デンソーテクノは、オラクルのOracle Cloud Infrastructure for HPCを活用し、複雑な流体騒音解析の分析とシミュレーション時間を大幅に短縮。
デンソーテクノは、世界最大級の自動車部品メーカーであるデンソーグループの中で、主に顧客の量産開発・設計工程において、仕様検討から量産対応までのプロセスを担当しています。また、技術分野は、ソフトウェア設計・電子回路設計・機器設計と幅広くカバーしています。
電気自動車の市場が世界中で急速に拡大を遂げる中で、騒音の最小化に対する需要が自動車業界の重要な焦点の1つになっています。 現在多くの車両の駆動システムの音がほとんどないために、デンソーテクノでは、騒音の発生を抑制する効率的な設計とともに重要な技術である流体騒音解析による内部キャビンコンポーネントに着目をしています。
デンソーテクノでは市場からの需要を満たすために、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を使用してこれらの計算を実行してきました。 これまで同社のHPCシステムはオンプレミス環境で運用されていましたが、 このシステムでは昨今の需要に応えるためには、多くの課題が生じている状況となっていました。最大の課題としてはテストの実行に長時間の時間がかかる事で、 複雑な計算を行う場合には15日以上の日数がかかる事案もあり、頻繁に分析を行うことが非常に困難な状況となっていました。
ネットワーク技術をはじめとして、さまざまな技術的なサポートをオラクルから頂けたことで、非常に短期間でクラウド環境を整えることができました。 今後も最新の技術を提供して頂き、これまでと変わらないオラクルからの力強い支援にも期待しています。
複数のクラウドサービスのベンチマークを行った上で、デンソーテクノはOracle Cloud Infrastructure上でHPCを運用する速度が最も目標の計算時間を容易にクリアできることを確認し、設計ワークフローにOCIを実装することを決めました。
デンソーテクノが最初に気づいた事は、従来のオンプレミス環境と比較して、Oracle Cloud Infrastructureの価格性能であれば、すぐに費用対効果が向上することでした。 これは、流体騒音解析を実行している現行のライセンスシステムでは速度が遅く、計算時間が長くなることで、コストがはるかに高くなるためです。
OCI上のHPCに移行することで、計算処理速度が以前のソリューションの5倍速く実行されるようになり、計算時間が15日から3日に短縮され、またコスト面でも約50%削減がされました。
デンソーテクノはOracle CloudのHPCソリューションを使いこなすことで、流体騒音解析の基礎技術を確立し、設計におけるシミュレーション活用のレベルを一層向上させる予定です。「シミュレーションの精度や信頼度を高めていき、それが設計者の納得するレベルに達すれば、“こういう解析結果が出たから、こういう設計にした方がいい”と私たちから設計者に自信を持って提案できるようになるでしょう。シミュレーションに基づくものづくりが進化すれば、おのずとリードタイムも短縮できるはずです。」と甲村氏。