Amber Biela-Weyenberg | コンテンツ・ストラテジスト | 2024年5月20日
2,200人以上の人事担当者、学習およびスキル開発担当者、学習サービスを利用する従業員を対象に行われた2023年のLinkedInの調査によると、世界中の組織の93%が従業員の維持について心配しています。多くの組織は、ビジネスの成功に不可欠なスキル、専門知識、知識を持つ人材を見つけて維持するのに苦労しています。従業員の離職がビジネスに与える大きな影響を認識し、より多くの人事リーダーが従業員の維持戦略を検討して、会社にとどまることが魅力的に思える理由を従業員に提供しています。
従業員の維持とは、従業員を会社にとどめて望ましくない離職を減らすことです。多くの場合、その際には優秀な人材(知識とスキルがあり、生産性が高い従業員)を維持することが強調されます。また、工場の生産ライン作業員、長期ケアセンターの認定看護助手、レストランのウェイターやシェフなど、製品やサービスの提供に不可欠なポジションの人材をとどめることも重視されます。従業員の維持は、人事チームにとってこれまでも重要な分野でしたが、ポジションを補充する人材の発見がより困難になるとともに、さらに重要になっています。
世界中の4万人以上の企業を対象に行われた2023年のManpowerGroupの調査では、75%の企業が、会社に必要なスキルを持つ人材を見つけるのに苦労していることがわかりました。1つの理由は、該当する人材がタレント・プールにほんの少ししかいないことです。これは、新しいテクノロジーを使って作業するポジションの人材を採用する際に一般的な課題です。別の理由は、スキルの習得に時間とトレーニングが必要で、その需要が大きいことです(例: 看護師、溶接工、トラック運転手、会計士)。さらに別の理由は、組織が事実上、干し草の山にある針(スキルと経験のユニークな組み合わせを持つ人材)を探していることです。
さらに、困難な採用市場では、適切な候補者の発見は戦いの半分にすぎず、提示条件を受け入れてもらうことも必要です。競争力のあるインセンティブと魅力的な職場環境や文化を提供しない企業は、従業員の維持に苦労するだけでなく、そもそも人材の獲得が困難です。最後の理由は、従業員の離職に対応する時間(代わりの人材の発見とオンボーディングの後、その人材がポジションに慣れて生産性を発揮し始めるまでの時間を含む)が増えるほど、従業員がより革新的で戦略的な取り組みに費やせる時間が減ることです。
主なポイント
従業員の維持戦略とは、その名のとおり、会社にとどまるように従業員に促す方法のことです。従業員の維持は、給与、福利厚生、企業文化、マネージャー、休暇に関するポリシー、リモート・ワークの機会など、仕事に関して個人が好む(または嫌う)すべての要素に影響されます。このような分野に関するポリシーを作成する際、企業は従業員の維持にとってプラスとマイナスのどちらになるかを考える必要があります。
従業員の維持についての考え方の一つは、1959年に最初に公表されたHerzbergの2要因理論で示されたものです。心理学者であるHerzbergは、同僚と共同で行った労働力に関する調査に基づき、仕事への満足や不満に影響を与えるのは「衛生要因」と「動機付け要因」という2種類の要因である、と提案しました。衛生要因(または外部要因)には、労働条件、給与、会社のポリシーが含まれます。動機付け要因には、成長の可能性、仕事のやりがい、成果の認定など、仕事自体に関連するその他の側面が含まれます。この両方の要因における従業員エクスペリエンスが優れていることにより、意欲的で生産性の高い従業員が生み出されるのが理想です。ただし、従業員が複雑な気持ちを持つこともあります。労働条件(衛生要因)には満足しているが、評価されている(動機付け要因)と感じない従業員は、最低限のことしかしない可能性があります。またこの理論によると、仕事は好きでも給与や会社のポリシーに満足できなければ、従業員が組織を離れる可能性は高くなります。この調査は、両方の種類の要因における従業員エクスペリエンスが適切でなければ離職率が高くなると論理的に結論付けています。
Herzbergの2要因理論に対する批判はあります(たとえば、すべての人の価値観が同じとは限らないと言う人もいます)が、人事リーダーが従業員の維持について考える際はこの枠組みを利用するとよいでしょう。従業員エクスペリエンスを損なう要因を特定できれば、その側面についての不満に対する解決策を見つけるか、少なくとも不満を減らす方法を見つけることができます。さらに、人事リーダーは、仕事のやりがいという側面を強化することで、従業員の満足度と定着率を高めることができます。
従業員が離職する理由は多様であるため、ほとんどの人事担当者は従業員の退職時に退職面接を実施します。その目的は、会社による対処の必要な、定着を阻害する慢性的な問題が生じていないかを理解することです。動機の中には、報酬のように納得できるものもあります。2023年にKorn Ferryが行った調査では、4,000人の米国と英国の従業員の82%が、給与や福利厚生がもっと良い仕事があれば現在の仕事を辞めると回答しています。
もちろん、お金がすべてではありません。Boston Consulting Groupが1万1,000人以上の従業員に仕事で望んでいることを尋ねたとき、従業員はより良い給与と福利厚生をリストに含めました。しかし、質問を調整して「ある会社に残りたいと思う要因は何ですか」と尋ねたところ、最も重視されたのは感情的な要因でした。公平に扱われること、尊重されること、楽しく働けること、雇用の安定性、評価され、感謝されているという実感、サポートされていると感じられることなどが、報酬よりも高い順位を占めました。同じ調査では、従業員の4分の1以上が1年以内の退職を予定していることがわかりました。
従業員の離職に影響を与えるその他の要因には、マネージャーに問題がある、燃え尽き症候群、専門スキルの開発機会がない、自律性が低い、仕事が退屈、などがあります。しかし、ネガティブなエクスペリエンスは従業員が去る唯一の理由ではありません。やってきた素晴らしい転職機会を無駄にできない、という場合もあります。おかしな言い方かもしれませんが、これは従業員が離職する最良のシナリオです(従業員は仕事に満足しており、自分から転職しようとしたわけではありません)。ただし、自社でも同様の結果を生み出すためにもっと行えることはないか、高パフォーマンスの従業員を将来獲得するためにより積極的に新しい機会や進歩に注意を向ける必要があるかどうかを検討できます。
2022年9月に米国労働省が公開した調査結果によると、転職は現在一般的であり、在職期間の中央値は4.1年となっています。転職に対するマイナス・イメージはほとんどなく、人事担当者による従業員の効果的な管理を求める圧力が強まっているため、人事担当者は離職の原因を分析して対処し、定着率を強化する必要があります。従業員の離職はさまざまな仕方でビジネスに悪影響を及ぼすため、このプロセスは重要です。
人材管理(HCM)のさまざまな分野を改善して従業員エクスペリエンスとビジネス価値を高めるため、人事チームは多種多様な従業員の維持戦略を使用できます。特に効果的な25の戦略は次のとおりです。
給与が働きに見合っていないと考える従業員は別の仕事を探す可能性が高いため、従業員の維持を目指すには何よりもまず、競争力の高い給与を支払う必要があります。企業は、市場分析と「多様性、エクイティ、インクルージョン(DE&I)」の観点から給与を定期的に見直し、従業員が給与を公平に支払われるようにする必要があります。最近は、インフレがこの課題を深刻化させました。生活費の上昇分を受け取っていない従業員は給与が減ったように感じるため、会社に不満を抱く可能性が高くなります。
空きポジションを補充する際に適切な人材を見つけることは、従業員の維持にとって非常に重要です。これは従業員の満足度や生産性、成功率の向上につながるからです。しかし、スキル・ギャップのために、小さいタレント・プールで多くの企業が適切な候補者を求めて競争するようになりました。41か国の4万人以上の企業を対象に行われた2023年のManpowerGroupの調査によると、平均して75%の企業が空きポジションを埋めるのに苦労しています。企業は、市場を評価して給与や福利厚生などの提示条件を見直すことにより、競争力を確保し、最適な人材を惹き付けて採用する可能性を高める必要があります。また、企業としての評判を意識し、熟練した人材に自社のブランドと特定の人材募集案件の両方を知ってもらえるように行動する必要があります。
人材獲得ステージでポジティブな体験をした候補者は、ジョブ・オファーを受け入れる可能性が高くなるだけでなく、会社に良い印象を持つため、長期間とどまる可能性も高くなります。人事チームは、プロファイル作成の手間を省き、記入しやすい応募フォームを用意し、各ステップで関連情報を積極的に伝え、採用プロセスを迅速化することで、この段階を改善できます。さらに、自動化プロセスを使って求職者にパーソナライズされたメールやSMSをさまざまな段階で送信したり、オファー承認などのワークフローを自動化したりて、採用エクスペリエンスを向上させることができます。採用マネージャーは応募者に、会社でのポジション、一緒に働く同僚、企業文化を知らせることができます。
新入社員の成功にはオンボーディングが不可欠です。組織は新しい従業員の一人一人について、関係者と必要なつながりを持てるように助け、質問に答え、企業文化を知らせ、新しいポジションで成功して迅速に成果を挙げるために必要なツールを与えることで、従業員の定着率を高めることができます。一部の人事ソフトウェアは、オンボーディング・プロセスを通じて従業員をガイドし、最初の数か月間に関連情報を継続的に提供して従業員の順応を支援します。また、一部の企業では、オンボーディング期間を長くしてプレボーディングを実施することで、新規採用者が初出勤日の前に職場の文化に慣れるように支援しています。
企業は定期的に従業員に健康保険、歯科保険、視力保険を提供していますが、ほとんどの従業員はより多くのものを期待しています。組織によっては、不妊治療のサポート、高齢者ケア、授業料の払い戻し、メンタル・ヘルスのサポートなど、幅広い福利厚生を提供しています。どのタイプのサポートが最も重要かを調べるために、従業員のアンケートを検討できます。Gallupの調査によると、従業員が2023年に退職した最も一般的な理由は給与または福利厚生でした。
従業員のニーズと企業のニーズは、キャリア開発に関して一致します。ほとんどの従業員は今のポジションで生産性を維持したり新たなポジションに異動したりできるように新しいスキルを学習したいと思っており、その面で組織のサポートを望んでいます。学習機会を従業員に合わせることは、従業員を組織にとどめる大きなインセンティブであるとともに、企業が将来に備えるのに役立ちます。世界経済フォーラムが2022/2023年に803の組織(総従業員数は1,130万人以上)を対象に行った調査のレポートによると、スキル・ギャップの拡大により、10人中6人の従業員が2027年より前にトレーニングを受ける必要があります。関連性の高いトレーニングを提供するには、ビジネス・リーダーと人事チームが協力して、会社が適切なトレーニング・コンテンツを最も効果的な方法で提供していることを確認する必要があります。そのためには、従業員のスキルとキャリア希望を把握する必要があります。従業員のスキルアップを支援しない企業には、スキル不足の従業員を抱え、特にモチベーションが高い従業員(学習に積極的な従業員)を失うリスクがあります。
多くの従業員はずっと働き続けるためにスキルアップしたいと考えており、キャリアアップのために新しいスキルを学ぶ必要のある従業員もいます。組織は各自のニーズに合った学習およびスキル開発プログラムを従業員に提供できます。社内の流動性も重要です。米国の成人の5,188人を対象とした2023年のPew Research Centerの調査で、職場での昇進機会に非常に満足していると答えたのはわずか33%でした。社内で昇進する機会がない場合、より高いレベルに進むには退職する必要があると考える従業員を失う可能性が高くなります。
やる気のある従業員が新しいスキルを習得してキャリア・パスを前進し、組織とのつながりを強めるように助ける方法の1つは、メンターシップ・プログラムです。経験豊富な従業員が他の従業員を指導して組織や業界の知識を与えることは、会社のメリットになります。そうでないと、従業員の退職時に貴重なインサイトが失われる可能性があります。多くのメンターにとっても、将来のリーダーを教えることは満足感や仕事にとどまる動機付けとなります。
Boston Consulting Groupの調査によると、優れたマネージャーは従業員の離職リスクを72%低減し、定着率を3.2倍増加させます。重要なのは、チームをサポートするためのトレーニング、ツール、インサイト、インセンティブをマネージャーに与えることです。トレーニングにより、マネージャーはコミュニケーション、傾聴、共感、紛争解決、リーダーシップのスキルを向上できる可能性があります。組織は、空きポジションを補充する際はまず社内を探すよう、マネージャーに促すこともできます。また、共有できる学習教材や従業員の感情の変化を示すデータといったツールやインサイトを提供することで、チームをより効果的に導いて強力な関係を構築できるようマネージャーを支援するのも有効です。
エンゲージメントができている従業員は、欠勤率の低下、全体的なウェルビーイングの向上、考えを自由に伝えられる安心感により、定着率と生産性が向上することがによく知られています。従業員が尊重されていると感じて帰属意識を持てる環境を構築することは、エンゲージメントと定着に不可欠です。強力な従業員エンゲージメントは企業の競争力も高める可能性があります。12万人以上の従業員を対象に行われた2023年のGallupの調査によると、エンゲージメントを行う従業員は全体で平均23%でした。しかし、人事のベスト・プラクティスに従っている企業では、その割合は72%に達しました。
明確で正直なコミュニケーションは、従業員との信頼を築く上で重要な要素です。会社が特定の意思決定を行う理由を理解できない従業員は、不安になります。また、自分の貢献が組織にどのように役立つかがわからない可能性も高くなり、仕事に意味を見い出せないという問題につながります。企業は、従業員とマネージャーを同等に扱い、自社の戦略、文化、ポリシーについて率直かつ頻繁なコミュニケーションを行うことで、従業員が評価され、尊重されていると感じられるようにすることができます。また、コミュニケーションが適切で有意義であることを確認することも重要です。そうでないと、単なる雑音として従業員から無視されるようになります。
インセンティブは、従業員が最高レベルのパフォーマンスを示すことや、組織にとどまることにつながります。これには、ささやかな賞品がもらえる正式な従業員表彰プログラム、特定のノルマや目標値を達成した従業員へのボーナス、業務を適切に完了した場合の追加の有給休暇などを含めることができます。認められ、評価されていると感じる従業員は、会社にとどまる可能性が高くなります。授業料の払い戻し、利益分配、割引プログラムなど、すべての従業員に提供される特典もインセンティブに含まれます。
自分が受け入れられ、公平な待遇や他の従業員と同じ機会がある、という実感は従業員の維持に不可欠であり、「多様性、エクイティ、インクルージョン(DE&I)」イニシアチブの重要性を示しています。DE&Iへの取り組みの一環として、多くの企業は従業員全体の給与、昇進、離職などの指標を追跡して先入観を特定し、格差を是正しています。企業は、採用プロセスで従業員の多様性を構築するための措置として、さまざまな場所に求人情報を投稿して多様な背景の人材にリーチし、その結果を追跡することもできます。
多くの場合、従業員は自身のパフォーマンスを理解できていません。2023年のPew Research Centerの調査で対象となった米国の労働者の5,100人以上が、スーパーバイザーからのフィードバックの量に満足していないと答えています。従業員は、改善するためのガイダンス、励まし、業務を正しく行っているときの褒め言葉を必要としています。企業によっては、優れたパフォーマンスを認めるうえで同僚が有益なフィードバックを提供できることを認識し、年間レビューの際に同僚に関するフィードバックを送信するよう従業員に促しています。フィードバックがないと、従業員は自分の貢献は重要でないと感じるか、会社が気にしてくれないと思うため、退職する可能性が高くなります。
職場文化は、共通の信念、適切と見なされる行動、従業員の一般的な態度によって構成されます。文化は会社によって異なり、「正しい」文化はありません。定着率を改善するには、リーダーが育成する文化、受け入れる行動、与える報酬が一貫している必要があります。また、リーダーは従業員がその文化に賛同するかどうかを観察する必要があります。従業員の間で共同体意識を構築する組織では、従業員エクスペリエンスと定着率が向上します。
Korn Ferryが調査したミレニアル世代の65%は、会社に優れた「環境、社会、およびガバナンス(ESG)」ポリシーがあれば意欲や愛着が高まると語りました。これは、米国と英国で4,000人の専門家を対象にした2023年の調査で明らかになりました。従業員は通常、組織が「企業の社会的責任(CSR)」プログラムを策定し、ESGを真剣に受け止めていることを期待しています。
細かく管理されることを好む人はいません。6,000人以上を従業員を対象に行われた2023年のMonsterの調査では、労働者の73%がマイクロマネジメントはブラックな職場の1番の兆候だと回答しました。従業員に意思決定の権限を与え、納得のいく方法でタスクを自由に完了できるようにすることは、従業員の定着率を高めるうえで有効な慣行です。また、従業員が必要なときに必要な支援を得られるようにすることも重要です。多くの企業は、従業員がチャットボットやナレッジベースの記事によって質問への答えをすばやく見つけられるようにすることで、ストレスとなる障害を排除しています。
オフィスで長時間残業したり、夜遅くにオンラインで電子メールに回答したりすることは、特にそれが習慣になると従業員エクスペリエンスに悪影響を及ぼします。これは燃え尽き症候群や離職率の増加につながる可能性があります。組織は、社内文化によってこのようなライフスタイルが促進されないよう、健全なワークライフ・バランスを従業員に推奨し、柔軟な働き方を提供し、自身のケアに気を配る従業員を尊重できます。リーダーは、「頑張っている」従業員を褒めるだけにならないように気を付ける必要があります。リーダーが有給休暇の取得を当然と見なせば、従業員は充電期間をとるように促されるため、燃え尽きる可能性が低くなります。
チームワークは、共同体意識を育んで問題をより良く解決するための素晴らしい方法です。また、生産性を向上させるだけでなく、従業員の独自の視点に注目することで、評価されているという感覚を与えることができます。自分が属するチームを好む人は、会社にとどまる動機付けが強まります。同僚が世界中に分散していたり、ハイブリッドな職場で働いたりする場合があるため、従業員の効果的なチームワークにはコラボレーション/コミュニケーション・ツールを提供することが不可欠です。企業は、社内コミュニケーションの重要性を認めたり、チームの成功を強調したり、チームのコラボレーションを構築できるようにマネージャーを支援したりすることによっても、チームワークを促進できます。
従業員株主制度は、従業員が会社の成功とのつながりをさらに実感するのに役立ちます。従業員株主を生み出すには、株式付与やストック・オプション(権利行使期間が会社にとどまるインセンティブとなる)を報酬パッケージに含めたり、従業員が株式を購入する際の割引を提供したりできます。従業員株主制度は、従業員の帰属意識を高めるとともに、会社の株価が上昇すれば従業員に金銭的な利益がもたらされるため、従業員と会社のつながりを強めます。企業は、より正式な「従業員株式所有プログラム(ESOP)」(従業員が会社の全体または一部を所有する)を作成することもできます。従業員はESOPを通じて取得した株式を退職時に売却する必要があるため、会社の業績が良ければ離職率は低くなります。
変化は常に生じており、従業員をすり減らして変化疲れや燃え尽き症候群を引き起こしたり、離職率が向上したりする可能性があります。従業員に対する変化の影響を軽減するため、企業は変更管理プログラムに投資できます。また、従業員が変化をうまく乗り越えられるよう、コミュニケーションのサポート、生産性の向上、インサイトの発見などに役立つAIを内蔵したテクノロジーの使用を検討できます。さらに、変化に対処し、変化の理由を説明し、チームを鼓舞できるようにマネージャーを強化する必要があります。変化を乗り越えられるように従業員を支援すれば、定着率を向上できます。
Boston Consulting Groupは2023年に全世界で1万1,000人の労働者を調査し、従業員の維持で特に重要な要因は給与や福利厚生ではないことを発見しました。労働者の全体的なウェルビーイングに影響を与える感情的なニーズがリストの上位を占めました。従業員は、会社からの評価、感謝、支持、尊重を実感できれば、会社にとどまる可能性が高くなります。また、従業員は、公平な待遇、雇用の安定性、楽しく働けることも望んでいます。組織は、ウェルビーイングについて考える際に全体を見る必要があります。ウェルネス・プログラムやメンタル・ヘルス・サポートは不可欠ですが、他の職場要因も従業員の福祉に影響します。
従業員は、組織への貢献を見てもらいたい、認められたいと思っています。企業では、多くの場合に人事チームが正式な認定プログラムを主導して従業員のマイルストーンを記念しますが、従業員を評価できるようマネージャーを支援することもできます。一部の人事プラットフォームには、マネージャーが直属の部下の働きを認識してより良い関係を構築するのに役立つツールがあります。マネージャーに通知を自動的に送信し、従業員の勤続年数を知らせて感謝をリマインドしたり、しばらく会話していない部下と話すことをリマインドしたりできます。マネージャーがそれぞれの部下と定期的に話さなければ、示すべき感謝がなされずに時間が過ぎてしまいます。さらに、組織は個人やチームの重要な成果を全社に知らせることで、働きが認められて感謝される文化を育むことができます。
仕事ではストレスを感じるのが普通です。低いレベルのストレスは従業員のモチベーションを高めるものとなりますが、世界保健機関(WHO)によると、慢性的な職場のストレスが正しく管理されていないと燃え尽き症候群につながります。燃え尽きた従業員は、疲弊して仕事に対するネガティブな気持ちを持っており、退社することがよくあります。組織はすべてのレベルのリーダーをトレーニングすることにより、燃え尽き症候群の早期兆候を発見し、手遅れになる前に従業員を支援する必要があります。セルフケアが促進され、従業員のエネルギーが枯渇する前に短期または長期の休暇を取ることが推奨される企業文化を創造することは大切です。
企業が低パフォーマンスや企業文化の違反を容認すると、高パフォーマンスの従業員がフラストレーションに陥る可能性は高くなります。組織にとって重要なことは、従業員をサポートし、期待に応えていない従業員を改善するための計画を立て、従業員の進歩を支援するためのツールをマネージャーに提供することです。余分な注意とサポートが報われて従業員がより良い方向に向かうこともありますが、そうでないこともあります。その場合、組織は従業員を去らせるタイミングを慎重に検討する必要があります。
従業員の定着率は簡単に計算できます。まず、評価の対象となる期間を決定します。その期間の最終日の従業員数から新規採用者を差し引いた数を、最初の日の従業員数で除算します。その数に100を掛ければ、従業員の定着率が得られます。
従業員の定着率=(対象期間中にずっと存在していた従業員の数/対象期間の開始時の従業員数)x 100
たとえば、今年の初めから今日までの定着率を測定する場合は、今日の従業員数から今年の新規採用者数を差し引いた後、1月1日の従業員数で除算します。その結果に100を乗算すれば、定着率がわかります。
Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)の一部であるOracle MEは、優れた従業員エクスペリエンスを提供して従業員の成長と成功を促進できるように組織を支援する包括的な従業員エクスペリエンス・プラットフォームです。Oracle MEには業務のさまざまな側面を強化する機能とツールが備わっています。たとえば、セルフサービス・ナレッジベースであるOracle HR Help Deskと会話型AIチャットボットであるOracle Digital Assistantを使えば、従業員は答えをすばやく見つけ、必要に応じてサポートを受けることができます。また、Oracle Journeysは、従業員が人事関連のタスクを行うのに役立つ状況に応じたガイダンスを提供し、Oracle Growは、学習、スキル開発、社内異動の機会を統合したオーダーメイドの学習エクスペリエンスを提供します。マネージャーは、Oracle Touchpointsを活用できます。パーソナライズされたチーム・インサイトにより従業員のセンチメントを追跡し、直属の部下との継続的なエンゲージメントを促進できます。所属意識と共同体意識をさらに促進できるよう、Oracle MEには、インタラクティブな従業員ディレクトリであるOracle Connectionsと、従業員が互いの取り組みを評価できるOracle Celebrateも含まれています。人事チームはOracle HCM Communicateにより、従業員と直接コミュニケーションをとり、コミュニケーションの影響を測定できます。
従業員の維持と離職の違いを教えてください。
従業員の維持とは組織が従業員を社内にとどめることであり、従業員の離職とは従業員が自発的に退職することです。
従業員の維持に関するKPIを教えてください。
従業員の維持に関する最も一般的なKPIは、従業員の定着率です。計算するには、特定の期間の終了時の従業員数からその期間中の新規採用者数を差し引き、その結果を期間の開始時の従業員数で除算した後で100を乗算します。企業は、会社都合の離職率や従業員の満足度スコアといった他の指標も検討できます。
従業員が離職する理由を教えてください。
従業員は、低賃金、燃え尽き症候群、マネージャーが良くない、キャリア開発の機会がない、尊重と適切な評価を受けている気がしない、といったさまざまな理由で退職します。人事チームは、退職面接を行って従業員の退職理由を追跡することで、対処の必要な広範囲にわたる問題が存在するかどうかを確認する必要があります。
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