採用ソフトウェアとは

採用ソフトウェアとは

採用ソフトウェアは、ハイアリング・マネージャーや人事担当者が従業員のライフサイクルを募集から採用まで管理できるコンピュータ化されたシステムを提供するもので、優れた求職者を特定して新しい従業員をオンボーディングするのに役立ちます。

採用ソフトウェアは、応募者追跡システム(ATS)と呼ばれることが多いですが、テクノロジーは進化しており、この分類はもはや適切ではありません。重要なのは、ATSが、より包括的な採用ソフトウェアの一部にすぎないということです。

採用ソフトウェアのメリット

採用ソフトウェアは、企業が採用プロセスを標準化および効率化するための優れた方法です。人事組織は、時間と費用を節約しながら、欠員の補充に最適な求職者を採用できます。

採用ソフトウェアは、非常に現実的で費用のかかる課題に対するソリューションを提供します。そのコンセプトとは、以下の通りです。

生産性と効率
採用ソフトウェアを利用することで、採用プロセスが効率化し、ハイアリング・マネージャーと人事部門のユーザーは、より迅速に業務を遂行できるようになります。求職者に関する処理、調査、整理、および履歴書の解析は簡単に行えます。人工知能(AI)がソリューションに組み込まれている場合は、さらに簡単になります。

信頼できる唯一の情報源
採用前も採用後も、候補者と接する際にはコンプライアンスが重要です。一部の業界では、コンプライアンスは単に必要であるだけでなく、モニターされています。採用ソフトウェアは、一元化されたレコードを作成し、信頼できる唯一の情報源を実現します。面接プロセスで、同僚や関係者は、情報やフィードバックが不完全であったり誤っていたりする可能性を心配することなく、求職者に関してシームレスにコラボレーションできます。

求職者エクスペリエンス
求職者エクスペリエンスに問題がある場合、求職者の63%が採用を辞退する可能性が高いことを考えると、求職者にブランドに関するポジティブなエクスペリエンスを常に提供することが重要です。ソフトウェアによる採用では、手動による求人のホスティング、求人サイトやメディア・サイトへの求人の投稿、共通データ要素からの求人の作成、紹介の要請、求職者とのコミュニケーション、ターゲット・キャンペーンの作成などの労力を排除できます。

オンボーディング
オンボーディング・プロセスがシンプルになり、従業員は短期間で活躍できるようになります。人事に関するさまざまな部分で従来はサイロ化されていた情報を活用し、報酬データを使用して、新規採用者に対してよりよい条件を提示する正当性を証明します。

採用ソフトウェアと応募者追跡システム(ATS)の違い

元々、ATSは紙ベースの履歴書をスキャンしたデータのリポジトリでした。テクノロジーが進化するにつれて、ATSは、求職者の情報を1か所に保持し、求職者のステータス(オンボーディング・プロセスや採用ワークフローのどの段階にいるのかなど)を追跡するために設計されたデータベースになりました。

簡単に言うと、ATSには、求職者の分類と管理、求人情報の掲載、履歴書の解析、求職者の評価や予備選考など、採用プロセスを迅速化するソフトウェアが含まれています。これらは重要な機能ですが、従業員エクスペリエンスの側面に限定されています。逆の言い方をすれば、求職者管理を重視しています。また、ほぼすべての採用ソフトウェアに、ATSが含まれていることにも注意することが重要です。ただし、採用ソフトウェアには通常、その機能を向上させる他の多くの機能が含まれています。

採用ソフトウェア・ソリューションは、採用に関するすべての分野に対応することに重点を置いています。メール・マーケティング、Webサイト設計ツール、モバイル機能などの機能が含まれています。これらは、単純な求職者管理や面接プロセス以外で使用する機能の例です。採用ソフトウェアの最終的な目標は、実用的で望ましいタレント・プールを構築しながら、求職者にポジティブかつ魅力的なインタラクションを提供することです。

採用ソフトウェアを使用するのが適したユーザー

採用を成功に導く非常に便利な採用ソフトウェアは、あらゆる規模の組織で活用されています。Jobscan社によると、フォーチュン500企業の98%以上が採用ソフトウェアを使用しています。ただし、採用ソフトウェアは、大企業、大規模な組織、または特定部門だけのためのソフトウェアではありません。人事(HR)部門のだれもが知っているように、質の高い応募者を見つけて採用し、オンボーディングするのは時間がかかる困難な仕事です。

採用ソフトウェアは、タスク管理、ソーシャル採用、パブリック・リレーションズ、CRM、請求、オンボーディングなど、従業員を大規模に雇用するためのツールをユーザーに提供します。そのため、さまざまな規模、業界、部門の企業が、ATSだけではなく採用ソフトウェアを使用しています。実際、Capterraの調査によると、リクルーターおよび採用担当者の94%が、採用ソフトウェアの使用が採用プロセスにプラスの影響を与えていると回答しています。

大企業において、採用ソフトウェアを使用しメリットを得ている役割には、CHRO、人事担当VP、人材獲得担当VP、ハイアリング・マネージャーなどがあります。小規模な企業では、事業主自身が採用ソフトウェアを使用しています。小売や医療といった採用要件が非常に厳しい業界では、リクルーターやハイアリング・マネージャーが採用ソフトウェアを使用します。

採用ソフトウェアで解決できる課題

採用の世界は進化を続けており、特に過去2年間における、かつてないほどの混乱とリモート・ワークの急増によって大きな変化が起きています。変わっていないのは、優秀な人材の必要性です。2021年のManpowerGroup社の調査によると、米国の人材不足は歴史的なレベルに達していて、69%の企業が欠員の補充に苦労しており、これは過去10年以上で最も高い割合です。

人材は組織の成功にとって最も重要な資産であり、企業はそれに気付いていますが、成功に必要な求職者タイプを引き付けるのに困難を感じています。また、優秀な従業員は競合他社を含む他の組織にとっても魅力的なため、企業はこのような従業員の定着化にも苦労しています。

一部の組織では、適切な求職者エンゲージメントの確保に苦労しています。これは、継続的なコミュニケーションを維持する必要があるためです。かつては、このようなことが問題になることはありませんでした。企業は、応募者を引き付けるために懸命に取り組む必要がありませんでした。現在、主導権を握っているのは求職者です。LinkedIn社によると、求職者の75%が求人に応募する前に企業の評判を調査しています(PDF)。求職者は、Glassdoorのような、さまざまな企業での仕事の体験(良いことと悪いことの両方)が語られているサイトを使用して、その情報が他者の経験に基づくものであるとはいえ、その組織で働くことが自分にとって望ましいかどうかを迅速に判断できます。

組織は、自組織を魅力的な選択肢にしなければならないという大きなプレッシャーを受けています。優秀な人材を引き付けるには、オンラインでの組織のイメージ、応募プロセスの質、連絡方法の設定(一部の求職者はメールではなくテキスト・メッセージを好む)など、これらすべての要素が重要になります。これは特に、魅力的でモバイルフレンドリーなエクスペリエンスを期待する若い世代に当てはまります。実際、最新の米国国勢調査局のデータによると、米国の労働力人口の3分の1以上(35%)がミレニアル世代です。

組織は多くの場合、採用ソフトウェアを使用せずに従業員のライフサイクルを管理しようとします。その結果、採用ソフトウェアであれば自動化できる手作業中心のタスクに膨大な時間を費やすことになります。スタッフは、職務内容説明を作成して求職サイトや求人サイト、企業のソーシャル・プラットフォーム(LinkedInなど)に手動で投稿したり、応募者と手動でやりとりをおこなったり(個別にメールでなど)、面接のスケジュールを1つずつ設定したり、予備選考の質問票の準備と実施を行ったりする必要があります。

求職者の情報をシステムに取り込んだら、スタッフは、手作業で人員をワークフローに割り当て、分析機能を一切使用せずにKPIを追跡する必要があります。この方法では、得られるデータの信頼性が低く、非常に時間がかかります。求職者を採用した後、オンボーディングを実施する必要があります。すべての人事担当者が断言しているように、これは慎重に幅広くドキュメントを準備する必要がある重要なステップです。

最適な採用ソフトウェア: リクルーターと求職者にとってのメリット

適切な採用ソフトウェアは、特に次のことが可能な場合、組織全体に非常に大きな効果が現れる可能性があります。

集中管理
このソフトウェアは、採用プロセスのあらゆる側面を管理するのに役立ちます。求人サイトやソーシャルメディアへの新しい職位の投稿から、ハイアリング・マネージャーのための履歴書のフィルタリングまで幅広くカバーします。1つの集中管理された場所で応募者データを収集するワンストップ・ショップを提供するため、時間の節約につながります。

カスタマイズ
採用ソフトウェアは、企業の特定のニーズに合わせてカスタマイズできます。必要に応じて機能を変更または追加しても、追加コストは発生しません。この種のテクノロジーを使用すると、統合を通じて他のソリューションを採用ソフトウェアに接続できます。その結果、候補者の予備選考面接からオファーの受諾まで、すべてが1つのシステム内で完結します。

適格性の検索
また、採用ソフトウェアを使用すると、履歴書内のキーワード検索を使用して、適格な人材が見つかる可能性が高くなります。これは、大規模な求職者プールを評価する際に、すべての応募内容に十分に目を通す時間がない場合に特に役立ちます。

一貫したプロセス
採用ソフトウェアでは、採用を決定する際に、非常に一貫したプロセスを利用できます。チーム・メンバーは適切なアクセス権を使用して、いつでもログオンでき、すべてのメンバーが一連の採用基準に簡単に準拠できます。

自動化
これらのプログラムを使用することで、ペーパーレス応募者追跡システムから、求人情報投稿の自動化、求職者とのコミュニケーション(メールとテキスト・メッセージ)、AIベースの評価、予備選考、内定通知の作成まで、すべてを簡素化できます。これらのタスクを自動化すると、プロセスが迅速化するだけでなく、エラーが発生する可能性を減らすことができます。

採用ソフトウェアを選択する際の主な考慮事項

現在、市場には膨大な数のソフトウェアがあります。そのため、どのシステムが有効かを検討する前に、自社のニーズを明確に把握しておくことが役に立ちます。

採用ツールを選択する際に組織にとって最も重要な考慮事項は、ツールが組織のニーズおよび採用戦略に適合するかを確認することです。たとえば、組織が採用活動においてダイバーシティとインクルージョン(D&I)に焦点を当てている場合は、ソフトウェア・ソリューションが偏見のない採用判断をサポートするツールを提供するかどうかを調査することをお勧めします。

採用ソフトウェア・ソリューションを評価する際に考慮する必要があるその他の機能には、次のようなものがあります。

従業員のタイプ
現在の組織は、フルタイム従業員、パートタイム従業員、臨時従業員、独立契約社員などのさまざまな従業員で構成されています。特定のタイプの採用ソフトウェアは、柔軟な機能を備えており、企業が特定の採用タイプに合わせて求職者選考プロセスを調整できます。

新規従業員の追加
採用ソフトウェアの主な機能は、新しく採用した求職者を従業員へと変えることです。一部のソリューションは、これにとどまらず、企業が既存の人材を新しい役割に再割り当てするのを支援します。多くの場合、これを実現するには、既存の従業員エクスペリエンス、従業員の希望、および従業員のスキルセットを可視化する必要があります。

再教育とスキルアップの機会
組織は従業員を定着させることで、コストを削減できます。LinkedIn社によると、昨年、社内の従業員流動率が20%上昇しています。一部の採用ソフトウェアは、社内での異動を希望している従業員を明確にして、適切な異動先と考えられる新しい役割を提示する機能を備えています。

現在の動向
上記のD&Iの例のように、一部の採用ソリューションは、他の採用ソリューションよりも迅速に注目されている最新のニーズに対応します。プロセスの効率化は大きな考慮事項です。効率化により、求職者はアカウントを作成せずに応募できるようになります。ビジネス・ユーザーは、テンプレートを使用して、より最新のWebプレゼンスを簡単に構築できます。組み込みツールを使用すると、求職者のうち非常に特殊な関心を持っているグループをターゲティングして、現在の職位を埋めるだけでなく、人材パイプラインを構築できます。これらはすべて、求職者エクスペリエンスに関係します。

パーソナライズ
採用ソフトウェアを使用している組織内のすべての従業員が、同じ機能にアクセスする必要はありません。一部のソリューションは、ユーザーの具体的な役割に応じて、その役割に関連のある最も一般的なアクションとTo- Doだけを表示する機能を備えています。

パートナー・システム
採用プロセスにはさまざまなステップが必要ですが、その多くは採用ソフトウェアのみでは実現できません。薬物検査、経歴確認、およびビデオ面接には通常、サードパーティ組織のツールが必要です。採用ソフトウェアが追加ツールと簡単に統合できることが重要です。

ビジネス全体とのつながり
ビジネス全体をつなぐ採用ソフトウェア・ソリューションでは、組織データ全体にアクセスして、より優れた結論を下すことができます。従業員のライフサイクル全体に1か所で対応できるため、一貫したエクスペリエンスを提供でき、それを実現するために統合を実施する必要がありません。

機械学習と人工知能
機械学習と人工知能は、求職者の評価、ワークフローの自動化、結果の予測(採用スピード、内定の受諾など)、求職者エクスペリエンスの向上(デジタル・アシスタント、求職者への求人のレコメンデーション、パーソナライズ、予備選考など)など、採用プロセスのガイドとして役に立ちます。これにより、リクルーターの時間が節約され、採用の意思決定が改善され、求職者は好印象を受けます。