CFOと財務に大きな変化をもたらす生成AI

ロンディ・エン、アプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント
Keith Causey、クラウドERP変革および開発担当シニア・バイスプレジデント | 2024年3月7日

財務という変化の激しい分野において、人工知能は従来のプロセスを一変させ、可能性の限界を押し広げています。そして今、生成人工知能(GenAI)が登場したことで、最高財務責任者の役割はさらに急速に変化していくでしょう。以下では、GenAIが財務の在り方をどのように変え、どのような革命をもたらすかを探ります。

従来の財務機能を変革

財務エコシステムにGenAIを組み込むことは、単なる技術的なアップグレードではありません。それは、財務プロセス、決算、申告、計画、分析、幅広い意思決定を簡素化するための劇的な変化であり、CFOに大きな力を与えるものです。GenAIは、支援、助言、推奨など、全く新しい方法でこれらの確立されたプロセスを強化します。かつては手間や時間がかかり、手作業が必要だったタスクがルーチン化され、バックグラウンドで実行されることも多くなります。これにより、従業員はより戦略的なイニシアティブに集中できるようになります。

この変革は単に生産性を向上させるだけでなく、リアルタイムのデータ、分析、推奨に基づく意思決定が当たり前になる未来に向けて、財務部門を強化します。CFOは、将来を見据えたビジネス価値にフォーカスした活動に専念できるようになり、企業レベルで大きな利益を実現することができます。

新たな機能の活用

GenAIは単なるツールやテクノロジーではなく、いわば、イノベーションの原動力です。自動化とインサイトを新たなレベルに引き上げるために設計された、GenAI、従来のAI、拡張データモデルの相乗効果により、新しいユースケースが驚異的なペースで出現しています。利点は次のとおりです。

  • 生産性の向上: 財務チームは、新たなレベルの自動化を活用してタッチレス操作に向けての継続的な取り組みを行い、プロセスを簡素化または置き換えて、エラーを削減し、効率を高めることができます。AIは、資本配分や収益拡大のための行動を提案したり、交渉の立場を有利にしたり、企業間取引の自動化を可能にするなど、複雑なタスクにまでその能力を発揮しています。AIモデルは、より効果的なリアルタイムの意思決定のために、データに基づいた予測を提供します。財務報告のシナリオでは、GenAIは、脚注やMD&Aを含む10Qや10Kの初期草案の作成を支援します。
  • 決算を強化し、リスクを低減: 決算プロセスでは、すべての入力項目の分析、異常の検出、是正措置の提供など、綿密な精査が行われます。
  • 迅速なアクションを可能に: リアルタイムのデータ処理が財務計画と分析の基礎となりつつあります。これにより、業務上の不足や機会を特定するために月末の締めを待つ必要はなくなりました。また、関連する外部情報を取り入れることで、パターン、トレンド、異常を特定する能力が強化され、予測や推奨されるアクションを積極的に提案できるようになります。
  • より高い価値を提供する新機能: GenAIと従来のAIを組み合わせることで、債権リスクや回収管理から不正検出に至るまで、取引組織間のエンドツーエンドのビジネスフローやプロセスが簡素化されます。その他、自動化や簡素化が期待される分野には、契約書作成やプロジェクト提案、融資申請や銀行口座開設などの金融業務、購買や決済などがあります。

このような潜在的な前向きな変化からより大きな価値を得ることは、現在の状態をさらに改善することにつながります。そしてこれはCFOの役割にも直結します。

GenAIは単なるツールやテクノロジーではなく、いわば、イノベーションの原動力です。

CFOの最高変革責任者としての役割: 財務のデジタル変革を主導

CFOは変革の担い手です。この取り組みに役立つ、7つのステップからなるロードマップについて説明します。

  1. 今すぐ変革に着手する: 新しい機能をシームレスに導入できる財務プラットフォームの導入など、変革に備えたデジタル・トランスフォーメーションを開始しましょう。
  2. テクノロジー戦略の推進: AI/GenAIなどの次世代機能と成果、財務の簡素化と最新化を推進するため、データに焦点を当てたテクノロジー戦略を推進します。データがバックボーンとなり、財務プラットフォームが変革とイノベーションの基盤となります。
  3. 戦術的ではなく、戦略的な思考: より高い価値の実現と従業員満足度の向上のために、成果を戦略的に定義します。リアルタイムの意思決定、高度な自動化、受け身ではなく積極的な戦略的行動のための有意義なインサイトを提供するデータドリブンの成果に焦点を当てます。組織内の摩擦を減らし、ビジネス・チャンスを拡大します。
  4. データはAIの原動力: 高品質のデータは、自動化、パターン認識、および高度な機能を備えたAIのトレーニングに不可欠です。長期的な成功には、データファーストの考え方とデータに特化したプラットフォームが必ず必要であり、この点はいくら強調してもし過ぎることはありません。
  5. 組織の再編: CFOは変化を恐れる声に真正面から立ち向かうべきです。そのためには、GenAI/AIを活用できるようにするためのトレーニングに投資し、従業員の能力を高める必要があります。これらの投資は、データに基づく意思決定を中心としたビジネス文化の醸成、継続的な変化への準備、透明性の高いコミュニケーションと議論を通じた社員の不安を軽減などに役立ちます。そうでなければ、従業員の抵抗によって導入が遅れたり、うまくいかなかったりする可能性があります。
  6. 変革をジャーニーとして捉える: ERPプラットフォーム戦略は、人、プロセス、データ、データドリブンの成果、クラウドベースのテクノロジーに焦点を当てたジャーニーの出発点です。このプラットフォームは、導入のタイミングや内容に関して柔軟性を提供すると同時に、成長、買収、ビジネスモデルの変更に俊敏に対応できるものでなければなりません。小さな取り組みから始めて、成果を収め、価値を実証することで、やがて大きな戦略的優位性が生まれます。
  7. データプラットフォームとしてのクラウドERP: 財務および非財務ソリューションを幅広くサポートする統合ソフトウェアとインフラストラクチャを備え、常に最新のバージョンを提供する、データ主導のERPプラットフォームを選択しましょう。AIが最も効果的であるためには、正確で包括的なデータが必要です。最高の基盤を提供するプラットフォームは、継続的なイノベーションのためのデータ取込機能や、デジタル・トランスフォーメーション推進のための新機能を備えています。

GenAIが切り開く財務の未来が到来

AI、そしてGenAIは、もはや未来の可能性ではありません。財務は今まさにこれらによって再構築されています。財務はより戦略的で価値のある機能へと進化しており、早急な対応が求められています。競合他社の一歩先を行くために、デジタル・トランスフォーメーションへの取り組みを今すぐ開始しましょう。