サプライチェーンのサステナビリティを向上させる16の方法

Amber Biela-Weyenberg|コンテンツ・ストラテジスト| 2023年8月15日

サプライチェーンのサステナビリティは、企業の環境、社会、およびガバナンス(ESG)の取り組みに基本的なレベルで影響を及ぼします。サプライチェーンは、ESGのほぼすべての側面、すなわちリサイクル、化石燃料消費の削減、廃棄物の削減を含む環境サステナビリティ、男女の賃金格差の是正、公平な雇用、報酬、昇進の取り組み、生活賃金の支払い、職場の安全性向上などを含む社会的進歩、およびこれらすべての慣行をカバーする規制の遵守を含むガバナンスに関係しています。

McKinseyのレポートによると、平均的な企業のESG影響(ESGフットプリント)の大部分はサプライヤーから受け継がれています。米国環境保護庁によると、2022年現在、平均的な企業が排出する温室効果ガス(地球の大気中に熱を閉じ込める二酸化炭素(CO2)などのガス)の90%以上がサプライチェーンから排出されています。人権侵害、森林伐採、公害、その他のサステナビリティに関する懸念は、企業が材料や製品を製造または入手し、サプライチェーンを通じて輸送するために使用するリソースとも関連しています。

企業は、材料や商品の原産地をより適切にトレースし、サプライチェーンの実行効率を向上させ、自社のポリシー、テクノロジーの活用、サプライヤーとの関係を改善することで、サプライチェーンのサステナビリティを向上させることができます。

主なポイント

  • サプライチェーンのサステナビリティとは、企業のサプライチェーン運用が地球や社会に与える影響を指します。
  • サプライチェーンのサステナビリティを向上させる方法としては、商品の生産および輸送における有害ガスの排出を削減し、サプライヤーやパートナーにも同様の取り組みを徹底させることが挙げられます。
  • 企業は主にサプライヤーとパートナーを監査することによりサプライチェーンのサステナビリティを管理しているため、サプライチェーン・マネージャーは各ベンダーとのビジネスが地球や社会に与える可能性のある影響を理解する必要があります。
  • 企業が、目標を設定し、指標を追跡し、データと分析を使用してプロセスの調整を知らせると、サプライチェーンのサステナビリティを改善できる可能性が高まります。

サプライチェーンのサステナビリティを向上させる16の方法

サプライチェーンのサステナビリティとは、企業のサプライチェーン運用が地球や社会に与える影響を指します。サプライチェーンのプロフェッショナルは、環境への害を最小限に抑え、社会的平等をサポートすることで、企業がよりサステナブルになるよう支援するうえで重要な役割を担っています。さらにサステナブルなサプライチェーンを構築する取り組みは、多くの場合、企業のESG目標を達成するためのより広範な取り組みの一部です。

サプライチェーンのサステナビリティがもたらすメリットには、コスト削減、供給の継続性向上、企業の評判向上などがあります。2022年にEYが525人のサプライチェーンのエグゼクティブを対象に実施した調査では、サプライチェーンのサステナビリティを向上させる理由の上位に、潜在的な収益拡大、およびパートナー、顧客、従業員からのプレッシャーが挙げられています。

サプライチェーンのプロフェッショナルは、業務に影響を与える意思決定を行う際、ビジネス上の優先順位のバランスを取る必要があります。たとえば、メーカーのサプライチェーン・チームが、サステナブルな素材を使用することで環境への悪影響を最小限に抑えるという企業のESG目標を達成するために、従来のコットンの調達を取り止め、栽培に必要な水の量が少ないオーガニック・コットンへの切り替えを決定するといったことがあります。

次に、サプライチェーンのサステナビリティを向上させる16の方法をご紹介します。

1. 輸送とロジスティクスによる排出の削減

国際エネルギー機関(IEA)によると、世界的に見て、運送業は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料に最も依存しているセクターで、これらの燃料は補充が不可能で、使用時に温室効果ガスを排出します。また、米国環境保護庁によれば、米国では輸送が温室効果ガス排出の主な原因となっています。そのため、輸送における排出量を削減することは、サプライチェーンのサステナビリティを向上させるための主要な方法です。

ビジネスは、材料、部品、製品をより効率的に発注することでこれを実現することができます。たとえば、ベンダーに複数の小口注文をするのではなく、1つの大口注文をすることで、路上の自動車、上空の飛行機、海上の船舶の台数削減を支援し、その結果、温室効果ガスの排出量を低減します。

社内で配送を管理する製品ベースの企業も、製品を倉庫や店舗、顧客により効率的に出荷することで、排出量を削減することができます。たとえば、Unileverは、輸送管理ソフトウェアの支援により、より多くの積載貨物を日常的に1台の車両にまとめることで、CO2排出量を削減しています。ビジネスではまた、配送ルートの短縮、電気自動車の使用、植物油、動物性油脂、リサイクル食用油脂から作られたバイオ燃料などの代替燃料を配送トラック、貨物船、飛行機の動力として使用する方法も考えられます。

配送をアウトソーシングしている企業は、環境に優しい輸送を優先しているベンダーをパートナーにすることができます。また、フル・トラック・ロード(FTL)輸送の代わりにレス・ザン・トラックロード(LTL)輸送を検討することもできます。トラック1台分を確保するFTLとは異なり、企業はトラックを満杯にする予定の有無にかかわらず、複数の顧客からの貨物を組み合わせてトラックのスペースを最大化し、配送ルートを最適化することで、特定のクライアントによる排出量を削減します。

2. リサイクル材料と再生可能な材料の使用拡大

リサイクルは、材料や製品を効果的に共有、修理、再利用、リサイクルする循環経済の基本です。循環経済は、有限な天然資源を保護するだけでなく、分解時に温室効果ガスを排出する埋立地の廃棄物を削減します。しかし、循環経済を推進する団体Circle Economyの2023年のレポートによると、世界経済に占める循環経済の割合はわずか7%程度です。

よりサステナブルなサプライチェーンの構築を目指す企業は、繊維やプラスチックなどの素材を再利用した製品を設計または調達することで、循環型経済に貢献することができます。メーカーは、金属くずを廃棄せずに溶解して新たに使用可能な部品を作る場合があります。小売業者はリサイクルされた生地から作られた衣類を調達することがあります。また、自社製品の設計を行う企業は、天然に存在する金属や化石燃料などの再生可能ではないリソースの代わりに、竹やコルクなどの再生可能なリソースを使用することができます。

3. サプライヤー関係管理(SRM)の改善

サステナビリティの向上を目指す企業は、サプライヤーとの関係を改善し、明白でないサステナビリティ上の責任を伴う可能性のあるコンプライアンスを慎重に検討する必要があります。たとえば、メーカーはサプライヤーから化石燃料や労働力の搾取により作られた繊維製品を購入する可能性があります。この場合、メーカーはサプライヤーとエンゲージメントの高い関係を築くことで、たとえ自社のチームがそのような業務慣行が使われていることを知らなかったとしても、それを奨励することになります。

サプライヤーを監査する際に適切な質問をするだけでなく、ベンダーの施設に立ち入り検査を行うことで、企業はサプライチェーンの透明性を高めることができます。また、ソフトウェアを使用して材料と商品の原産地を追跡し、その製造と輸送に使用されるプロセスをより詳細にモニターすることもできます。たとえば、チームがサプライ・チェーン・マネジメント・ソフトウェアを使用することで、シリアル番号レベルで製品の原産地を簡単にトレースでき、その製品の材料のサプライヤーを特定し、そのサプライヤーのサステナビリティへの取り組みを検証することができます。最後に、企業はコンサルタント会社に依頼して、サプライチェーン全体の透明性を向上させる機会を探すこともできます。

4. 透明性の向上

サプライチェーンのエンドツーエンドでの可視化、つまりサプライヤーから消費者までの原材料や商品のすべての動きに関するインサイトは、サプライチェーンのエグゼクティブにとって最優先事項ですが、2022年のEYの調査によると、これらのエグゼクティブの60%以上は、前年比での可視化の強化を認識していません。

サプライヤーを監査する際に適切な質問をするだけでなく、ベンダーの施設に立ち入り検査を行うことで、企業はサプライチェーンの透明性を高めることができます。また、ソフトウェアを使用して材料と商品の原産地を追跡し、その製造と輸送に使用されるプロセスをより詳細にモニターすることもできます。たとえば、チームがサプライ・チェーン・マネジメント・ソフトウェアを使用することで、シリアル番号レベルで製品の原産地を簡単にトレースでき、その製品の材料のサプライヤーを特定し、そのサプライヤーのサステナビリティへの取り組みを検証することができます。最後に、企業はコンサルタント会社に依頼して、サプライチェーン全体の透明性を向上させる機会を探すこともできます。

5. サステナブルな調達方針の導入

サステナブルな調達方針は、企業が材料および商品を調達する際に、サステナブルな選択をすることを支援します。調達方針の一部となり得る取り組みには、プラスチックの使用回避、リサイクル材料の使用、地元産の資源の選択、製造に携わる従業員の公正な待遇の確保などがあります。企業は、児童労働や搾取工場といった搾取的な慣行を避けるベンダーのみとビジネスを行うことにすることも可能です。

このような調達方針を遵守するため、多くの企業はベンダーを評価する際の標準的な質問リストにサステナブルなトピックを含めています。たとえば、繊維製品の原料になる作物に農薬が散布されているか、あるいは製品の生産時に直接的、間接的に関わらず排出される温室効果ガスの総量を意味するカーボン・フットプリントについて質問をすることがあります。.サプライヤーごとに数値によるサステナビリティ・スコアを提供し、そのサプライヤーからの商品調達が地球や社会に及ぼす影響をモデル化するベンダー管理システムなどのソフトウェアを使用して、回答を追跡することができます。これはベストプラクティスであるものの、2021年のMcKinseyの調査によると、欧州の大企業の最高調達責任者のうち、サステナビリティ指標を調達の意思決定における主要な基準として使用していると回答した最高調達責任者はわずか20%にとどまりました。

6. 再生可能エネルギーへの投資

エネルギー使用は、全世界の温室効果ガス排出の最も大きな原因となっています。国連によると、エネルギーの約80%は有害ガスを排出し、再生可能ではない化石燃料からもたらされています。対照的に、風力や太陽エネルギーの使用は温室効果ガスを発生させず、大気環境に影響を与える数種類の汚染を防ぐことができます。企業は、再生可能エネルギーを使用するベンダーとの関係を優先し、ソーラーパネルや風力タービンからのエネルギーで自社施設に電力を供給し、電気自動車や代替燃料を使用するトラック、船舶、飛行機で完成品を輸送することにより、サプライチェーンをよりサステナブルなものにすることができます。

太陽光などの再生可能エネルギーは、ガスなどの非再生可能エネルギーよりもコストが低い場合が多いのですが、その利用には前払費用がかかることがよくあります。たとえば、ソーラーパネル・ベンダーのSolar.comによると、商業ビルにソーラーパネルを設置してコストを回収するまでには、最長で10年かかる場合があります。

7. コラボレーションの拡大

企業はコラボレーションにより、サプライチェーンにおけるサステナビリティを向上させることができます。たとえば、あるメーカーのグループは、そのディストリビューターが満たす必要のある人権基準を導入することができます。この取り決めは、人体への被害を防ぐだけでなくメーカーの規制リスクを軽減し、サステナビリティへの取り組みを示す企業からの購入を望む消費者との信頼関係を築くことができます。さらに、より多くのディストリビューターがサステナビリティに配慮した方法で運営するように推進することも可能です。

同じサプライチェーン・ステージでのビジネスとのコラボレーションは水平コラボレーションと呼ばれます。たとえば、近隣に工場を持つ2社の家具メーカーが木材サプライヤーに共同発注することで、配送トラックのCO2排出量を削減できる可能性があります。サプライチェーンの異なるステージにある企業が協力することを垂直コラボレーションと呼びます。たとえば、メーカーはより多くのビジネスと引き換えに、よりサステナブルなパッケージを開発するようサプライヤーと合意を取り決めるといったことがあります。

8. サステナビリティ教育の推進

これまで見てきたように、サプライチェーン・プロフェッショナルは、組織のサステナビリティの取り組みに直接影響を及ぼします。サステナビリティ教育を受けることで、チームは企業のESG目標をサポートするベンダーを選択し、目標に向けた進捗を測定できるようになります。

自社のサプライチェーン・プロフェッショナルが、自分たちの業界のサステナビリティ問題に関する教育を受けていない場合、企業はそうした教育を提供したり、外部の資格や学位を取得できるようサプライチェーン・チームをサポートすることがあります。International Supply Chain Education Allianceが発行するCertified Sustainable Supply Chain Professional(CSSCP)は、一連のオンラインコースの修了と最終試験の合格を必要とする人気の認定資格です。主要な大学でも、プロフェッショナルを対象としたサプライチェーン・サステナビリティのコースや認定資格を提供しています企業のリーダーシップは、従業員がこれらのプログラムを修了するための経済的支援を提供したり、学習および能力開発プロバイダーと提携して同様のコースを社内で提供することがあります。

9. 環境パフォーマンスの測定とレポート

サプライチェーンの環境パフォーマンス指標の改善を望む組織は、ベンチマークを設定するために現在のパフォーマンスを評価して、改善方法と改善すべき分野の計画を作成し、それらの指標について定期的にレポートした場合、成功する可能性がはるかに高まります。

企業は政府の規制を遵守するためにすでに年次レポートを実施している場合もありますが、隔週または月次レポートを追加することで、環境サステナビリティ目標に対するサプライチェーンの進捗状況をより詳細に追跡し、必要に応じて変更を加えることができます。また、定期的な環境レポートは従業員の維持と誘致をも支援する可能性があります。オラクルと調査コンサルタント会社Savantaが2022年に実施したESG調査によると、83%の人が、環境および社会問題の進捗状況を明確に示している組織で働くことをより好むと回答しており、69%の従業員が、これらの問題をより重視している企業で働くためであれば、現在の勤務先を退職すると回答しています。また、定期的なレポートによって顧客を獲得できる可能性もあり、91%の人がサステナブルなビジネスについてより多くの説明責任を果たすことを望んでいることが調査で明らかになりました。

10. グリーン・テクノロジーへの投資

グリーン・テクノロジーとは、企業が地球や社会に与える悪影響を軽減するために使用されるテクノロジーの総称です。たとえば、企業は代替エネルギーを生成するためにソーラーパネルの使用を選択できます。企業は、風力タービン、LED照明、植物ベースのパッケージなど、その他のタイプのグリーン・テクノロジーをサプライチェーン全体で使用し、同じことを実践するベンダーのみとの提携に取り組むことができます。また、製品を輸送する際に汚染物質を排出しない電気トラック、バン、バスなどのグリーン・テクノロジーへの投資や、車両にバイオ燃料を使用することも可能です。

ソーラーパネルだけでなく、前述したように、他のタイプのグリーン・テクノロジーにも多額の先行投資が必要になることがよくあります。財務チームと協力して、潜在的な投資収益率とそのスケジュールをモデリングします。たとえば、あなたの企業は電気トラック・フリートのコストを、ガスエンジン・トラックと比較して運用コストを削減し、稼働時間を増やすことで、どれだけ迅速に回収できるでしょうか。サステナビリティに対するブランド評価の向上による売上の増加は予測可能でしょうか。?

11. 地域コミュニティのサポート

企業はローカルに事業を展開することで、サプライチェーンにおけるサステナビリティを向上させることもできます。メーカーが現地のサプライヤーから原材料を調達することで、カーボン・フットプリントを削減し、より大規模な全国規模のサプライヤーに仕事を奪われる可能性のあった現地の従業員の雇用を支えることができます。

企業はまた、サプライチェーン・チームおよび他の従業員に、コミュニティの清掃イベントといった地域のグリーン活動や社会正義活動に参加させることもあります。2022年のPwCのレポートによると、世界の65%の人が社会的良心の強い企業で働きたいと考えており、サステナビリティの向上だけでなく、このような取り組みは人材の採用や定着率を向上させる可能性があります。また、こうした活動はブランド認知度を高め、既存顧客や潜在顧客に対する組織の評価を向上させることもできます。

12. サステナビリティ目標の設定

明確で測定可能なサプライチェーンのサステナビリティ目標は、組織の取り組みが成功する可能性を高めます。そうした目標は、より広範な組織の目標から生み出されることがよくあります。たとえば、企業はカーボン・フットプリントを削減するという目標を設定することがあります。カーボン・フットプリントとは、(前述のとおり)製品の購入や製造、サービスの提供、そして運用の過程で直接的、間接的に関わらず発生するすべてのCO2排出量を合計したものです。こうした組織目標を考慮して、サプライチェーンのプロフェッショナルは、生分解性パッケージを使用するベンダーの製品を購入することを含む、環境に配慮した調達方針を策定することがあります。そのため、サプライチェーン・チームは、来年中にパッケージの75%をこのようなベンダーから調達するという目標を設定する可能性があります。

13. 倫理的な労働慣行の導入

人を大切にすることは、サステナブルなサプライチェーンの主要原則です。前述したように、サプライチェーンのプロフェッショナルは、サプライヤーやメーカーなどのパートナーが、原材料や商品の収穫や製造の際に児童労働、搾取工場労働、奴隷労働などを利用していないことを確認する必要があります。また、ベンダーが従業員に公正な賃金を支払い、安全で人道的な労働条件を提供または保証していることも確認する必要があります。企業は、社内で監督するサプライチェーンのあらゆる部分においても、これらと同じ基準を満たすことが求められます。

14. 廃棄物の削減

素材サプライヤーであるAvery Dennisonの2022年のレポートによると、世界全体で年間推定1630億米ドル相当の在庫が破損や過剰生産により廃棄されています。

メーカーは、ロボット、センサー、ソフトウェア・システムなどの相互接続されたスマート・マニュファクチャリングテクノロジーを利用してサプライチェーンの無駄を削減し、スマート・ファクトリーを構築することができます。たとえば、人間の溶接工よりもミスが少ない溶接ロボットを組み立てラインに導入し、ソフトウェアから溶接パラメーターの調整に関する指示を受けながら、スクラップの発生を回避するといったことが可能です。さらにメーカーは、これらの相互接続されたソフトウェア・システム、機械、産業用モノのインターネット(IIoT)としても知られるその他のデバイスを使用して、需要の変動に基づいて生産量を自動的に調整する生産ラインを構築することで、過剰生産を排除する可能性もあります。

別の例としては、小売業者が完成品の再利用をサポートすることで、サプライチェーンにおける無駄を削減することが挙げられます。例えば、消費者が不要になった衣料品を新商品の割引と交換する買い取りプログラムを開始するとします。小売業者はその後、不要になった衣類をメーカーに送り、新しい衣類の製造を依頼します。

15. サステナブルなパッケージの開発

グリーンパッケージやエコフレンドリー・パッケージとも呼ばれるサステナブルな パッケージについては、企業には選択肢がありますたとえば、再生紙、再生プラスチック、コーンスターチや海藻などの植物から作られた生分解性プラスチックなどの素材を取り入れたパッケージを開発したり、調達することが考えられます。

サステナブルなパッケージは、必ずしも環境への影響がゼロというわけではありませんが、これは、サプライチェーンのサステナビリティとは、より良い意思決定をすることであり、必ずしも環境への影響を完全に排除することではないという考えを示しています。リサイクルされたプラスチック・パッケージは使い捨てプラスチックから作られたパッケージよりもサステナブルであり、リサイクルされた紙製品はバージン材料から作られたものよりもサステナブルですが、紙製品や一部のプラスチックは時間の経過とともに劣化するため、埋め立て地に廃棄されるまでに企業が使用できるのは数回に限られます。

企業はサステナブルなパッケージがより高額であることを懸念することがありますが、その通りである場合もあります。しかし、Boston Consulting GroupとTrivium Packagingの2020年版レポートによると、消費者の74%はそのためにより高い金額を支払うことに前向きです。

16. データと分析の活用

企業は、サステナビリティ目標を達成するための戦術を改善するために、サプライチェーンのデータを複合的に分析することができます。たとえば、輸送や工場からのCO2排出量を追跡および分析することで、排出量増加を明らかにし、傾向に基づいて将来の排出量を予測し、メーカーが排出量削減の方法を決定するための支援をすることができます。あるいは、メーカーが機械同士やインターネットに接続されたスマート・ファクトリーを運営している場合、データ分析を利用して、自動的な減速のタイミングを判断することができます。

オラクルによるサプライチェーンのサステナビリティ向上

世界中の企業が、Oracle Fusion Cloudサプライチェーン・マネジメント(SCM)を活用してサプライチェーンのサステナビリティへの取り組みを進めています。エンドツーエンドのサプライ・チェーン・マネジメントをサポートするこのアプリケーション・スイートは、製品設計、パッケージングおよび製造における材料の再利用方法の発見、サステナブルな調達方針を順守するための材料や商品の出所の追跡、二酸化炭素排出量を最小限に抑えるための出荷の最適化、廃棄物を削減するための需要予測の改善を支援します。

また、企業はOracle Cloud SCMを使用して、市場や需要の変動に迅速に適応することで、混乱を回避し、余剰や無駄を発生させることなく必要な製品が常に入手できるようにして顧客の満足度を維持します。

サプライチェーンのサステナビリティに関するFAQ

サプライチェーンがサステナビリティを向上できる方法を教えてください。
企業のサプライチェーンは、環境、経済、社会に直接影響を与えることがよくあります。企業は、サプライチェーン全体を通して、ベンダーの評価、製品の設計、輸送ルートの計画、その他の意思決定を行う際に、人と地球への影響を考慮することで、サプライチェーンのサステナビリティを向上させることができます。

サプライチェーンのサステナビリティを向上させる例を教えてください。
メーカーがサプライチェーンをよりサステナブルなものにする方法のひとつに、製造時にバージン素材を使用せず、古い製品の素材を再利用することが挙げられます。たとえば、衣料品メーカーが古いTシャツの生地を使って新しいTシャツを製造するような場合です。

サプライチェーンをサステナブルにするとはどういうことですか。
企業は、社会、環境、経済に悪影響を与えないようにサプライチェーンの運用を調整して、よりサステナブルなサプライチェーンを構築します。

オラクルがメーカーによる耐障害性の高いサプライチェーンの構築を支援する方法をご覧ください