Oracle MySQL HeatWave、ベクトル・ストアと生成AIのサポートを追加

Oracle CloudWorld 2023で発表されたOracle MySQL HeatWaveの機能強化には、ベクトル・ストア、LLM向け生成AI、AWSでのネイティブなレイクハウス・アクセスが含まれます。

Mike Chen | 2023年9月28日


Oracle MySQL HeatWaveは、1つのMySQLデータベースでトランザクション、データウェアハウスおよびデータレイク全体にわたるリアルタイム分析、機械学習を実現できる唯一のクラウド・データベース・サービスとして認められています。これらはすべて、ETLの重複による複雑さやリスク、コストを伴うことなく実現されます。フォーブス誌の記事でオラクルの「キラー・アプリ」になる可能性があると評されたMySQL HeatWaveは、新しいベクトル・ストア、生成AIサービス、Amazon Web Services(AWS)でのMySQL HeatWave Lakehouseの利用など、さらなる飛躍を遂げています。

Oracle CloudWorldにおけるMySQL HeatWave の発表の目玉は、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングをビジネスが独自に持つデータで補強する機能に加えて、生成AIのサポートでした。「今回のMySQL HeatWaveの機能強化は、顧客データ、分析、AIに関する差し迫った課題に対処するオラクルの新しい重要なステップです」と、オラクルのチーフ・コーポレート・アーキテクトであるEdward Screvenは述べています。「ベクトル・ストアと生成AIがLLMの力を顧客に提供することで、顧客は直感的な方法で企業内のデータを操作し、ビジネスに必要な回答を正確に得ることができます。」

ベクトル・ストアと生成AIがLLMの力を顧客に提供することで、顧客は直感的な方法で企業内のデータを操作し、ビジネスに必要な回答を正確に得ることができます。」

Edward Screven オラクル、チーフ・コーポレート・アーキテクト

ベクトル・ストアは、データレイクハウスからエンタープライズ・データを取り込み、LLMクエリの追加コンテキストとして使用するためにエンコーダを介して生成された埋め込みとして保存します。LLMへのユーザー・プロンプトにはベクトル・ストアに対する類似性検索が行われます。その結果は、元のプロンプトと類似性検索を組み合わせた入力クエリとして使用され、LLMはエンタープライズ・データから導き出された、よりコンテキストに基づく適切な回答を提供できるようになります。

「ベクトル・ストアの出力はLLMの入力に過ぎません」と、オラクルのMySQL HeatWave開発担当シニア・バイスプレジデントであるNipun Agarwalは語ります。「LLMはこの専有データでトレーニングされるわけではないので、情報漏えいのリスクはありません。」

現在はプライベート・プレビュー段階ですが、ベクトル・ストアと生成AIの組み合わせは、組織が独自のデータをクエリや検索に活用することを支援し、最終的には自然言語によるクエリに対してより正確な回答を導く強力なツールとなります。

2023年7月にOracle Cloud Infrastructure (OCI)で提供開始されたMySQL HeatWave Lakehouseは、オブジェクト・ストアのデータをMySQLにインポートすることなく、さまざまな形式にわたり分析を高速化し、MySQL以外のワークロードでもHeatWaveにアクセスできるようにします。MySQL HeatWave LakehouseはAWSプラットフォーム上でネイティブに動作するため、AWSのお客様はこれらの機能を利用することができます。

「HeatWave Lakehouseを含め、AWSでMySQL HeatWaveを実行するために、AWSインフラストラクチャを使用しています」Screvenは語ります。「つまり、AWSでHeatWave Lakehouseを使用する場合、データのイグレス料金は発生しません。S3バケットに保存されているファイルを分析できます。」

CSV、Apache Parquet、Avro、その他の形式の数百テラバイトのデータ(他のデータベースからのエクスポートを含む)をネイティブにクエリできます。MySQL HeatWaveは、Oracle Database Service for Microsoft Azureの一部として、Microsoft Azureユーザーも利用可能です。

「MySQL HeatWaveは現在、オブジェクト・ストアのファイルに保存されたデータを直接クエリできます。つまり、MySQLに取り込む必要はありません」Screvenは述べます。「これはまた、MySQL HeatWave LakehouseがIoTデバイス、ログファイル、他のデータベースへのエクスポートなど、あらゆるデータに利用できるサービスになることを意味します。」

MySQL Autopilot Indexingも、ScrevenがCloudWorldで発表した新機能です。現在、限定提供中のAutopilot Indexingは、機械学習を使用してインデックスの作成と削除に関する推奨を行うことで、インデックス作成を高速化および改善します。また、Autopilot Indexingは、チューニングの決定を支援する推奨事項とともに、パフォーマンスへの影響評価も生成します。その他、最近発表されたMySQL HeatWaveの機能は以下のとおりです。

  • 顧客によるオブジェクト・ストレージ内のデータへの機械学習のトレーニング、推論、説明を簡単かつセキュアに適用できるようにする、HeatWave AutoMLのMySQL HeatWave Lakehouseに対するサポート
  • パーソナライズされた推奨事項を生成するHeatWave AutoML推奨システムの機能強化
  • ストアドプロシージャと関数をMySQL HeatWave内で記述および実行するJavaScriptのサポート
  • JSONドキュメントのリアルタイム分析
  • 自動圧縮や適応型クエリ実行など、MySQL Autopilotの追加機能

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