Peter Dennis著
2012年10月公開
現在の環境に応じて、Oracle Solaris 11.1に更新するためのおもなアプローチは2つあります。
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Oracleサポート契約を結ばずにOracle Solaris 11をインストールしたユーザーは通常、次に示すようにpkg publisher
コマンドを使用して、Oracle Solarisリリース・リポジトリを構成済みのパッケージ・リポジトリとして使用できます。
# pkg publisher PUBLISHER TYPE STATUS URI solaris origin online http://pkg.oracle.com/solaris/release/
Oracleサポート契約を結んでいるユーザーは、次に示すように、Oracle Solarisサポート・リポジトリを構成済みのパッケージ・リポジトリとして使用できます。
# pkg publisher PUBLISHER TYPE STATUS URI solaris origin online https://pkg.oracle.com/solaris/support
Oracle Solaris 11.1への更新プロセスは複数のステップからなります。これは、特定のシステム・パッケージを最初に更新する必要があるためです。特定のシステム・パッケージを更新しないと、残りのシステム・パッケージを正常に更新できません。
pkg update
と--accept
オプションを使用して、少数のシステム・パッケージを更新してから再起動します。# pkg update --accept # reboot
pkg:/system/ldoms/ldomsmanager
パッケージを次のように削除する必要があります。# for z in `zoneadm list`; do zlogin $z pkg uninstall ldomsmanager; done
# pkg update pkg:/package/pkg
更新するには、pkg update
に--accept
フラグを使用し、更新されているライセンスの条件に同意して受諾します。また、--be-name
フラグを使用して、作成されるブート環境に新しい名前を付けます。
# pkg update --be-name s11.1ga --accept # reboot
注:オラクルのホスト・パッケージ・リポジトリに直接接続できないシステムの場合、Oracle Solaris 11.1 Pre-Upgrade Repository Imageをダウンロードする必要があります。このイメージには、Oracle Solaris 11.1への更新前に更新する必要のあるパッケージが含まれています。ISOイメージには、リポジトリを作成してOracle Solaris 11.1に更新するために必要なステップを記載したREADMEが含まれています。
Oracleサポート契約を結んでいるユーザーのOracle Solaris 11のリリース・プロセスが変更されました。この変更により、Oracle Solaris 11への次回更新の最終プレリリース段階中におけるバグ修正リリースが中断されることはなくなりました。 そのため、Oracle Solaris 11の最新リリース・バージョンの重要なカスタマ・バグ修正のリリースが早まります。 この改善の結果、更新リリース自体には、先行リリースの最終Support Repository Update(SRU)でリリースされた少数のバグ修正が含まれない可能性があります。
たとえば、Oracle Solaris 11 11/11の最終SRUはSRU#12.4とSRU#13.4です。SRU#12.4とSRU#13.4の一部のパッケージには、Oracle Solaris 11.1リリースのバージョンより高いバージョンが含まれています。これらのバグ修正を保持するため、バージョンの違いによって、Oracle Solaris 11.1リリースへの更新が回避されます。また、コア・オペレーティング・システムには、Oracle Solaris 11.1リリースに直接移行すると削除される修正が一部存在します。参考のため、これらのバグ番号を"SRU#12.4で修正されたバグ"のセクションに示します。
上述のSRUによって提供されるすべてのバグ修正は、最初のOracle Solaris 11.1 SRUによって対処されています。 このSRUはサポート・リポジトリに含まれています。
システムによっては異なるSRUバージョンを実行しているため、必要な更新ステップが異なる場合があります。システム上のSRUを確認するには、リスト1に示すように、pkg:/entire
パッケージのpkg info
コマンドを使用します。
# pkg info entire Name:entire Summary:entire incorporation including Support Repository Update (Oracle Solaris 11 11/11 SRU 10.5). Description:This package constrains system package versions to the same build.WARNING:Proper system update and correct package selection depend on the presence of this incorporation. Removing this package will result in an unsupported system.For more information see https://support.oracle.com/CSP/main/article ?cmd=show&type=NOT&doctype=REFERENCE&id=1372094.1. Category:Meta Packages/Incorporations State:Installed Publisher:solaris Version:0.5.11 (Oracle Solaris 11 SRU 10.5) Build Release: 5.11 Branch: 0.175.0.10.0.5.0 Packaging Date:Fri Aug 03 18:26:27 2012 Size:5.45 kB FMRI:pkg://solaris/entire@0.5.11,5.11-0.175.0.10.0.5.0:20120803T182627Z
リスト1 システムのSRUの判別
これら後続のOracle Solaris 11 11/11 SRUリリースのすべてのバグ修正が必要な場合は、次に説明されるように、Oracle Solaris 11.1 SRU#1.4に更新してください。
pkg:/system/ldoms/ldomsmanager
パッケージを次のように削除する必要があります。 # for z in `zoneadm list`; do zlogin $z pkg uninstall ldomsmanager; done
# pkg update pkg:/package/pkg
一部のパッケージに以前のバグが含まれているために、それらのパッケージがシステムに間違ってインストールされる可能性がありました。SRU#10.5ではこれらの問題に対処し、このような不正パッケージを削除するためのメカニズムを提供します。上述のコマンドにより、この処理が実行され、一部のパッケージを削除していることが通知されます(そのようなパッケージがインストールされていた場合)。削除されるパッケージは次のとおりです。
X86 | pkg://solaris/ldoms/ldoms-incorporation |
SPARC |
pkg://solaris/consolidation/nvidia/nvidia-incorporation pkg://solaris/driver/network/ethernet/elxl pkg://solaris/driver/network/ethernet/pcn pkg://solaris/driver/network/ethernet/dnet pkg://solaris/driver/network/ethernet/iprb |
更新するには、pkg update
に--accept
フラグを使用し、更新されているライセンスの条件に同意して受諾します。また、--be-name
フラグを使用して、作成されるブート環境に新しい名前を付けます。
# pkg update --be-name s11.1ga --accept # reboot
このケースでは、SRU#10.5またはそれ以降のSRUリリースへ更新することを選択できます。ただし、最新のSRU(12と13)には、Oracle Solaris 11.1リリースの最初のSRUが利用できるようになるまで、Oracle Solaris 11.1に存在しない修正が含まれている点に留意してください。
次のコマンドを実行して、システムをSRU#10.5に更新します。
# pkg update --accept entire@0.5.11,5.11-0.175.0.10 # reboot
または、次のコマンドを実行して、システムを最新のSRUに更新します。
# pkg update --accept # reboot
Oracle Solaris 11.1 SRU#1.4リリースでは、システムの更新には、次の簡単なコマンドを実行します。
# pkg update --be-name s11.1sru --accept # reboot
システムはその後、Oracle Solaris 11.1をSRU#1.4とともに実行します。
SRUなしで、単にOracle Solaris 11.1への更新が必要な場合は、次のステップが必要になります。
次のパッケージのいずれかがインストールされている場合は、次のステップで説明するように、これらを削除して、Oracle Solaris 11.1への更新後に戻すか、システム上の制約からこれらの関連付けを解除(ロック解除と呼ばれる)する必要があります。
pkg://solaris/network/dns/bind pkg://solaris/service/network/dns/bind pkg://solaris/mail/fetchmail
# pkg uninstall pkg://solaris/network/dns/bind # pkg uninstall pkg://solaris/service/network/dns/bind # pkg uninstall pkg://solaris/mail/fetchmail
上述のコマンドは、パッケージを1行で指定することで1回のステップにまとめることができます。
# pkg uninstall pkg://solaris/network/dns/bind \ pkg://solaris/service/network/dns/bind \ pkg://solaris/mail/fetchmail
Oracle Solaris Zonesがシステムにインストールされている場合は、次に示すように、各ゾーンでパッケージをアンインストールする必要があります。
# for z in `zoneadm list`; do zlogin $z pkg uninstall pkg://solaris/network/dns/bind; done
# pkg change-facet facet.version-lock.mail/fetchmail=false # pkg change-facet facet.version-lock.service/network/dns/bind=false # pkg change-facet facet.version-lock.network/dns/bind=false
上述のコマンドは、パッケージを1行で指定することで1回のステップにまとめることができます。
# pkg change-facet facet.version-lock.mail/fetchmail=false \ facet.version-lock.service/network/dns/bind=false \ facet.version-lock.network/dns/bind=false
パッケージがインストールされた、構成済みの各ゾーンで、上のコマンドを実行する必要があります。
パッケージを削除またはロック解除したら、システムの更新を実行して再起動できます。
# pkg update --be-name s11.1ga --accept # reboot
pkg install
コマンドを使用して、これらのパッケージを再インストールします。# pkg install pkg://solaris/service/network/dns/bind # pkg install pkg://solaris/mail/fetchmail
上述の最初のコマンドを実行すると、パッケージの依存性によってpkg://solaris/network/dns/bind
もインストールされます。
# pkg update # pkg change-facet facet.version-lock.mail/fetchmail=true # pkg change-facet facet.version-lock.service/network/dns/bind=true # pkg change-facet facet.version-lock.network/dns/bind=true
上述のコマンドは、パッケージを1行で指定することで1回のステップにまとめることができます。
# pkg change-facet facet.version-lock.mail/fetchmail=true \ facet.version-lock.service/network/dns/bind=true \ facet.version-lock.network/dns/bind=true
パッケージを再ロックすると、必要に応じてこれらのパッケージは更新されます。
次に、SRU#12.4で対処されたが、SRU#1がリリースされるまでOracle Solaris 11.1で対処されないバグ修正のリストを示します。
Kernelの修正:
7071362 tcp_icmp_source_quenchおよびその他のチューニング可能値のフィールドが変更可能でなくなった可能性がある 7181137 sol_umadはNGZでのユーザーランドのMAD操作を許可するべきである 7196540 7174929の統合の後、2番目のRAIDボリュームの最初のディスクに対して、0.9.0が表示される
その他のソフトウェア修正:
7166132 vimはそのテスト・スイートを実行できるはずである 7190213 libibmadおよび関連ファイルは、NGZで提供される必要がある 7191495 mkisofsのインストールが不完全である 7195687 Fetchmailをバージョン6.3.22に更新する 7195704 ユーティリティ/Fetchmailに関する問題 7196234 ネットワーク/DNSに関する問題 7197223 構文強調表示が有効になっているdtraceスクリプトの編集時にvimが高いCPU使用率を示す
Peter Dennisは、Oracle Solaris Revenue Product EngineeringチームのPrincipal Engineerです。 ファイル・システム、ボリューム管理とバックアップ、クラスタ、および一般的なエンドユーザー・ユーティリティといった幅広いテクノロジーに取り組んできました。現在は、Oracle Solaris 11 Updateリリースのテクニカル・リードです。
リビジョン1.2、2012/11/30 |