ユーザー会インタビュー2
「ドレスコードがなく、コスプレありの勉強会です」
「わんくま同盟」主宰者 中 博俊氏
首都圏でも秋の深まりが身近に感じられた今年10月23日、3つのユーザー会が日本オラクル本社で勉強会を開催した。編集部では、コミュニティの楽しさを追求している「わんくま同盟」の主宰者、中 博俊氏に、ユーザー会の活動内容や勉強会の意義などについて話を聞いた。(編集部)
「わんくま同盟」の主宰者、中 博俊氏。「コスプレでの参加OK」が勉強会の特長の1つだ
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――ユーザー会を始めたきっかけを教えてください。
中氏:
「わんくま同盟」は、3年半くらい前に活動を開始したユーザーコミュニティです。技術者のスキルアップを目的とした勉強会を開催しようと思
い、オンラインの掲示板で呼びかけたのが最初です。私は東京でSEをしておりますが、東京ではしばしば開催される勉強会が、当時の大阪にはまったくなかっ
たのです。そこで、わんくま同盟の勉強会第一回目は大阪で開催しました。
現在は東京、大阪、福岡、名古屋の4カ所を中心に勉強会を開催しており、その都度、技術系の掲示板やMSDNフォーラムのコース系掲示板など
を活用したり、他のセミナーで知り合った人に声をかけたりして、参加を呼びかけています。ちなみに「わんくま」という名称は、もともと個人でドメインを取
得するときに使用した名前が由来となっています。
――活動内容や会員について教えてください。
中氏:
オンラインではブログ、掲示板、サイトを活用して活動しています。
また、オフラインでは勉強会を年に40回開催しています。勉強会の第一の目的はスキルアップですが、幅広く技術に触れること、あるいは技術と
は全然関係のない趣味の世界を知ること、といった点でも有効だと考えています。また、参加者に話をしてもらったり、外部講師を呼んだりすることもありま
す。勉強会は1年先までスケジュールが決まっていて、その内容はWebに掲載しています。勉強会の際にはUstreamでの中継も行っており、毎回
20~40名の方が見に来ています。
勉強会はほぼ毎週土曜日に開催していますが、内容は参加者によって変わるので興味を持ってもらえると思います。会員数は約260名で、勉強会
の動員数はのべ2000人くらいになります。会員はほぼ全国に散らばっています。会員は30代前半が中心ですが、小学5年生が参加したこともありますし、
最高齢は60歳以上です。自分と全然違う年齢層や職種の人と会う機会というのは、なかなかありません。でも、勉強会ではいろいろな年代、いろいろな職種の
人が集まり、意見を交わすことができます。自分の視野を広げることにも役立ちますので、特に学生の方に来ていただいて、懇親会まで参加して欲しいですね。
――今回の勉強会はどのような内容でしょうか?
中氏:
勉強会は基本的に、参加者による「LT(ライトニングトーク)」から始まります。これは、参加者がそれぞれ好きなことや興味を持っていること
などについて5分間のスピーチを行い、その内容を基に全員でディスカッションするというものです。これには、参加者の緊張を和らげるととともに、コミュニ
ケーションを促す意味もあります。ちなみに、最年少であった小学5年生のLTのテーマは「ポケモンに出てくるモンスターについて」でした。
LTの後は、セミナーを行っていきます。セミナーの内容も特に規制はありません。とはいえ、やはりIT技術に関するものが中心で、今回は「わ
んくま同盟 東京勉強会
#52」と題し、プログラミング言語をテーマとした技術職の強い内容になっています。Perl、REST、Fiddler、ASP.NET
MVCといった言語を取り上げ、それぞれスピーカーが特長やメリット、活用法、問題点などを紹介しました。また、日本オラクル社員の石丸氏にお願いして
「Oracle Application Express(APEX)4.0の使い方」も行いました。ここではAPEXの概要やAPEX
4.0の新機能などがデモとともに紹介されました。
このように勉強会では、オラクルの製品や技術を取り上げるのはもちろんですが、それだけにこだわらず、いろいろな製品、いろいろな技術も取り
上げています。具体的には、製品や技術の特長や長所、問題点などについて、場合によっては外部の講師を招いて紹介します。いろいろな製品や技術に触れるこ
とで、幅広い視点をもつことを目指しています。また、踏み込んだ内容を平易な言葉で説明するといったこともやっています。これは難しいですけど、役立つ機
会が多いと好評です。
――勉強会の今後の展望がございましたら教えてください。
中氏:
勉強会の第一の目的はスキルアップなのですが、せっかく会員の方が集まるのですからコミュニティ活動の楽しさについても感じてもらえればと
思っています。セッションを聞いたからといってその内容すべてが身につくわけではないですから、「こんなものもあるんだ」という程度の認識で「広さ」を感
じてもらえれば、主催する側としてはうれしいことです。なお、難しいこと、簡単なこと、みんなが知っていること、ほとんど知られていないことなど、参加者
が話す内容はまったく自由です。そのために、内容のレベルを参加者が簡単に判断できるよう、発言者の自己申告で「くまー」という単位で表しています。一
応、「レベル1くまー」はまったく知識がなくても大丈夫な内容など、取り決めはあるんですよ。
次回のテーマは「10年後を予測しよう」です。10年前の予測はどうだったか、10年後はどうなるかについて、LTのみに限定したグループ
ディスカッションを行います。たとえば、10年前に予測した10年後って、現在とかなり違うと思うんですよね。そのあたりの意見を交わすのは楽しそうで
す。その次はテーマを「宇宙」に絞った勉強会を開催する予定です。
今後は「こちらでも開催して欲しい」という声に応えて、北陸や札幌などでも勉強会を開催したいと考えています。コミュニティの盛んな場所は結
構多いんですよね。ただ、公共の場所などは直接申し込みに行く必要があるところも多く、なかなか大変です。そういう意味では、会場を無料で貸していただけ
る日本オラクルには非常に感謝しています。
まずはテーマに関わらず、暇つぶしでもいいのでふらっと参加してみてください。自分の興味以外のことも楽しく知ることができ、エンジニアライ
フをもっと充実したものにできると思います。実際に、目先のことで手いっぱいというエンジニアの方も多いですから。ドレスコードもなく、コスプレもあると
いうゆるい雰囲気ですので、気ままに参加していただきたいですね。
(完)
- 「Oracleライフ」を満喫した秋の一日 ユーザー会主催「勉強会」レポート
- ユーザー会インタビュー1 「データベース技術者が集まる場を作りたかった」「データベース友の会」主宰者 Quatrex氏
- ユーザー会インタビュー2 「ドレスコードがなく、コスプレありの勉強会です」「わんくま同盟」主宰者 中 博俊氏
- ユーザー会インタビュー3 「『技術で世の中を良くしたい』と思う人が集まれば、何かが変わる」 「Oracle LOVERS」主催者 吉田 基崇氏
- ユーザーコミュニティ座談会(前編)「データベーススペシャリスト資格不合格が勉強会のきっかけでした」
- ユーザーコミュニティ座談会(後編)「会社の外に出ていろいろな世界が広がっていることを知ることも大事」