートします。

ERPの多くはCRMの機能も含んでいますが、CRMはERPの機能を含んでおらず、トランザクション・データも扱っていません。CRMとERPはどちらもビジネスの成功に欠かせないITシステムの重要なコンポーネントであり、どちらかがもう一方を置き換えることはできません。Varsity Scoreboardsが、2つのプラットフォームを統合することで、どのように両方の利点を最大限に活用しているかをご覧ください。

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CRMとERPの統合

企業と顧客の間には、何十、時には何百ものインタラクションが発生しますが、それらを行うのは、複数の部門にまたがる、異なる権利や目的を持つ従業員たちです。理想は、すべてのタッチポイントで、顧客に一貫したインタラクションと1つの統合されたエクスペリエンスを提供することです。このような最新かつ摩擦のないエクスペリエンスを提供するためには、企業はCRMとERPシステムを統合し、2つのデータセットを別々に管理するのではなく、効果的にデータを共有する必要があります。

例えば、eコマースでの販売を考えてみましょう。顧客がフロントオフィス(オンライン)で商品やサービスの代金を支払うと、バックオフィス(財務)で取引の詳細と収益が記録されます。もしCRMとERPシステムが単一のデータセットを参照し、連携していなければ、ミスが発生したり、注文が失われたり、利益が報告されなくなる可能性があります。

フロントエンドのCRMデータをバックオフィスのERPデータとリンクして分析することで、企業は顧客の傾向を理解して予算編成と予測を改善したり、より迅速でパーソナライズされたカスタマー・エクスペリエンスを提供したり、将来の需要を予測したりできるようになります。また、営業担当者は、新しい商談を追跡したり、見積もり依頼を作成したり、新しい見積もりを既存のアカウントにリアルタイムで統合したりすることができます。

そして最も重要なポイントは、CRMとERPの統合により、収益性が向上することです。技術調査会社のNucleus Researchは、CRMと他の社内アプリケーションの統合により、「営業、サービス、業務の生産性が向上し、ビジネスが20~30%成長した」ことを明らかにしています。

ビジネスに最適なソリューションの選択

現代のビジネスが直面する需要に適応し、競争力を獲得するために、リーダーたちは適切なツールを必要としています。CRMとERPの違いが理解できれば、多くの選択肢の中から、十分な情報に基づいた決断を下すことができるようになるでしょう。

CRMシステムとERPシステムは、データを単一のプラットフォーム上で統合し、すべてのプロセスを詳細に把握できるようにすることで、顧客維持率の向上、会計の効率化、売上の増加、サプライチェーン問題の把握など、さまざまな課題をビジネスが解決できるよう支援します。これにより、ビジネスリーダー、従業員、そして顧客の負担が軽減されます。

Oracle Fusion Cloud ERPOracle Advertising and Customer Experience (CX)は、AIと予測分析を使用して、組織が優れたカスタマーサービスを提供し、日常業務を簡素化し、最新の状態を維持できるようにします。すべてのカスタマー・エンゲージメントや、すべての費やされた金額を完全に把握するために、統合クラウド・プラットフォームをご活用ください。

CRMとERPのよくある質問

ERPはCRMの代わりになりますか?
いいえ、ERPとCRMには共通のメリットがありますが、置き換え可能ではありません。

CRMとERPの違いは何ですか?
CRMは営業やサービス、マーケティングなどのフロントオフィス機能をサポートし、ERPは会計や業務、人事などのバックオフィス機能をサポートします。

ERPとCRMを統合することはできますか?
はい、適切に計画することで、両者を接続してビジネス・データを同期させ、顧客関係を管理し、ビジネスの成長を促進することができます。

ERPを利用すべきなのはどんな企業ですか?
バックオフィスのデータを一元化し、財務、業務、人事などのプロセスを自動化したいと考えるすべての企業でお使いいただけます。

CRMを利用すべきなのはどんな企業ですか?
フロントオフィスのデータを一元化し、より良いカスタマー・エクスペリエンスを提供したり、より良い製品とサービスを作りたいと考えるすべての企業でお使いいただけます。

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